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その防具はなかなか魅力的だった。
買い取りを条件として渡されたその謎のビー玉は、触れると体の形にフィットして、水から守ってくれる防具へと変身する。
ためしにスナオにやらせてみたら、プラスチックの防具をまとっているように見えた。
「息苦しさはない?」
「ないよミリー。ちゃんと息もできて、普通に動ける。魔じっくぺんで泳げると書いておいてくれたら、俺でも泳げると思う」
なるほど。スナオのくせに生意気だわ。
これで水に関してはよくなった。
で、ビリーの防具なんだけど。この透明のビー玉と対になる黄色のビー玉を手にすると、丘の上でしっかり防衛してくれる防具になるという。
それこそ接近戦で刺されでもしないかぎり、弓矢ですら弾いてくれるというすぐれもの。
ただし、こっちは水用と比べると五倍もする。
あたしは問答無用で全商品をスナオに払わせてあげた。
「いいんだ。ビリーをこんなにしちゃったのは俺のせいだし、なによりみんなの身が守れるなら、はした金さ」
強がっているが、ブラックカードで支払いしていたのを見逃さなかったわよっ。
防具屋を後にして、いよいよ噂の船長グルーが宿泊しているという中クラスの宿屋へと急いだ。
船乗りは呑んべぇだから、寝起きが悪くて起きる時間が遅い、とのことからこの順番になったのだけど。
ヤスが店員に確認したところ、グルーはまだ部屋から出てすらいないとのこと。
せっかくなので、ティータイムにした。もちろん支払いはスナオに決まってるじゃん。
「おでこの文字、薄くなっちゃったから書き直させて」
あたしが言うと、スナオは嫌だと答えた。おのれ、スナオじゃないぞ。
「なんだかんだで俺が一番損をしているような気がするから嫌だ」
「そんなことないでしょ? あんたのせいで、ビリーが瀕死の重傷なんだからさ。ビリーからも言ってあげて」
と、彼の肩をとんとんと叩くと、くにゃっと不気味に首が回る。う〜ん、シュールだ。
「文字くらい書かせてやれよ、ノリオ。スナオなお前の方がとっつきやすいんだよ」
「おっと? そう? ならいいよ。はい」
ビリーに言われて、スナオは素直に額を出してきた。
あたしはそこに、前とおなじようにスナオと書いてやった」
とたんにスナオが目を丸くする。
「うん! 書いてもらうと目が覚める感じ。俺、やっぱり素直に生きるよ」
「そうしなさい」
それにしてもスナオの言動がイマイチ一致してないのは気のせいかしら? 別にいいけど。
つづく




