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「ノリオが魔剣を振りながら、ヒールの魔法をかけていたんだ。それのおかげと、三秒ルールのおかげで首がついたものの、あせったせいで首が後ろ前についたんじゃないかなと思ってるんだ」
それならば、とワッシャンが人型に変身してアックスをかまえた。
「俺様が一度斬ってみてもいいだろうか?」
「へ? 俺、治癒系の魔法は使えないんだよな」
「それならあたしが請け負うわ。このままだとお互い話をしていても不便だし、なによりそのノリオがいつまたあらわれるかもしれないし」
これはあくまでも推測でしかないんだけど。
もしかしてノリオはビリーを愛しているんじゃないかしら?
それで、生かさず、殺さずの術をかけた。
術を解くためには、ノリオの魔剣が必要になる。うまくすれば、ビリーの心を手に入れるチャンスと思っているのかもしれない。
「そのノリオって、どんな外見なの?」
あたしが聞くと、ビリーは乾いた声でああ、と答える。
「まだほんの若くて二十歳そこそこ。色男で実家が金持ちだが、やることがせこい。今回だって、ノリオが無理を言ったせいで一緒に魔物討伐の相棒となったわけだけど、あいつがなにを考えているのかさっぱりわからんのだよ」
あらまぁ大変。それこそノリオに愛されてるってことなんじゃない。
出会うのが遅れたせいで、ビリーをノリオに横取りなんてさせないんだからねっ。
まぁ、ビリーも年こそ二十五歳で冴えない塩顔なわけだけど、あたしまだ、ビリーに前世のお礼を言ってないもの。
どうせなら正面から普通に話をしたいのよね。
と、言うわけで。
「それじゃワッシャン。思いっきり斬っちゃってちょうだい!」
「おうともよ!!」
「待て待て待て待て」
なによう。せっかくワッシャンがその気になっているってのに。
「俺にだって心の準備ってものがあるんだよ。野盗から助けてもらっていてなんだが、俺たちついさっき会ったばかりじゃないか?」
「だが、首が後ろ前についたままでは色々と不便だろ? 不便じゃないってんならさっさと引き上げるが?」
おお。さすが大賢者ワッシャン。これにはさすがのビリーもびびりまくりながらも肯首するしかなくなる。
「しかたないなぁ。痛くしないでくれよ?」
「それは無理な相談だな。首を斬るってことは、痛いにぃ〜」
決まってらぁ! とワッシャンの剣がビリーの首を跳ねた。
ビリーが三秒ルールでもたついているあたしは、ヒールの魔法をかけつづける。
はたして、ビリーは無事なのかぁ〜!?
つづく




