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6ー4

 王立図書館は、とても貴重な資料や情報を置いてあるだけに、人化型特化施設なの。


 ワッシャンは人化できるけど、長い時間は無理。でも、あたしと一緒なら大丈夫。


 ってことで、誘われたんだ。好きな奴うんぬんのくだりは、単にからかわれていただけだった。おのれっ、ワッシャンめ。


「いいよ。予約のポーションも余分に作っちゃったし暇だから。いつでもいいわよん」

「よっし。練り物のサンドイッチ作ってやるから、それ持参で行くか」

「やったぁ!! サンドイッチ!!」


 ……我ながら安い女だと思う。でもしょうがない。別に好きな人がいるわけじゃないんだから。ええ、からかわれただけですけどね。


 でも、図書館でイヌワシ姿のワッシャンのために本をめくったり、タブレット操作したりの作業はそれこそ恥ずかしくなるほど密着するから、ワッシャンが心配したのはそこみたい。


 だからきっと悪気はない。サンドイッチ作ってくれるしね。


「記憶について調べるって、具体的にどんなこと?」

「う〜む? 俺、なんかここ二、三日の記憶が混乱しているんだ」


 混乱? ワッシャンが? 大賢者なのに?


「なんだか誰かが俺たちの記憶を操作して、からかわれているような気がするんだ。それこそ、古代竜とか」

「古代竜か。だから古代竜が暴れてるということ?」

「そこまでははっきりしてないんだが、まぁうっすらとそうじゃないかな、と。そこで、ミリーには好きな人がいたような気がしたんだ。あまり派手顔じゃなく、塩顔の無口な男。名前はわすれたけど」


 塩顔? 無口? ますます無理だわ。あたし、イケメンが好きだし、よっぽどの事情がなければそんなめんどくさい男の人なんて、興味がないもの。


「それらを含めて、調べてみようかなって、思ってるんだ」

「へぇ? それはありがとう。ん? ありがとうでいい?」

「いや、まだなにもわかってないから礼を言われても困るんだが」


 あっははっ。あたしってちゃっかりしてるのよね。


「とにかく、あたしのためにわざわざ調べてくれてありがとう。好きな奴がいるのかって聞かれた時はどきどきしたけど、そういう話なら、うん、わかった」


 あたしがにこにこしながらこたえると、ワッシャンは突然人化した。


「簡単にわかるなよ」

「え?」


 ワッシャンに肩を掴まれてきゅんとなる。顔が、近い。


「俺はミリーが好きだ。いずれ言おうと思ったが、今しかないと思ってるから言う。塩顔の男なんて探さなくてもいいんだ。俺としては。だけど、それだとフェアじゃないと思う。だから」


 あたしは壁に追いやられる。ワッシャン、かっこいい、かも。


「俺のことだけを見てろよ。他の奴なんか見せたくない」

「……ワッシャン」

「でも、ちゃんと調べる。だから、フェアにいく。おれの気持ちは以上だ」


 言うだけ言って、すっきりしたのか、ワッシャンはまたイヌワシの姿に戻った。


 生まれて初めて告白されたけど。ごめん。あたしやっぱり、イヌワシ姿のワッシャンの方が好きかもしれない。


     つづく

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