姫巫女鈴蘭
「私は、救いたかった。みんなをたくさんの人たちを、もう誰にも死んでほしくはなかったかから……」
そうして物語(運命が始まる)
場所は移って、ジパングーー ジパングというのは外から見た呼称であり、日本であるわけだが……
少女の名は鈴蘭、黒い髪と、紫の瞳を持つ彼女は、外来者故に人々から奇異のまなざしと尊坊などの複雑な感情を受けることとなる。
見込みなら意図して、齢14の彼女は、正確な年齢も知らなかったが、代替そのぐらいの見た目であること、また、彼女のフードの意匠から、鈴蘭の名前で親しまれるようになっていった。
神社で働く見込みならいである彼女には姉、父親、祖父の三人の家族がいる。
異国から来たという彼らの素性は不明ではあったが、楽しく暮らしている、それが私、鈴蘭だ。おじいさま曰く私は記憶喪失だったらしい?
神社の前に捨てられているのを、神主のおじいさまに発見されたそうだ。
今は、父親のシリウス様が二代目として神主の仕事を引き継いでいる。
わずか三代の小さな神社だった。
その前にも続いている。古い歴史はあったらしいが、疫病で、神社の血が途絶えたことで、異国から来た。 私たちにお鉢が回ってきたらしい?
曰く、お父様は火が出せたりするので、たいそう珍しがられたため当初は旅芸人一座ということで各地を転々としていたそうだ。
この村に着いた際に鈴蘭の用紙がいずれ巫女にふさわしいことと、姉様とその父上であるシリウス様は、どちらも強い霊力を持つのだとか?
彼らに手ほどきを受けるうちに、高齢で引退した。神社の元神主、
道満法師を指示し、今に至る。
異国から来た彼らには、日本の神仙術を教えられなかったために、旅の法師である、彼が急遽指南役として抜擢されたらしい?
私の言がほとんど伝聞系なのは、数年間記憶を失い、意識がなかったことに起因している? その間のことを知らないので、知らないとしか言い様がない。
巫女みならいとは言っても、今日は巫女として正式な訓練を受ける通貨切れ、姫御子の儀を行う記念日なんだとか? 試験というものをやるらしい。
私に果たせるだろうか? 神社へ着くと、道満法師が待っていた。
「着たか鈴蘭、お主にはそろそろ、この神社を継いでもらわなければならん、わしととて旅の法師よ。いつまでも暇ではないのでな、今夜こそは頑張ってもらうぞ。
試練に合格すれば御の字者が、お主は過去2回失敗しておる。
三度目の正直という言葉がある。 まあ、なんとかなるだろう。
だが、心せよ、中途半端な覚悟で巫女になろうものならろくでもない災いが……」
道満法師の話は長い退屈だった。 「そんなことより、今日は、何して遊ぼうかなあ」 あくびをかみ殺しながら適当に、応える。
リリーとしての記憶はすでになく、鈴蘭は、やや天真爛漫な本来の彼女とは違った。
軽め性格を身につけつつあった。
おそらくだが、本来の鈴蘭はこちらで、王宮でがんじがらめに育った彼女は本来の奔放を隠してしまったのだろう。
「早く帰って遊びたいよーー!」
渇ーー、うひゃあ、何よ道満様、いきなり驚かせてーー!?
不平を漏らす鈴蘭、ちょっとぐらい大目に見てくれてもいいのにと唇をとがらせる。
「お主の中にはもう一人のお主が見える。 そのものは強い霊力、嫌魔力と言うべきか、どちらでもいいが、強いちからをもって追った。その力は身を滅ぼす、悪霊を寄せ付けるでな。 対策を立てる上でも巫女の力に目覚めてはもらわないと、悪霊に呪い殺されるのう。
「だって退屈なんだもの、その脅し面白くなーい」
「やれやれ、じゃじゃ馬娘がが、とうとうしびれをきれせおって、道満様にはもう一人の私が見えているらしい?
彼女はしとやかで、落ち着いた女性で真面目で配慮がある世間知らずなお姫様だとか、尊とい姫と巫女の私、会わせて姫巫女なんて安直なーーと思ったりもする。
ああ、お姫様私もその役だったら良かったのになー、一生ゴロゴロして遊ぶんだーえへへ」
一度悪霊に襲われればそんな考えも吹き飛ぼうもの者というのに平和世よのおー」
「そだね、多分一生平和、平和、巫女なんかにならなくてもいいじゃないさ。もっと面白い遊びがしたいー? あれやって宴会芸」
「黙らっしゃい」
あいた、しない出ぶん殴られる。摂関竹刀鈴蘭用と書かれたそれはネーミングセンスがあまりにもひどいと思うんだ。 運虐待よくないーー平和だいじ。
とにかく今日の夜0時から2時間姫巫女の儀を行う。 心して準備するが良い。
やったー遊びに行こうっと。
長々としたお説教から解放された鈴蘭は遊びに出てしまう。これでは今日も失敗するだろうなあと思う道満法師。
ならば一つ脅かしてみるかのう?
肝が冷える体験でもすれば考えも変わるじゃろうか。