7ー4
恋心は時に人を意地悪にさせる。
あたしがりゅんりゅんに頼んだ瞬間、それは本物に変わった。
「本当にその願いでいいんだね? わかったよ」
りゅんりゅんがそう言うと、光の速さでぐにょんとビリーさんの頭が後ろ前にねじりついてしまった。
……これはやっちまったやつ?
ビリーさんは、うわー、と叫んでどさっと倒れた。
「ねぇミリー。きみの願いは本当にこれでいいの?」
「あなたどうしてあたしの名前を? あたしもどこかであなたに会っている?」
「うん。少し前の世界線で、ね。そこでのきみは、前世の記憶を持つ者だった。だからこそ、ビリーの命を救うためにぼくに会いに来たっていうのに。かわいそう」
え?
前世の記憶?
「このままだとビリー、あと数時間で死んじゃうよ?」
「なっ!? えっ!? どうしてそんなことになるの?」
「だって。首が後ろ前につくってことはさ、すごく息ができないくらいに体力を消耗するんだ」
それに、と言って、りゅんりゅんはつづける。
「歩くことはおろか、食事をすることや、水を飲むことすら大変なことなんだよ?」
「え? そんなにひどいの? じゃあなしっ!! あたしの願いを解いてください」
「それはできないんだ」
だって、願いは一つだけって言ったでしょう、なんて可愛く笑う。
「そんな。じゃあビリーさんの願いを叶えればいいでしょう? 元に戻して」
「もういいよ、ミリー。あんた本当におれのことを探し出してくれたんだな」
頭が後ろ前にねじりついたビリーは、もう敬称略する。ビリーは、やさしい声音で囁いた。
「だから俺もミリーを探した。この姿があんたの望みなら、俺はこのままだってかまわない」
「じょうだんじゃないっ!! だってせっかく探し出したのにっ!?」
え、待って。あたし今、なんて?
せっかく探し出して。
ああ、そうか、わかった。
わかってきた。あたし、あたし前世からビリーのこと好きだった。
だから今世ではビリーの助けになりたいって、そう願っていたのに。
「ねぇりゅんりゅん。あなた、あたしにヒントをくれたよね? あなたを助けるためのヒントを」
その答えがあたしとビリーで共通しているかわからないけれども。
あたしはビリーの後ろに回り込んで、後ろ前になってしまった顔をすくい上げた。
そして、唇と唇を重ねあわせた。
つづく




