第三話 迷子
あ~~。
今は夜の十一時か~~。
山道は見た目より時間がかかると思うからな~~。
多分時間がヤバいな。
どれ位時間がかかるかな?
到着するの深夜何時になるか分からんのだけど。
泣いていいかな?
とはいえ行かないという選択肢はない。
腹はへったし喉が渇いた。
このままでは脱水症状でヤバイ。
それに御風呂に入りたい。
後は野宿は嫌だ。
これは切実。
うん。
「行くか」
一時間後。
「不味い、方向は合ってると思うけど……」
また。
というか迷いました。
「ここ何処だああああああああああっ!」
僕は夜空に向かって叫ぶ。
「いやあああああっ! 遭難はいややああああっ!」
僕はパニック状態になり地面を転がる。
ゴロゴロっ!
ガシッ!
「ぎぃやあああああっ!」
大木に激突して激しい痛みに悶絶。
しかも地面を転がったので石が地味に痛い。
しかも杉は針葉樹なので皮膚にザクザク刺さる。
「う~~」
痛みをこらえる。
「はあ~~」
僕は服に着いた泥を落とす。
大騒ぎしたら落ち着いた。
さて。
どうする?
「今はどこらへんか分からんな~~」
う~~ん。
森の木々で村の位置が把握できん。
木が密集しすぎなんだよ……。
まったく……。
あ~~。
どうしよう。
「せめて方角が分ればな~~」
うん?
「そういえば木の年輪で北が分かると聞いた事があるっ!」
おおっ!
「年輪を探そうっ!」
※ 間違いです。
数分後。
「馬鹿か僕はっ!」
悶絶する僕。
「年輪が分かるほど綺麗な切断面が有るわけないわっ!」
乾いた笑いが出る。
「人の手が無いんだから此処は……年輪なんか無いわ」
腕を組んで考え込む。
「あ~~」
あ。
「そうだっ!」
ポンと手を叩く。
「時計の短針と長針の間が南と聞いた事が有る」
※ 間違いです。
よしっ!
やるぞっ!
僕は腕時計を出す。
「……」
デジタルですね。
ええ。
……。
「時間が分れば大体の位置で分かるだろう」
適当だけど無いよりマシ。
太陽を見上げる。
「今は夜ですね……」
……。
「太陽なんか無いわあああああああああああっ!」
絶叫する僕。
夜だよ今は。
見れば分かるだろうがっ!
というか見る以前の問題だろうがっ!
「馬鹿か僕はっ!」
頭を抱えて悶絶する。
「しかもデジタルだよ僕の時計っ!」
意味ないじゃんっ!
アナログでないと意味ないじゃんっ!
「それに村の方向が北からどの角度か見てないわっ!」
忘れてましたっ!
意味無いわっ!
「はああ~~」
無いわ~~。
意味ないわ~~。
もう諦めて勘で行くか。
うん。
二時間後。
勘で行ったら村に着きました。
……。
何だろう。
この途轍もない徒労感は……。




