姫巫女の試練(前半)
ああ気持ち悪いーー今日は厄日だ。 ひどい腐卵臭を放身体はてらてらネバネバしており、とても見れたものではない。
動きにくくもなっているし美しい衣装をあしらわれた、オリジナルの姫巫女の衣装が台無しだった。 早速家へとたどり着くと、お風呂を沸かして(めんどいので巫術でわかす)
もちろん薪割りなどしない。お湯が温まると服を脱ぎ捨て浴槽へ飛び込んだ。割と広いヒノキぶろだ。 ああ、極楽極楽。おばあちゃんになった気分だった。
そのまま溶けて眠ってしまいそうな弛緩した空気が流れる。
ふと近所のがきんちょがのぞいているのに気づく、全く色ガキが、ピンと式神を飛ばす。
少年の目のあたりにアイマスクのように、式神のオフだが張り付いて離れなくなる。
ワーと蜘蛛の子を散らすように、色ガキは逃げ去っていった。
ふう、油断も隙もありゃしない。 あれは、鈴蘭が町をネバネバ状態で横断したあたりからつけてきていたのは知ってたが、堂々とのぞき魔でするとは最近のガキは全くなっていないとか考えているうちに寝てしまった。どうやら、力を使い過ぎた……らしい?
次に目が冷めると、浴衣を着て布団で寝ていた。レイア姉さんの所業だろう。彼女は気が利く。 丁寧にたたまれて枕元に置いてある。
巫女服を眺めながら、もうよるの0時近いことに気づいた。やばい夕飯食べてないようーー鈴蘭は着替えもそこそこに、食堂へとダッシュ。
作り置きの料理が底には用意されており、それを適当にむさぼる。
おしとやかに都会って入られない。何せ時間がない。 消化不良で試験に臨むのは避けたかった。 試験ーー彼女にとってはどうでもいいことだったが、道満法師にも迷惑かけ続けるわけにもいかないし、何より昼間のムカデみたいなのに対処できる力はほしいと思ったのだった。 打算ですーーええ悪いですか? 計算尽くですよ。
開き直る鈴蘭ーー白百合ならどんな風に考えるか想像してみたができなかった。
食事を終えて、巫女服を着付けしていく。儀式服の方で、一人で着付けするのは若干めんどかったが、巫術なども使い完璧に着こなすついでに顔を隠すフードをして、よし完璧。
後は腹ごなしに夜の散歩だなとか思うが、胃もたれを起こしていた。そのまま布団に突っ伏す。 早く食べ過ぎたらしい。 淑女かーーそんな過去の自分が想像できない。
「白百合、貴方は何を考えていたの」鈴のような声が響き渡る。 自問自答を繰り返すが、小田へは当然帰ってこない……
道満法師は機嫌が良かった、ちょっと鈴蘭を脅してやったら意外とその気になってムカデになった法師さえも撃退して見せたからだった。
やはり、才女である彼女はやる気さえ出せばできる子だった。
1回目二回目までの儀式ならば簡単にクリアできるぐらいにはやる気がわいている今がチャンスだった。
『魔よーーのろいよ。きたれり、冥界の門開かれよ。ソワカ、ソワカ、ソワカーー!』
現れたの巨大蜘蛛、鈴蘭なら撃退できるとは思うが、今の彼女にはやや強敵とも思える相手だった。
儀式は神社の裏の洞窟にて行われる。
洞窟にあらかじめ巨大蜘蛛を潜ませておき隙を見て鈴蘭にけしかける。
一回二回目が優しすぎて、肩透かし気味だったのも彼女になめられた原因だろう。
今度は本気で戦うべき相手を召喚する。 さて、新鮮な少女を虐め手来るが良い。
『食べちゃってもよろしいのですか、法師』 それは困る。流石に再起不能にするわけにはいかんからの?
『ではどうすればいいので? 私は人間を脅かす存在今は法師に力を制限されておりますが、拘束を解かれれば、少女など一息のうちに絶命して食い殺しますーー我らの勝利条件を教えてください』
そうよなあこの洞窟に一人の巫女が訪れる姫巫女じゃーーたいそうおいしい生気を持っていよう。 戦闘不能になるまで 巫力を吸い上げても良いぞ、許可しよう。
『そんなことをしたら、体中だるいのが一ヶ月は続きますが、限界まで喰らっていいのですか?』
『かまわぬあの娘にもたまには摂関が必要じゃじゃろうて、いつも家族に大切にされてきたからの、少しは世間にもまれぬとな、かかか』
やたらと物騒な思考の巨大蜘蛛はすぐさま生気を求めて、旅立っていった。
うまくやれよ鈴蘭、わしは、神社でお茶でもしようかの? 杖をついてコツコツとある射ていく。
「そろそろ0時ね、前回はこけおどし、前々回はもっとどうでもいい、式神の群れが相手だった、吹けば飛ぶようなそれを鈴蘭はあえて突破しなかった。
巫女なんてめんどくさい。 そう思う気持ちの方が強かったからだ。
なれるものなら、アイドルよね、みんなのアイドル鈴蘭ちゃん登場とかやってみたいなーー
お馬鹿な思考を巡らしてるうちに0時になったので、神社裏手の洞窟へと向かう。
ふんふんふーん、完全になめきってる鈴蘭はいつもと様子が違うのに築かずに鼻歌まで歌い始める始末だった。世の中なめている。
洞窟の奥まで来るが何もない訳もなく開けてくださいと言うばかりの玉手箱がひとつ。ミミックだったりしないよね? まあそれはともかく開けてみる。中身は何にもない。スカと書かれた、紙切れが一枚ーー期待して損した、そんな思いを抱いた瞬間だった、どこからともなくしろいいとが射出される。
「なななな、な? それを巧みな舞を踊るように酒ながら避けきれない分は破魔刀にて切り結び、分解する。
その仕草はまさに剣の舞だった。
『やるな人間、今日の夜食がどんな物かと着てみれば、小娘とはな。だが、その力いただくぞ。腹一杯になって冥界に帰る。おれこのせんとうがおわったら、出稼ぎやめて妻をとるんだ、嬢ちゃんも大人になったら相手してやってもいいぞ!?」
殿蜘蛛が言うかーーカッチンとスイッチが入る、今寸足らずって言った?(言ってない)がニュアンス的には似たようなものだった。 気にしてるのに小娘だなんて。
式神を飛ばす、蜘蛛を拘束仕様と舞うそれらは、紙飛行機が石を持っているように動き、張り付いていくーー『こらやめないか、貴様ら食事の邪魔をするんじゃない』
妙に人間くさい蜘蛛だなあと思いながら、破魔刀を一閃する。 足を一本切り結んで落とした。
『ぐわーぅ、小娘がーー』殺気までの丁寧な口調は終わり、激昂する。大グモーー先程からグロいのばっかりが相手なのは何なんだろうか?
巫術ーー旋風鈴、小刀の反対の袖口から、扇を取り出して舞い踊ると旋風が巻き起こる。 蜘蛛の妖怪は巧みにカサカサ移動しながら、旋風を避けるが狭い洞窟の中である。
そう簡単に回避が難しいらしい。
巨大な竜巻は、巫術で編まれているので私自身には影響がない。
洞窟の地形を壊したりもしない。
『おのれ、姫巫女ーー卑怯なり、その油断を公開するがいい!?妖術、影分身』
ーーと、蜘蛛のくせに妖術まで使ってくる。巨大蜘蛛、急に分身が幾重にも見えるようになり、計6体にもなる蜘蛛を前に、本物がわからなくなる。
「風よ、水よ、ーー私に力をーー、スプラッシューートーネード、右手から、直線的な気流と水流の合成技を発射して、蜘蛛を一人片付ける。
『ほーほほ、無駄よむだ。
確率は六分の一、そう簡単に当たるものかね』
『六分の一でアンタ死ぬよ? 悪くない確率じゃ?』
冷静なツッコミを入れる鈴蘭、
神社で水鏡越しに観察していた。道満法師は、あまりに優勢な戦いを繰り広げる鈴蘭を驚愕の目で捉えながら、「ムムムとつぶやく、これでは試験に並んではないか……少し見くびって追ったようだ」
追加召喚「餓鬼を3体召喚、増援じゃ、いけーー!
ついでにミミックを召喚する先ほどの玉手箱は念のための保険だったのだった。
再び鈴蘭の戦いを眺める。 すでに数が三つまで減っている雲の影分身。
いよいよ後がなくなった蜘蛛は命乞いを始めていた。情けない奴だ。
『おらあ、まだ死にたくないだよ。 助けておくれーー殺す気なんてなかったんだ。ただ娘っ子ちょっと脅してやるだけでいい魔力もらえるときいて、道満様に従っただけだよ。
悪気などなかったどね、許してけろ』
混乱して田舎者モードに入っている字が出ているのか言葉が乱れる巨大蜘蛛
底に餓鬼が乱入してくる上に鈴蘭の背後からはミミックが召喚される。
「へへへ、めんこいおなごはどこじゃい!
餓鬼は鈴蘭と目が合うと、「大めんこいの御おれのタイプだとか、「もうちょっとロリっぽいのがいいなあとか「いやいや、やはり大人の女性がとか三者三様の反応を見せる。 もうやだこの展開。
化け物の方構えばかり向いていたので、ミミックの存在に気づかず足にかみつかれた。
あいたと思ったときにはもう遅く、バランスを崩した鈴蘭に好機を感じ取った蜘蛛が糸を吐きかけてくる。がんじがらめに絡め取られる鈴蘭ーーだが餓鬼も、巻き添えを食らっており全く連携はとれていなかった。
それぞれが別の攻撃方法をとっているため連携がバラバラだ、底につけいる隙があると判断するが、身体が動かない。全身蜘蛛の標本のように、縛られてしまっている。
うーん、まずいなあ。蜘蛛、巫力をチューチューされたあげくに一ヶ月寝込むのは避けたい。 その上試験失格となったら同魔法師にどんな小言を言われることか、おおなさけないだのいわれるに決まっている。
忍び寄る蜘蛛は背後から、身体に足を伸ばしてくる。
鈴蘭ちゃんピーンチ、だがこういうこともあろうかと式神を何体か飛ばしておいたのだった。彼らに高速の解除を命じつつ。時間稼ぎに蜘蛛へと交渉を図る
『私が悪うございました。大グモ様とってもイケメンな大グモ様、私は、貴方の妻になります故、どうか見逃してください』
嘘八百と聞けばわかる世辞を口にして事態の奪回を図る。 蜘蛛がその気になってかぶりついてきたら勝負はついてしまう。
先ほどからの蜘蛛の発言から鈴蘭はちょっと色仕掛けすれば突破できる相手だと見抜いているのだった。
『でへへ、おらあ女子そんなこと言われたのは初めてだよ。やっぱおれってイケメンだったのか?』
鏡を取り出さん勢いで髪の手入れ?とか始める蜘蛛、予想通りチョロい奴だった。
そうしてる間にも式神を通して、光線を放ち出力は小さいが確実に、束縛を焼き切っていく。
だが、蜘蛛を怒らせたらその瞬間に勝負が決まるので慎重に行う。
『イケメン蜘蛛さん、いい男と見込んでお願いがあります。
私の胸元を、開いてください』
とここでハニートラップを仕掛ける。 蜘蛛は驚いて、そんなことして許されるのか。
未成年に手を出していいのは、大人の紳士的にはどうかと思うのですが?
先ほど、まで田舎者だったのに急に紳士づらを始める蜘蛛。 チョロくてコントロールしやすいのはいいが、もうちょっとどうにかならないのだろうか?
私にまけた後の人生が、心配なほど頭の回転が鈍い。
ではいただきまーすとか言いながら胸をまさぐり始める蜘蛛、胸元の着物がはだけて巻物と、破魔刀が落ちる。破魔刀が地面に突き刺さるように、調整して、落とす。
眼力による物体操作だ。 重力操作とも言えるそれを受け性格に洞窟の中心へと突き刺さったそれが、結界を作り出す。魔物達のランクが2ランクほどダウンする。 同時に巻物も蜘蛛の下へと落とす、要するに自分の背後に落とすイメージだった。
瞬間巻物から火柱が上がって、蜘蛛学問の悲鳴を上げた。
『だましただなーうまくいきすぎるとおもっただよ、これだから都会の女子さ信用できないべえ』蜘蛛は実体を失い燃え尽きて冥界へと戻っていくようだった。
『さようなら蜘蛛さん、残念だね。私のまけるところだったのに惜しかったよ』
と手を振ってお別れを告げる。 消えず残ってしまっている糸を式神が切り払っていく。 程なくして糸から脱出して、短刀を手に取る。
さあ、次のお相手は誰かな? といいつつ、後ろ足に蹴りを入れて、ミミックを黙らせる。蹴りを通して、巫力を流し込むとミミックも動かなくなった。
さてのこるは三体の餓鬼かーーこれなら楽勝ね♪、すでに勝ち誇る鈴蘭は、蜘蛛の糸に捉えられたが飢餓だ出刷るまで待ってやる。
「へへへ、お嬢さん俺たち御なめちゃあいけなかったね、餓鬼のリーダーらしき少年?が吠えるがちっともこわくない」
「御託はいいからさっさと掛かってきてくれない? 退屈ーーそろそろねむくなってきたわ とふわーと隠すことなくあくびをして背伸び、完全になめきってる鈴蘭に対して、敵意をあらわにする餓鬼達、「もう怒った初め着茶に穢ししまくってやる」
「そうだ、こんな生意気な女子地獄に落としてやればいいのだ」
「そーだそーだー」
子供扱いされていることで不平を漏らす餓鬼爽雨ところがガキっぽいって言ってるのだ。
二人の餓鬼はたいした実力がないことを鈴蘭の観察眼はすでに見に射ている。いわゆる音もモンスター似すぎない雑魚だ。
中央のリーダーだけに意識を向ける。