お姫様抱っこ
「!!」
そこにはロープで拘束されているエルピスがいた。
いや、違うのは分かってるよ。
分かってはいるけど、
それでも似ている。
「エルピス様に依頼された方ですか?」
「あ、あぁ、そうです。聖女クラリス様ですね? エルピス様に依頼されてあなたを救出に参りました」
俺はそう言うやいなや、クラリスを拘束しているロープをシータで切った。
「ありがとうございます!!」
「!!」
ロープを解いたと思ったら、いきなりクラリスが俺に抱きついてきた。
予想してなかった展開に、俺はビックリして言葉も出なかったのだが、俺のカラダのほうは冷静にクラリスを受け止めていた。
あー、クラリスはクラリスだ。
エルピスとは違うな。
えっ、何が違うって?
クラリスのほうがお胸が立派なんです!!
服の上からわかるくらいだから…。
ん?!
サーチに近寄る反応が出た。
ヤバいな、誰か来るぞ。
無理矢理だけど急がなきゃいけないところだからしょうがない。
「ここに近寄ってくる反応があるので、早くココから脱出しましょう。話はそれからです。ごめんなさい。ちょっと我慢して下さいね」
「キャッ!!」
俺は抱きついてきているクラリスの両足をすくい上げて、お姫様抱っこの形をとる。
「これから魔法で何度か移動しますので、俺のことを掴んでいて下さい」
「わかりました!!」
俺はサーチでクリスさん達を探しつつ、人の気配がないところへ移動する。
「テレポ」
3度目のテレポで馬車の近くまで来た。
「「「!!」」」
「…シーマくんこっちだ。早く乗って!!」
「はい!!」
俺はお姫様抱っこのまま馬車に飛び乗った。
「クリスさん、お願いします!!」
「よし。馬車を出すよ!!」
クリスさんの言葉と共に馬車が動きだした。
「ふぅ〜」
「「「あちゃー…」」」
俺がひとつ大きな息をついたと思ったら、嫁ズ+フィリア王女がため息をついた。
「ん?!」
「ねぇシーマ、緊急事態なのはわかるけどいつまでその体勢でいるかしら?」
「さすがにもう離れてもいいんじゃない?」
「私だって抱っこされたことないのに!!」
「あっ!!」
俺はクラリスをお姫様抱っこしたままであることに気付いて急いで降ろした。
3人の目が若干座っている。
ヤバいな。
言えない…。
あまりにしっくりきてたから離せなかったなんて言えない…。




