6ー2
あたしたちが防具を脱ぐと、奥からあらわれた見知った顔に驚くことになる。
「げ。ビリーじゃん」
あんたが認めているのはビリーだけなんだろうなノリオ。スナオと書いた文字はとっくに消えてるから、きっとスナオが消えてノリオに変わったのだろう。に、してもよ。ここまで先回りしてるとか、どれだけストーカーなのよ!?
「誤解なんだ。俺はウルフ族にさらわれて、古代竜のりゅんりゅん様に贈呈されただけなんだ」
「でもりゅんりゅんはノリオのことがきらぁ〜いなの。だってすっごく意地悪なんだもんっ」
「それを言われてしまうと、なぁ」
「りゅんりゅんは退屈してるの。ふぁ〜あ」
そう言うと、りゅんりゅんは大きく口を開けてあくびをした。気のせいか、空気が少し、湿ったような感じがする。
「りゅんりゅんね、そこのビリーのことがずっと気になってたの。だってね、彼って前世でミリーの命を助けたことも、ノリオに彼女横取りされちゃったことも全部わすれてるんだよ? それって、前世の記憶を持つきみたちから見たら拷問だよね」
そう言うと、つかつかとビリーの前まで歩いてきて、その首にふれることなく、えいっと直してしまった。
おおっ。これが現在のビリーか。言うほど塩顔じゃないじゃん。
「ビリーの首は直してあげたけど、なんだかもっと退屈なの。だからね、少しだけ僕のゲームに付き合って欲しいのっ」
ゲームって、なに?
「そのゲームっていうのはねっ、真実を探せ! ゲーム!!」
なにやら一人で盛り上がり、くるくるとその場で回っているりゅんりゅんを見ているうちに、なんだか眠くなって来ちゃった?
「心配いらないよ。僕ってばいつだってハッピーエンドぎ好きなんだ。だから、これから目が覚めたら、ちょっとしたパラドックスが起きるってことだけは教えておいてあげるね」
つまりね、こういうこと、とりゅんりゅんはつづける。
「前世でのビリーの記憶が戻る代わりに、ミリーとノリオの前世の記憶が一時的に消えるんだ。もし記憶を取り戻したかったら、真実の愛を探し出して。そうしたらきっと、ハッピーエンドまちがいなしっ」
眠い……。
「それから少しだけきみたちの関係性がこじれてるんだ。その方がわくわくするでしょ? じゃ、はじまりね」
それはまるで決定事項になったかのように、パチンと指を弾く音と共に、深い深い眠りに落ちてゆくのだった。
つづく




