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「こりゃまた、変わったいでたちで」
防具屋のおじさんは、ビリーを見るなり冷や汗をかいた。
「水中防具と、ビリーに必要な防具をください。お金はスナオが全額払うので、いくらかかってもかまいません」
そうなのかい、と人の良さそうな笑顔を浮かべたおじさんは、どれどれと言って、あたしたちのことを遠慮なく観察してくれた。
「水中防具ということは、水中トンネルまで行くつもりだね? いいなぁ。俺ももっと若ければ、むたりゅんりゅんのリサイタルに行きたかったなぁ」
「あのぉ、りゅんりゅんって?」
「知らないのかい? 古代龍の名前だよ。人化した古代龍はとても可愛らしい少女というか少年でね、その歌を聞くと成功者になれるんだよ。俺みたいにな」
「おじさんは古代龍に会ったのね?」
「ああ。とびきりの美人が水中トンネルの中に隔離されてるって聞いたもんだから、助けてやろうと思ってな。でも違ったよ。りゅんりゅんは好きであそこにとどまっているんだ。だから、あんたたちもりゅんりゅんが退屈しないようにおもしろい話を持っていってやってくれよ。なにしろずっとあの場所にいるんどからな」
へぇ? と、いうことは、古代龍はしゃべったり歌ったり、考えたりするわけか。かなり高度な知識を持ってるんだろうな。
「はい、まずはこれをどうぞ」
おじさんは、プラスチックケースに入ったビー玉のようなものを持ってきてくれた。
「買い取りでいいんだよね?」
「もちろんです」
それを確認したおじさんは、うむうむとうれしそうに顎をなでた。
「これは、取り出した瞬間から、望む形に姿を変える水中防具だ。触った時にはもう、あんたらの思うまま、水のなかでも息ができるし話もできる。魔じっくぺんも落ちないときた」
「やった!! それなら泳ぐって書いたら泳げるってことでしょう?」
「そうだ。お嬢ちゃんは頭がいいね」
「そうなんです〜。うっふふっ」
ということは、ビリーも泳げるということになるし、スナオがノリオに戻る心配もないと。そういうことか。
あとは、海賊船に備えた防具はっと。まだ船に乗せてもらえるかわからないけど、スナオのお金だし、買えるものは買っておかないとね。
つづく




