表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

タイトル未定2025/09/10 22:18



 凄く見覚えのある顔です。

 ええ。

 だって毎日見てる顔ですから。


「お客さん昨日飲み過ぎたんですか?」

「あ~~いや」


 僕の顔を覗き込む駅員。

 何年もの付き合いだ。

 多少だが馴れ馴れしい。


「最終で帰って来たは良いが駅で寝られては困るんですが……」

「いや~~すみません……あ~~」

「どうしたんですか?」

「僕は此処まで、どうやって戻って来たんですかね?」

「は?」


 僕の言葉に目を丸くする駅員さん。

 意味が分からないと言う顔だ。


「電車で帰って来たんでしょ?」

「あ~~いや~~まあ~~」

「まさかタクシーでワザワザ駅まで?」


 怪訝顔をする駅員さん。


「いえ電車で帰宅していたんですが寝過ごしてですね」

「折り返しですか?」

「いや最終の「きさらぎ駅」に事情が有って降りたんですよ」

「はあ?」

「あ~~いや済みません切符は買ってないので料金はお支払いします」

「あ~~いえ」

「どうしました?」

「きさらぎ駅なんて無いですよ」

「え?」


 何?


 何なの?

 は?


「いや確かに僕は「きさらぎ駅」で降りたんです」

「あ~~いや~~何かと勘違いされてるのでは?」

「はい?」

「全国の駅を調べても「きさらぎ駅」は無いのですが……」

「そんな筈は無いのですが確かに……」

「あ~~」


 スマホを取り出す駅員さん。


「ほら」

「あれ?」


 検索。


 きさらぎ駅。


「ない?」

「でしょう?」

「あれ?」



 じゃあ~~あれは一体……。

 いや~~でも……。


 なあ~~。

 実際有ったとしてもなあ~~。

 とんでもない駅だったからな~~。


「はあ~~」

「納得しました?」

「ええ」

「夢でも見たのでは?」

「そうかも」

「では自分は此れから仕事なので」

「すみません」

「いえいえ」


 駅員さんは去って良く。


 疲れた。

 

 今は何時だ?


「あ~~今の太陽の高さから恐らく朝だな~~時間は~~」


 あれ?


「何か違和感が……」

 

 僕は周囲を見回す。

 右手には見慣れた駅前のドラックストア「桜」

 大手のドラックストアチェーン店です。

 清潔感のある白い壁に店内に多くの採光を考えた大きなドアと窓。

 多くの来客を考えた駐車場。

 

 見慣れた光景だ。


 その道路を挟んだ向かいには割烹「錦」

 つい最近建てられた日本料理店ですね。

 庭園などは無い料理店です。

 立地的に予算がヤバかったんでしよう。

 庭が無いのは。


 そして僕の正面。


 大きな四階建ての建物。

 駅前のバスターミナル兼ビジネスホテル。

 僕が幼いころからある建物です。

 中は入った事が無いので見たことないけど。


 そしてその横にある道路。

 僕の正面の道路。

 国道に続く道ですね。

 その道路の左横に地元の観光案内がある。

 地元の名産を取り扱う店も兼ねているが。

 その隣は交番ですがね。


 話がそれた。

 僕の正面の道路。

 または地元のアーケード横を通る道だ。

 あ~~昔の思い出が思い出される。

 

 地元のアーケードは昔は流行ってたんだがな~~。

 

 今は寂れてます。

 大手に押されて。

 とはいえだ。


 


 それでも個人の店は未だに幾つか有るけど。



 有ったよな?



 そして僕の左手に有る店。

 駅の左側にある店。

 大手のコンビニチェーン店がある。

 昔からお世話になってます。

 代金の支払いとか煙草を買ったりとか。

 そして弁当を忘れた時に重宝します。


 まあ~~隣の駅の中にもコンビニが有るから其処でも買えるけど。

 普通に忘れるからな。

 買うの。


 うん。


 現実逃避をしていた。

 いや違う。

 現状の確認か?


 いや違う。


「違和感は気の所為か」


 本当に?


「気のせいだろう」


 

 まあいいや。

 僕は帰って来た。


 あの狂った様な世界から。



 多分。


「最後は死んだと思ったけど……」


 リアルな痛みが有った。

 有った……気がした。


「多分夢だな」


 うん。


 考えたらあんな非常識なものが有るか。


 夢。


 というか……


「夢おちかよ」

 

 寝てたし。


 それはそうと……。


 今は何時かな?

 僕は腕時計を見る。



 丁度……八時。



 うん?


 再び見た。


「ち・こ・く……」


 血の気が引いた。


 遅刻確定。


「ぎゃあああああっ! 遅刻だああああああっ!」



 悲鳴を上げました。



「お客さん大声を上げないで下さい」

「すみませんんんんんんんんっ!」




 その日は会社で怒られたのは言うまでもない。

 泣きたくなった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ