第一話 仮面ラ〇ダーラグーン
ヴオオオオオオ~~ンッ!
ヴオオオオオオ~~ンッ!
どこからかバイクのエンジン音が二つする。
どこからだ?
どこからか歌と音楽が聞こえる。
燃えるような熱い曲。
どこかで聞いた事が有る。
これは……まさかっ!
昭和の日曜日朝特撮シリーズ。
仮面者シリーズのオープニング曲かっ!
思わず胸が熱くなる曲を聞いて興奮してる僕。
ヴオオオオオオ~~ンッ!
ヴオオオオオオ~~ンッ!
バイクの音が近づいてくる。
こちらの方に。
あれ?
バイクに乗ってる人……。
ライダーで良いか変な格好してる?
うん?
しかも二台とも僕の前を横切った!
「いたぞっ!」
「おうっ!」
片方の言葉に頷くライダー。
何だ?
「「とうっ!」」
タッ!
タッ!
「「モードチェンジ・仮面ライダーラクーンッ!」」
バイクに乗っていた二人が其のまま跳躍っ!
空高く月を照明に月面宙返りをする。
ズザザザアアアアッ!
ズザザザアアアアッ!
乗り手を失ったバイク二台が横転。
ですよね~~。
ドガアアアアンンッ!
ドガアアアアンンッ!
等と呑気に考えてたらバイク二台が爆発。
当たり所が悪かったのかガソリンに引火したのか爆発した。
「ええええええええええええっ!」
壊れやすくない?
あの二台のバイク。
「仮面〇イダーラクーン!号っ!」
「仮面ライ〇ーラクーン2号っ!」
等と考えてたらバイクのライダーが着地した。
二人とも。
「悪の人間よ其処までだっ!」
「我ら化け狸の隠れ里の平和は……」
二人は如何にもというポーズを決める。
……筈だった。
ズザアアアアアアッ!
仮面〇イダーラクーン1号。
バイクの勢いを殺しきれず横にスリップ。
ステンッ!
仮面ラ〇ダーラクーン1号転倒。
「あ」
ゴロゴロッ!
「ぎやあああああっ!」
ズザアアアアアアッ!
仮面〇イダーラクーン2号。
バイクの勢いを殺しきれず横にスリップ。
ステンッ!
仮面ラ〇ダーラクーン2号転倒。
「あ」
ゴロゴロッ!
「ぎやあああああっ!」
何故か二人とも転がる仮面ラ〇ダーラクーン。
ここまでくると哀れだ。
ゴロゴロッ!
ドスンッ!
「ぎゃあああああっ!」
カクン。
仮面ライ〇ーラクーン1号気絶。
ゴロゴロッ!
ドスンッ!
「ぎゃあああああっ!」
カクン。
仮面ラ〇ダーラクーン2号気絶。
「え~~何なんだ此れ……」
思わず力が抜ける。
そん時だった。
ポンッ!
ポンッ!
仮面〇イダーラクーン二人から煙が上がり姿が変わる。
思わず近く迄見に行く。
「あれ? この動物は……狸か?」
そう考えてた。
「あっ」
「う~~]
二匹の狸が目を覚ます。
「「……」
目が合った。
嫌な汗を流してるみたいだ。
「ヴィ」
「ヴィ」
何事もないかのように立ち上がる狸達。
そのまま森の奥に行く。
家に帰る気だな。
誤魔化して。
狸達は嫌な汗を流しながら森に行く。
それを見送る僕。
「いたたまれねえ~~」
うん。
そうして暫くして。
森の奥から何かが来る。
ガサガサ。
ガサガサ。
……。
何食わぬ顔で出てくるな。
「藪から一匹の犬が出てくる~~」
ワンワン。
ワンワン。
「いや此れは狐?」
キツネッ!
キツネッ!
鳴き声おかしくない?
良いけど。
「いや違う」
啼くのを止める二匹。
「狸だ」
狸は木の葉を頭に乗せる。
その途端ドロンと煙が立ち込める。
笠をかぶり徳利や通い帳を持つ化け狸に変化した。
「さいなら~~」
「じゃあねえ~~」
テクテクと歩いていく化け狸。
そのまま藪の中に再び入っていく。
……無かった事にしやがった。
「え? あ~~」
幻覚かな。
うん。
幻覚だな。
「疲れてるんだろう」
人を探そう。
人を探せば何とかなる。
若しくは人家を探せばいいだろう。
「そうと決まれば行くか」
僕は森の奥を目指して歩いていく。




