表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/33

7ー4

 恋心は時に人を意地悪にさせる。


 あたしがりゅんりゅんに頼んだ瞬間、それは本物に変わった。


「本当にその願いでいいんだね? わかったよ」


 りゅんりゅんがそう言うと、光の速さでぐにょんとビリーさんの頭が後ろ前にねじりついてしまった。


 ……これはやっちまったやつ?


 ビリーさんは、うわー、と叫んでどさっと倒れた。


「ねぇミリー。きみの願いは本当にこれでいいの?」

「あなたどうしてあたしの名前を? あたしもどこかであなたに会っている?」

「うん。少し前の世界線で、ね。そこでのきみは、前世の記憶を持つ者だった。だからこそ、ビリーの命を救うためにぼくに会いに来たっていうのに。かわいそう」


 え?


 前世の記憶?


「このままだとビリー、あと数時間で死んじゃうよ?」

「なっ!? えっ!? どうしてそんなことになるの?」

「だって。首が後ろ前につくってことはさ、すごく息ができないくらいに体力を消耗するんだ」


 それに、と言って、りゅんりゅんはつづける。


「歩くことはおろか、食事をすることや、水を飲むことすら大変なことなんだよ?」

「え? そんなにひどいの? じゃあなしっ!! あたしの願いを解いてください」

「それはできないんだ」


 だって、願いは一つだけって言ったでしょう、なんて可愛く笑う。


「そんな。じゃあビリーさんの願いを叶えればいいでしょう? 元に戻して」

「もういいよ、ミリー。あんた本当におれのことを探し出してくれたんだな」


 頭が後ろ前にねじりついたビリーは、もう敬称略する。ビリーは、やさしい声音で囁いた。


「だから俺もミリーを探した。この姿があんたの望みなら、俺はこのままだってかまわない」

「じょうだんじゃないっ!! だって()()()()()()()()()のにっ!?」


 え、待って。あたし今、なんて?


 せっかく探し出して。


 ああ、そうか、わかった。


わかってきた。あたし、あたし前世からビリーのこと好きだった。


 だから今世ではビリーの助けになりたいって、そう願っていたのに。


「ねぇりゅんりゅん。あなた、あたしにヒントをくれたよね? あなたを助けるためのヒントを」


 その答えがあたしとビリーで共通しているかわからないけれども。


 あたしはビリーの後ろに回り込んで、後ろ前になってしまった顔をすくい上げた。


 そして、唇と唇を重ねあわせた。


     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ