6ー1
船が停まったところで、あたしたちは防具屋で手に入れたビー玉のような水中防具を取り出した。
さっきビリーがやったみたいにビー玉を握りしめると、防具は手の中でぐにゃりとつぶれ、身体にまとわりついてゆく。
最初はそれがとても嫌に感じたものの、慣れれば安心に感じるし、呼吸もとても楽だ。
旧式の潜水服を身にまとったグルーは、みんなに縄を配った。その縄で各々の体を固定してゆく。
「じゃあ潜るぞ」
グルーの一声であたしたちは海に飛び込んだ。
普通に怖いのに、頭が後ろ前についてるビリーはさぞかし怖かろうと思うと泣けてくる。
その辺は、あとでしっかり聞いておかなくちゃね。ここで激しく同意しておいたら、もしかしてあたしのことやさしい女の子だにってきゅんとしてくれるかもしれない。
でも、まさかビリーがここまで無口で無愛想な男だとは思わなかったな。
前世のやさしさはなんだったんだろう。
それはともかく。
海の中。
魚がいたり、もがくというより、グルーとヤスに引っ張られる形で前へと進むあたしたち。
おお、なんか海賊船みたいな船が沈んでるよ。
珊瑚が綺麗。
そうして、あたしたちはついに水中トンネルにたどり着いた。
水中トンネルの形はニホンの文化で聞いたところによるカマクラみたいなもので、本当にこの中に古代竜がいるのか謎なところ。
で、入り口は木のドアがくっついていて、ドアベルまでついている。
グルーがそのベルを押すと、ドアが内側から開いた。
「どうぞ、お入り」
ハスキーで幼い子供のような声が聞こえてきて、あたしたちはドアの中に入った。
ドアの内側には、普通に人間の男の子みたいな綺麗な子が立っている。
ヤスがドアを閉めると、その子は待っていたように明るい笑顔を向けてくる。
「ようこそ、水中トンネルへ。僕はりゅんりゅん。古代竜と呼ばれているものだよ」
僕? 男の子でいいのかな? それとも、性別を超越したような存在なのかな?
「さぁ。みんな窮屈な防具は脱いでいいよ。ここでは誰もが丘の上とおなじように暮らせるようになっているんだ」
りゅんりゅんは少しさみしそうにほほ笑んだ。
「ここに来たってことは、頭が後ろ前についた彼の用件だよね?」
そしてすべてを悟っているようなその姿に、あたしはぶるりと震えるのだった。
つづく




