助っ人
「はい?」「えっ?」
俺とセレナの声が重なる。
「セレナを頼む」
いやいや、もう一度言わなくてもわかってるけど、意味についてはわからない。
「セレナに手伝わせてやってくれ。それも住み込みでな」
「あっ、そういうことですね。上に部屋は余ってるので大丈夫ですよ」
なんだー。
てっきりソウイウコトかと思うじゃん…。
「何だったら結婚してもいいぞ」
「ブフォッ!」
ガンマおじさんのぶっ込みに、俺が紅茶を吹き出してしまった。
「いやいや、まだ成人したばかりですし…」
「あら、早くなるか遅くなるかだけの違いじゃない?」
おいおいリーザおばさん、あんたも乗っかってきたのかい!
肝心のセレナは顔を赤くして俯いたまま喋らないし…。
対応にちょっと悩むがとりあえず躱しておくことにする。
いや、セレナはかわいいし美少女だよ。だからこそ心とカラダの準備が…ね。
「セレナの気持ちのこともありますし、お手伝いだけでもしてもらえたら十分です」
「そうなのか。せっかくの機会だと思ったんだがな」
「ガンマはこう言ってるけど、焦ることはないのよ…、孫は見たいけど」
「…。」×3
何だ?リーザおばさんが1番焦ってる疑惑が急に出てきたぞ。
当然3人共無言だ。
ガンマおじさんでさえ驚いているのがちょっと笑えるな。
「何はともあれ、セレナお手伝いよろしくね」
「うん…」
「俺もちょくちょく顔を出すからな」
「そうですね。お願いします」
はっきり言って、俺にとって顔見知りが多いとはいえ、若い2人の宿屋なんてお客さんに舐められないとも限らないから、おじさんの言葉はすごくありがたい。
「それじゃ、2人とも。精龍亭を頼んだぞ」