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川の字



「という訳だから、今日からよろしくね!」



何が「という訳」なのかよく分からないのだが、風魔亭の宿泊部屋にシェリルが転がり込んできた。


「あら、お盛んなのね❤」と言うシンシアさんに、あなた程ではないと思いながらも無理くりお願いして了承を得た。

シェリルのルート商会の会長の娘という立場も大きかったのだろう。大きめの部屋に変えてくれた。



「今日から3人で寝ようねー!」



そう言うシェリルだが、実は恥ずかしいのか緊張してるのか、ずっと部屋の中をソワソワして動いていて、それがまた可愛いかったりする。

だからってセレナが可愛くないわけじゃないぞ。セレナは安定して可愛いのだ。



「ねぇ、寝る前なのに2人とも何してんの?」


「あー、これは魔力量を上げる訓練みたいなもんかなー」



前から考えてた、魔石に魔力を込めるという、魔力を上げるための訓練を、俺たちは日々の日課としていた。



「魔力って上がるの?」


「まだやり始めたばかりだから分からないけど、魔力を使い切る感覚は分かってきたかなー」


「ふーん。ボクもやってみようかな!」



シェリルがそう言ったので、俺が魔石を手渡すと、シェリルはすぐさま魔力を注ぎ出した。

やがて魔力がなくなると、一転して疲れた表情を見せた。



「これさ、地味だけど意外と大変だね」


「ハハハッ! 確かにそうかもな。でも、魔石の色が変わって面白いだろ?」


「そうだね! それに、この魔石が魔道具に使えるようになると思うとワクワクするかも!」



そう。シェリルの言う通り、魔力を注いだ魔石は魔道具を動かす燃料?電池?になるのだ。

やることに損はないし、むしろ続けることはメリットしかない。しかも3人でやるとなるとそれなりの数が仕上がるかもしれない。

そうこうしてるうちに眠くなってきた俺がベッドに入ると、シェリルがセレナに質問し出した。



「セレナはどっち側に寝てるの?」


「シーマの右側になることのほうが多いかな?」


「それじゃあ、ボクは左側ね!」



俺としてはあまり意識したことはないのだが、セレナが言うならそうなんだろう。

3人で川の字になってみたが、女の子の匂いがするわで、これがまた結構恥ずかしかったりする。この状況をフォルティスさんに見られでもしたら、何を言われるのかわかったもんじゃない。


そんな事を考えてたら、シェリルが突然腕に絡み付いてきた。



「ねぇシーマ?」


「ん?どうしたシェリル」



急にシェリルの顔が近くなって眠気が吹っ飛んだ俺は内心ドキドキしながらも、すぐ隣りにセレナもいるので、何とか平然を装って返事をした。



「ありがとう」


「何が?」


「ボクと婚約してくれて」



なんだー。

何かと思えばそんなことかー。

まぁ「そんなこと」とか言ったら怒られそうだから言わないけど。



「シェリルだから、婚約したんだよ」


「うん。ボク、こんなに幸せな気分は初めてだよ」


「そっか。3人でもっと幸せになろうな!」


「うん!」


「そうね」



俺の言葉に2人とも同意してくれた。

俺としてはある意味第2の人生でもあるんだ。出来るだけ楽しく生きていきたい。こんなに可愛い女の子たちがそばにいてくれるならなおさらだ。



「そうだ! ボクもアイテムボックス使えるようになるかな?」



シェリルが急にそんなことを言い出した。



「どうだろうなー。時間はかかるかもしれないけど使えるようになるんじゃないか?」


「使えるようになるといいなー!」



共有スキルかー。

シェリルがアイテムボックスを使えるようになるには、エルピスの協力が不可欠だ。

ただ、お願いするのは構わないけど、何かチクチク言われそうな気がするのは気のせいだろうか…。まぁ、それでもシェリルのお願いを聞かないわけにもいかないので、とりあえず祈ってみるかー。


2人が寝静まったのを確認した後で、俺は動けない状況の中で、エルピスに祈りを捧げた。


だが、その日は何もなかった。




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