第一話・ライアの章、下
「死にたい奴から飛び移ってくるといいわ」
とそこで、いけると思ったのがまずかったのだろうか、ザックの悲鳴が聞こえた。
間違いなく断末魔だった。
「ザックーー!」 注意がそれる。底をついてバイキングが飛び移ってくる。
三人いたバイキングを二人落とすことに成功したが、注意がそれた瞬間ーー屋を外す、致命傷を取れなかった。 突進してくるバイキング。タックルをもろに受けて倒れる。
転びながら、もみ合いになったバイキングよりも体勢を速く立て直すが、足を捕まれてしまっている。膂力差がものを言いはじめ弓を取り上げられてしまう。
最後の武器である短刀を抜きはなつ。男の腕に自身の足ごと短刀を突き立てる。
鋭い痛みが走り、だが、男はそれで腕を放して苦悶の悲鳴を上げ、甲板をのたうち回った。
最後はこの男だけだーーやれる!
画素の油断が甘かったらしい、遠くから弓を持ったバイキングの一射が肩口を捉えた。
レーザーガードを貫通した名が弓に悲鳴を上げる。足と左腕に負傷し弓もなくした状で状態は絶体絶命といえる、どうすれば助かる?
助けた護衛対象の令嬢は心配そうに、かつ恐ろしそうにこちらとバイキングを見ている。ローブが剥がれてしまい。
長い銀髪がはらりと舞うプラチナブロンドをなびかせる少女は涙を流していた。誰に対してかはわからないが、この子を守り切れば勝利だった。
不意に走馬灯が走る。 妹、弟そしてザック。
こんな時にもザックを思い出すことを苦笑しながら、最後の反撃に出るーー
中途半端な攻撃では大男は倒せない。海に落とすしかない。
不意に少女が手のひらに魔力を展開する。 歌声と舞、儀式的な何かを思わせるそれは炎を引き起こし、火の玉を、バイキングへと飛ばした。
男は顔を焼かれ、一時的に呼吸が不可能となって武器を取り落とす。
だが、その瞬間こそがチャンスだった。何が何でも殺さないといけない。
その前に一単少女へと向き直り、礼を言うーー
「ありがとう、あなたのおかげでなんとかなりそう。
そう言って彼女が刺繍したフード付きケープを掛けてやる。 プラチナの髪
は目立ちすぎるため、バイキング達の注意を引いてしまう。
この花は私の好きだった花なの、大事にしてね。 自作とはいえお金のない彼女が制作したフードは素材が安く、貴族であろう彼女が気に入るか微妙だったが無理矢理にでもかぶせて、「でも、私はここまでみたい、強く生きてーー!」
「この花は何というのですか? 少女が発した声音は美しく、鈴のような音色だと感じた。
「この花は私の故郷の花畑にある品でーーそこまでいいかけたところで、男がよろよろと立ち上がりかけたので、会話を打ち切るように最後に
「希望の花を守ってーー!」
と言い残した。 男に対して向き直る。
短剣を構えて突進する。勢い余って、船から落ちてしまった。
だが、男も落とした腹にナイフを突き立ててやった。
もう、満足に動けないはず、船の縁へととりつき上へ上がろうとしたところで再び、足を捕まれる。水を吸っている装備と男の体重で身動きがとれなくなる。
ーーまずい、このまま男に上がってこられたら対処できない。 男は私の髪をつかみ、神の結び目を乱暴に引っ張ってよじ登ってくる。
どうすればいい?
男と差し違えるか、落とすか? 頭が錯乱する中で、最後にリーダー格の騎士の言葉がよみがえる。 死んでも任務を達成すれば報奨金が出るというやつだった。
ごめん、みんな、私はここまで見たいーー そのまま海へと、身を投げた。
男も一緒に海へと落下する。男は泳ぎなれているようで、なんとか船へと近寄ろうとするが、底を背後からとどめを刺す。
沈んでいく男ーーこれで危機が去ったはずーー断末魔を聞き終えるが、自分が再起不可能なのはもう海へ身を投げた時点で、悟っている。
弟と妹、に生きてほしいと祈りながら、徐々に沈んでいく。 あがいても負傷した身体では船へとたどり着けないし、こちらへ手を伸ばす少女の姿が船ごと遠ざかっていく、高速艇はすぐに距離が開いていく、すぐに見えなくなっていった。
バイキングの船はまだ近くにいるので、捕まりたくはなかった。ナイフで自決を覚悟する。 腹を一刺しして、次第に意識が薄れていった。
「私は死にたくはなかった。ただ、みんなを助けたかった。 彼女の最後の声を聞きながらヴァルキリーは、弓術士ライアの人生を見届けたのだった。
後半部分です。 やはり土曜の11時頃に時間を絞ろうかと?




