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11/25

3ー1

 あたしの謎な決断に、おじさんたちはおお〜、太っ腹。と拍手喝采。


 そうかな? 太っ腹かな?


 素直になったくらいで味方に引き入れるってのも、かなりあくどいことだと思ったんだけどな。


 だって、仲間だったらいつでも寝首を掻けるじゃない?


 ふっふっふっ。そのくらいのことは考えているわよ。


 一方のスナオはと言えば。


「本当っすか!? いいんっすか? いやぁ、ありがたい」

「なにが?」

「だって、これでいつでもビリーの寝込みを襲えるじゃないっすか」


 ……こいつ嫌い。なんかキャラ被ってきた。嫌い。


 まぁそうでしょうよ。ここまで未熟な魔道士なのに、ご先祖様から受け継いだ魔剣のおかげで、へっぴり腰でもビリーの首を斬ったんだから。


 そりゃそこまで粘着するわ。


 でもね、あたしも負けてないから。


「あたしなんか、前世でビリーに命を助けてもらったんだもん。あたしだってビリーのこと振り向かせてみせるから」


 おじさんたちからはまたしても拍手喝采、やんやの大騒ぎに発展。


 この騒ぎが宿屋に筒抜けになれば、宿泊客および、食事客もこぞって見に来てしまうわけよ。


「なんか知らねぇが、首が後ろ前についた兄ちゃんが男にも少女にもモテてるんだって」

「少女はないでしょ!! あたしはもう成人してるわよっ!!」


 まったく、ギャラリーのくせに油断も隙もない。


「とにかく、そんなんで兄ちゃんの首が後ろ前についちまったんだって」

「あっちの顔だけ色男の軟弱兄ちゃんに斬られた魔剣のせいで、首が後ろ前についちまったとか」

「でも解除魔法がわからないんだと。阿呆だな」

「このままだとあの兄ちゃん、衰弱して死ぬんじゃないかい?」


 ……一同が静寂に包まれる。


 待て待て。ビリーが死んじゃったら、あたし、なんのために必死になって、ビリーを探してきたのかわからないよっ。


 くそぅ。他人に弱みは見せたくないのに、涙が勝手にあふれ出る。


「あ〜。かわいそう。姉ちゃん泣かせちまったじゃねぇかよ、スナオ」


 ギャラリーにまでスナオ呼びが浸透してるけど、今は止まらない涙を乾かしたいんだ。


「それじゃあ、南の端の水中トンネルに行ってみたらどうだ?」

「へ? なにそれ?」


 さすがのあたしも、ようやく先が見えそうなチャンスにしがみついた。


「いや。昔からあるんだが。南の端の水中トンネルの中に住む古代龍が博識で、どんな魔法も解いてくれるらしいとの噂がある」

「ただし、報酬はとんでもないものだとか」


 古代龍か。なんだか少しだけ希望が持てそうだっ。


     つづく



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