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魔道士兼船乗りのグルーを紹介してくれることになったヤスさんについで、野次馬で集まっていたおじさんたちから次々と朗報がもたらされる。
「おれ、水中防具売ってる店なら知ってるぜ。そこの防具だったら、イヌワシでも人化でもどっちにも対応してるし、お嬢ちゃんみたいに小柄な人でも対応できるのが売ってるんだ。まぁ、それなりのお値段だがな」
「へぇ〜? その店、この街にある? 教えて欲しいなぁ」
少しだけ弱った声を出せば、おじさんたちはどんどん情報を投げてくれる。ありがたきは酔っ払いってところか。
で、その水中防具は手に入れたも同然だし、ヤスも同行してくれるっていうから安心したわ。
そんなわけで安心したあたしたちは、明日に大事をとって早めに体を休めることにした。
結局、ビリーは体を鍛える前に息が上がってたしね。彼のためには一秒でも長く休ませてあげなくちゃ。
そんなこんなで宿屋の部屋の中。
ワッシャンとビリーはもちろん最初から一緒に寝る――いわゆる雑魚寝的なことになるのは予測していたけど、なんの因果かスナオまで一緒だなんて聞いてないぞ!!
そんなことになったら、ビリーの寝込みを本当に襲いかねないんだ、スナオのくせに。
だからと言ってはなんだけど。少しはビリーの気持ちも考えなさいよ、とばかりにあたしとワッシャンでスナオを後ろ手に縛り、足元縛った。
「これじゃあトイレにも行けないんっすけど」
「ビリーだっておなじようなもんなのよ。わかる? 頭が後ろ前についてるってことはねぇ――」
「あ、そっか! ビリーと一緒にトイレに入れば襲えるか」
「あんたねぇっ!!」
怒ったあたしはスナオの顔に女子トイレしか使えない男、と魔じっくぺんて書いた。ここで辺に女の子しか愛せないとか書いたとしても、ビリーは別腹とか言い出しかねない。
本当っ、油断も隙もないやつ。
「それで? スナオは前世のビリーのどこが好きだったの?」
「教えない。恋敵に自分の情報教えないっす」
「そう? ならいいけど」
「聞いて。頼むから聞いて」
話したいんかいっ。まったく、しょうもない奴。
「前世でのビリーは、俺の部下だったんだよ。それで、なにかとダメダメな彼を見てるとイジメたくなってきて。彼女まで寝取って嫌がらせするほど好きだったんだ」
歪んでる。これはもう、愛じゃなくて愛憎に近いのかもしれない。そんなことをされて、ビリーが前世といえどもスナオを愛するわけがない、って安心したのもつかの間。
スナオの奴、あっという間に大いびきかいて寝ちまいやがった。
どこまでも自分勝手だな、おい。
つづく




