僕の力
宴を始めてもらってから結構時間が経って、みんなが酔っ払ってきた。
お前にはまだ早いとの事で翔陽はジュースのような果実水を飲んでる。モンモンとカンカンも同じものを飲んでる。
「おぉい! ショーヨー飲んでるかァ??」
「エ、エラさん大丈夫ですか?」
「あぁん? 大丈夫に決まってんだろぉぉ?? ガッハッハッ!!」
そう言いながらエラがバシバシと背中を叩いてくる。めちゃくちゃ力が強くて正直痛い。
その後もずっとゲラゲラと笑いながら背中を叩かれ続け、背中が温かい。
この人はやばいと翔陽は背中を叩かれながら思った。
「そういえばショーヨーくんはどんなスキルを持っとるんじゃ?」
「え? スキル?」
スキルとはなんだろうか?翔陽は困惑するが料理や洗濯の事だろうかと考える。するとザイカンが口を開く。
「あ〜言いたくないならいいんじゃいいんじゃ」
「・・・いえスキルってなんですか?」
『え!?』
翔陽がそう聞くと、周りのみんなが顔がこちらへ向き驚いたような顔になる。
「ショーヨーくん」
「はい?」
「スキルって言うのはな、訓練なんかをして手に入れる能力のことじゃよ、稀に生まれながらに持っとったりするがの」
「はぁ」
「ショーヨーお前どんなとこから来たんだよ! スキルを知らないってガキでも知ってるぞ!」
要はゲームのようなあれだろうかと翔陽は理解する。魔法で火を出すとか、そういうあれだろうか。しかしイメージがあまり浮かばない。
「まぁ見るのが早いかの、ほれ」
「え!?」
考え込んでいると、ザイカンが指をジャイルへ向けるとジャイルの尻に火がついた。比喩ではなく本当に火がついたのだ。
翔陽は狐につままれたような顔になる。どうやらここは日本では無いらしい、それどころか地球ですら無いようだ。
「おおい! 何やってんだじじぃ!!」
ジャイルは慌てながら尻についた火を消そうとあっちこっち駆け回る。
「これがスキルじゃよ」
そう言いながらニヤついているザイカン・・・
「あの・・・ジャイルさんのお尻に火がついたままです・・・」
「あ・・・まぁ長く生きてればこんなこともあるもんじゃよ! ホッホッホ」
「いいから消せよ!」
ジュっ! という音と共に水で消化する。その水もザイカンがどこからか出した水だ。
「は〜熱かった〜」
「まぁ感謝するんじゃな」
「いやじじぃお前のせいだろ」
ジャイルがザイカンへ詰め寄るが笑いながら躱し続けるザイカン、ザイカンも結構酔っ払っていそうだ。
「けどその様子だと自分のスキル分かってないようじゃな」
「あ、そうですね分からないです」
「・・・ちょっとモンモンちゃんや、そこの棚の引き出しから鑑定板取り出してくれるかの」
「分かったの」
そう言いながらモンモンは棚をガサゴソと漁り、何やら黒色の板を取り出し翔陽の前の机に置く。
「はいなの」
「ありがとうございます」
「なの」
と頭を突き出すモンモン、翔陽は無意識のうちにその頭を撫でてしまった。それを見ていたのかカンカンも
「なの」
と翔陽へ頭を突き出してくる。そちらもほぼ無意識のうちに撫でてしまう。なんて魔性な双子ちゃんだろうか。
「さてショーヨーくん、そこに手を置いてくれるかの」
言われるがままに翔陽は黒い板に手を置く。
すると頭の中に情報が無理やり入ってくる。
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名前 月下 翔陽
年齢 17歳 性別 男
スキル なし
魔法スキル なし
固有スキル 掌の中の非現実 臆病者の嗅覚
称号
異世界人 召喚されし者 捨てられし者 拾われし者 愛を求めし者
スキル説明
掌の中の非現実
手のひらの中に思い浮かべたものを創り出す力、思い浮かべた物の大きさによって魔力の消費量が変わる。
臆病者の嗅覚
自身の身に危険を感じると鼻が痛くなる。常時発動スキル。
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情報が翔陽の頭の中へ無理やり入り込んでくる、初めての感覚で少し気持ち悪く感じる。
「ショーヨーくん! 大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
「そうか・・・それでスキルは何かあったかの」
「あ、はいなんか固有スキル? が2つありました」
「なにぃ!? 固有スキルが2つだと・・・舎弟のくせに生意気な!!」
「おおお!! それはすごいのぉ! どんなスキルなんじゃ?」
ザイカンが根掘り葉掘り聞いてくる。ジャイルに頭をグリグリされながら先程頭の中に入ってきた情報を翔陽は話す。
「ほぉ〜そんなスキルがあるんじゃな」
「なぁショーヨー、試しになんか作ってみてくれよ!」
そうエラが無邪気な目をキラキラさせながら見ている。
「じゃあやってみますね」
翔陽は先程の説明の通り頭の中で考える。何を出そう。大抵のものは出せる? いつも考えてたものにしよう。と掌の中へイメージする。
・・・いつも想像していた。この手に力があればと・・・翔陽は銃を掌の中へ想像する。
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
何も出ない。
「すみません、なんも出ないです」
「・・・そうか、そうか」
「ごめんなさい」
エラが目に見えてテンションを下げる。翔陽はなんか申し訳なくなる。
『魔力が使えてないの』
モンモンとカンカンがいきなり翔陽の手を握りそう言う。
「あ? そりゃどういうことだ? モンモンカンカン」
『言葉の通りなの、ショーヨー魔力が上手く使えてないの』
「だから出ないんですか?」
2人が言うには魔力を出すのが上手くいってないらしい。翔陽には何を言っているのかよく分からなかったがモンモンとカンカンが手伝ってくれるらしい。
『そう、「わたし」「私」達が手伝うからもう1回想像してみて』
「はい」
カンカンとモンモンが翔陽の左手を握りながら、翔陽はもう一度想像する。
この手に力があれば、この手に銃があればと
そう考えると翔陽の掌が光り始める。
「おぉ! 光ってるぞショーヨー!」
光が収まると妙な脱力と翔陽の手には何度も想像した、何度も願った“銃”が手に握られていた。
「できた・・・出来ました!」
「よくやったショーヨー!! それでそれはどう使うんだ? 食いもんか? おもちゃか?」
「これは銃と言って武器なんですよね・・・」
「そうか、じゃあ使ってみてくれよ」
「え!?」
「え? って使うために創ったんだろ?」
「まぁ確かに」
確かにいつも想像はしていたが使う事を考えていなかった。確かに創ったからには使わないと意味が無い。
「じゃあ使ってみるので離れてください」
「あいよ〜」「楽しみじゃな〜あれを見てるとなんか背中がゾワゾワするぞ」「俺の尻大丈夫か?」『少し焦げてるの』
そう言いみんなに離れてもらう。
それにしても銃ってどうやって撃つのだろう?
まずは上の引くところを1回引いてみる。すると「カチャ」と音がなる。
次に両手で持ち、足を少し広げる。
後は机の上のりんごのような果物に狙いをつけて・・・最後に引き金を引くと
「パァン!!」
という音と一瞬目を塞ぎたくなるような閃光、狙いの果物には当たらず机に穴が空いている。
後に残るのは、手の痺れとむせ返るような火薬の匂い、そしてほんの少しの高揚感。
これから頑張っていきますので、面白いと思ったらブックマーク、評価をよろしくお願いしますm(*_ _)m