グレイ編・決
ーーしかし、本当の勝負はここからだった。
「真剣じゃないのは貴様だけだ、グレイーー彼が模擬槍をすてて、いつも飾りのように身につけている小剣を抜き放つ。 魔力を帯びているらしいそれは獰猛な輝きをたたえながら、ギラついている」
「このときのために用意した、得物だ。
貴様のような邪魔者は死ねばいいーーあの世へ行け。
ミスリル製であろうそれを一振りすると、呪詛を帯びた剣線をが巻き起こる。
大半は魔力による風の攻撃だがわずかに呪いを帯びているようで、何かしらのバッドステータスを付与するものだと思えた?
四肢を拘束されている状態ではよけることはかなわず小剣による刺突を受け落馬する。
だが、まだそれでは決定打にならない。
「とどめだ、あの世に行けーー!」
拘束は解かれ、彼に協力的だった隊員達は一斉に攻撃魔法を展開してくる。
それらを受ければ本気で死にかねない。
ーーすんでの所で転がって回避する。 が、よけた方向には、レオンが待ち構えている。
「この剣は特別製でな、刺されたところはいずれ腐り落ちる。 長い時間は掛かるが貴様には相応の報いだーー!」
愉悦に顔をゆがめて勝ち誇った顔で剣を振り下ろすレオン、飛び散る鮮血ーー
だが痛みはない。 柔らかくて暖かい感触。間に入った王女がかばうように俺を抱きしめていた。
「殿下、そんな、私のことなど捨て置いてくれればいいというのに?」
憤怒とともになんとかそれだけを口にする。
「私は大丈夫ですーー強い魔力耐性を持っています。
ですが貴方は、きっと無事では済まない。
生きてください、なんとか拾った命に過ぎません、ライアならきっとこうしたでしょう?
「貴方も花を守ってください」
そう言い放つと王女は倒れ伏して意識を失った。
「ちょうどいい邪魔者もろとも死ぬがいい。 矛先をグレイから王女へと変えとどめを刺そうとする」
ここに来てグレイは強い怒りにより、拘束をすべて振りほどくほどの力を見せる。
もはやまともな戦いではなかった。とにかく王女を助けなければ、だが、すでに剣は走り、王女を捉えようとしている。
「すまないミレイユ」
ここに来てグレイは逆に王女をかばう形で間に入り一撃を受ける。
予想以上の呪詛を体に流し込まれる感覚が伝う。
王女を殺すことを目的として全力で放たれた一撃は、想像を超えて重く。
身体に呪詛を流し込んできた。
だが、最後の力で、拳を放つレオンの顔面を殴打し吹き飛ばすーー!
後には取り押さえられるレオンが見える。
だが、強力なのろい、呪詛を受けグレイ自身ここまでだと感じる。
視野がぼやけるーー
くぅ、すまない王女よ。そして、ミレイユ、姿も知らぬライアーー私は正しい行いをできたのでしょうか?
王女を危険にさらしてしまっている。それが自分の軽率な行動の結果だと呪うことしかできず、徐々に意識は途切れていく。
目がかすむ。ああ、ミレイユもう一度会いたかった。
最後に王女の顔をミレイユに重ねてその頬をなでたところで意識が完全に途切れた。
「嵌められたんだ!ーー!」
グレイ編が終わったので、次は小休止です。 実質まだグレイ編です?




