7ー2
ワッシャンから解放されると、あたしはビリーさんに会いに駆け出していた。
こんな、髪もぐちゃぐちゃで、お化粧すらしてないのに、あたし、なんだか今とても心が弾んでいる。
どうして?
わからないけど、広場までの道のりがもどかしい。
あたし、もう少しだけ運動量を増やした方がいいかもしれない。
そして、彼はベンチに座っていた。
「ビリーさん!!」
あたしに向けて、軽く手を挙げるビリーさんがとてもまぶしい。
初めて会ったはずなのに、初めてじゃないような気がする。
きっと、ビリーさんが言うように、前世からの縁かもしれない。
こうなったら、積極的になるしかないかな?
「お待たせしました!!」
「いいえ。走ってくれたのですね。なんだかすみません」
「いいえ。そんなことないです」
「せっかくですから、ランチをご一緒にどうですか? あ、お連れの方は?」
ああ、ワッシャン。実はあんまり本をめくることもなく、怒って帰っちゃったんだよね。その際、サンドイッチも持って行かれちゃったなんて言えない。
「彼は、なんだか急用ができたからって、帰りました」
「そう? それじゃあ、行きますか?」
ビリーさんと二人、連れ立って歩こうとしたその時、目の前が急に歪んだ。
これは、誰かが瞬間移動しようとしている前兆だ。
古代竜が暴れていることもあり、ビリーさんは咄嗟にあたしを後ろにかばう。
が、現れたのは傷だらけの少年だった。
「きみ、大丈夫!?」
すぐにビリーが駆け寄って、少年の様子を見ているが、どこもかしこもすり傷だらけ。所々血がにじんですらいる。
「う、ううっ」
話すこともできない少年を見て、あたしは空間魔法のかかったポシェットの中から、あたし特製のポーションを取り出す。
「これ、飲める? 苦くないけど、ニオイはがまんして」
少年の口にポーションを持っていくと、最初からそれを予言していたかのように受け取り、ごくごくと飲み干した。
すると、すり傷が少しずつ癒えてゆく。
よかった。深い傷はなさそう。
「ありがとう。とてもよく効くポーションだね」
ハスキーボイスの少年は、すごい美少年だった。
「ぼくの名前はりゅんりゅん。ちょっとわけがあって、みんなからイジメられてるの」
それを聞いて、あたしは腹がたった。
「イジメって、ダメなやつじゃない。ご両親に相談できないの?」
「うん。両親とは離れて暮らしてるから」
だったら奇兵隊養成学校の子供だろうか? それにしてもこんなイジメ、あっちゃいけない。
つづく




