表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

〜誰のものでもない世界へ〜

 この蒼い空は、どこまでも続く。終わりのない空 終わりのない世界。この時間がいつまでも続くのか続かないのか分からない。

私は出来る限りみんなの記憶という「思い出」の中に残れたら嬉しいなぁ。   

    

        ー2年前ー


「わっ!」

急な坂道を自転車で降りていっている。

「ねぇ、待ってよ!」

「・・・。」

「無視しないでよ!」

呆れたような溜め息を吐かれた。

「はぁーっ。遅い!お前、メールで集合時間と場所送ってきたよな!?」

【炎!鳳凰!梨穂! 明日、星乃駅・19時に集合ね!】

 鳳凰は、丁寧に自転車を止め、スマホを見せた。

「あーぁ。送ったわ。忘れてたごめんね。」

私は、何回呆れた溜め息を聞けばいいのか。

30分後に、ようやく星乃駅に到着した。

「おーぃ。お待たせーっ!」

大きく手を振りながら、私は炎と梨穂の元に行った。

「すまん。遅れたわ。このバカのせいで…。」

「あぁ。良いよ。どうせ早く行ったところで、まだ観れる時間帯でもないしね。」

鳳凰が炎と話をしていたのだが、その話をさいぎって

「よっし!行こう!星崎展望台へ。」

 今日、私達が集まったのは、展望台で星を見に行く為である。私合わせて、全員幼馴染である。


      ー45分後 星崎展望台到着ー


頭の上には、数え切れない程の星が、目の前にある。

まるで、宝石を砕いて散りばめたように綺麗だ。

「わぁ。綺麗。なんでこんなに輝いているんだろう?」

「さぁ?でも、この星々は俺らよりもずっと長い年月を地球の外に存在する宇宙で生き続けてるんだろうな。」

 鳳凰の言葉を聞いて、そんなにすぐに言える言葉なのかと、疑えるけど納得も同時に出来る。

〈でも、本当は鳳凰が別の意味で言っているような気がして、不安が出てくる。これだけは、絶対に言えない。自分からは、言い出せない。〉

 本当は私がどういう人物なのかー。

《あの星々は、あんなに輝いて存在していることを伝えているのに、なんで私は何も出来ないのかなぁ? いや・・・違う。出来ないのでなく、やっても無駄だと決めつけてしまっているからだ。》

 私には、一つだけ秘密がある。 

友達や幼馴染に言っていないことがある。今は分からないかも知れない。けれど、いつかは分かる。自分が、誰でもが知っている歌い手であるということを。

 私が、一言も喋らず星空を見ていたら、炎と梨穂が心配そうな声で、

「大丈夫?」って言ってきた。

元気な声で、 

「大丈夫だよ!!もう、寒いし帰ろっか。」


   そこで、その日の出来事が終わった。

      一種の日記のように。

     そして静かに幕が降りた…。


  ・〇〇××年△月□日(月):歌い手、登場

 そして、3年という月日が流れた。私達は高校1年生になった。

 ある日、ある噂でクラスが騒ついていた。 

「数年前に居なくなっていた、あの歌い手が、この学校にいるらしいよ。」

「えっ!?本当!私、あの子の曲好きだったんだ。久々に歌声が聴けるのか。楽しみだな〜。」

クラスの友達の会話の内容が聞こえてきて、一瞬だけ、寒気がした。

 そして、4限まで授業が終わり、昼食の時間になった。

 ある一つの放送が学校内で流れた。

「放課後、今、噂になっている歌い手が顔出しで歌ってくれるそうです!聴きたい方、ぜひ体育館へ行って下さい!!」

そして、プツリッと放送が切れた…。


        ー放課後ー


 ある少女が、ステージに立っていた。

絶対違うと確信したのは、自分だけだった。

でも、その子は「凛音」と名乗っていた。あの姿を見たことがある。

〈だって、あの子は、桜衣 火乃香。私のクラスメイトであり、同時に友達でもある。でも、なんであの子が、「凛音」って名乗ってるのかなぁ?〉

火乃香は、周りを見渡すように誰かを探していた。

そして、指をこっちに向けてきた。

「そこの人、私と歌の対決をしませんか?」

〈なんで、私なの!?ていうか、これ絶対に誰かが、仕組んだ事だ。だって、鳳凰と炎の姿がないもん。梨穂は、私と来たからいるけど…。〉

私は、沈黙したままだった。

だけど、周りの目線から《まさか断る気ないよな。》

という風に感じた。

 そして、決心した。

「いいですよ。対決をしましょう。何の歌を歌うんですか?」

クスッとその子は、笑い、口を開いた。

「では、“空”と“感謝の日々”を歌いましょう。もちろん、先攻は私。後攻は貴女で。」

         ー1曲目開始ー

〔青い空の〜上に存在する この星々が〜繋がっている〜♪〕

火乃香が歌い終わると、体育館にいる人達が騒ついた。

「ねぇ。この子、少しだけ音程外してなかった?」

「しょうがないよ。今まで、歌ってなかったんじゃないの?」

「確かに、そうだね。」

 パチッパチッと拍手の音が聞こえた。

そして、バレる事もなく、私も歌い終わった。

          ー2曲目開始ー

〔そばで〜時を過ごし。言葉で伝える〜思いやりを〜♪〕

火乃香は、この曲を知らなかったのか、音程がズレていたのと声があまり出ていなかった。

そして、私も歌い終わった後、また、騒つき始めた。

「ねぇ。後に歌った子の方が上手くない?」

「確かに。」

数分もしないうちに、観客たちが批判してきた。

「おい!お前!凛音じゃねぇだろ!さっさと舞台から降りろ!」

「あんた、歌。下手すぎ。凛音は、もっと上手いんだよ!」

これを聞く限り、もう野次馬みたいだった。

そんな中、鳳凰と炎が舞台の上に来た。

火乃香の横に立ち、こっちを向いて

『貴女が、凛音ですか?』と聞いてきてきた。

体育館にいた人は、一気に私の方を向いた…。

驚いたし、少し焦りもあった。

〈絶対、バレるはずがない。だって、私の正体を知っているのは梨穂だけのはず。〉

と思っていたのは私だけだったようだ。

 梨穂の方を向くと、『ごめんね。』という顔をしていたので、たぶん鳳凰が無理矢理にでも、聞き出したのだろう。

そして、「はい。」結局、返事をしてしまった。

〈本当に私ってバカだなぁー。〉と思いながら笑った。返事をしないといけない雰囲気でつい…。

 

      そして噂は本当になり、

 今もまだこの学校に通っているとかいないとか…。


      これは私の日記だから、

ハッキリとした事は書かないようにしているから、

もしこの日記を見つけた時に読まれてるかもしれない

   まぁ、いいかwwその時はその時だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ