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僕のギャングロード  作者: 絵濡威 毛御
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「よしお前ら! (さかずき)は持ったな!」


 そう言いながら円型の机で杯を持った手を上に掲げる赤髪の女性。


「じゃあショーヨーが入った事を祝してカンパーイ!!」

『カンパーイ!』


 と周りにいるみんなが杯を中心に向けてカランと氷の音を鳴らしながらぶつけ合う。

 翔陽も真似して真ん中へ突き出すとみなさんも翔陽の杯にカランカランとぶつけてくれる。当たり前と言えば当たり前なのだろうか、それでもカランとぶつけてくれる人がいるだけで翔陽は嬉しくなり笑顔をこぼす。


「ショーヨー! こっち来い!」


 と呼ばれたので翔陽は赤髪の女性の傍へ近寄る。


「まだ酔ってない今のうちに自己紹介の時間だ! まずはショーヨーお前から挨拶しろ!」


 そう言われ翔陽は周りにいるみんなの方へ身体を向き直し、深呼吸を挟む。翔陽は自己紹介は正直苦手だがしないといけないなと思う。多分全国みんなの苦手な事の1つだろう。

 全員が翔陽へ注目する。この自己紹介を始めるまでのこの妙に静かな感じ普通なら気まずいだろう。けれど翔陽は今までやっていた自己紹介よりすごい気が楽な気がする。みんなと翔陽の年齢が離れているだからだろうか? よく分かんないが楽な気がする。


「え〜と僕の名前は月下翔陽(つきしたしょうよう)です・・・」


 翔陽は何を言えばいいのだろう、どう話せば良いのだろうと悩みの表情を浮かべる。


「好きな食べ物はなんじゃ?」


 悩む翔陽に白髪の老人がそう聞いてくれる。翔陽はハッとした顔で質問に答える。


「好きな食べ物は・・・イチゴです」

『イチゴ!?!?』

「え・・・? はい」


 翔陽が好きな食べ物をイチゴと答えるとみんなが驚いた顔をして翔陽を見る。

 結構普通の好物だと思ったけどちょっとズレてたのかな? と翔陽は少し不安になってしまう。


「ショーヨーくん」

「は、はい」


 白髪の老人が翔陽をショーヨーくんと呼んでくれる。


「なかなかファンキーじゃな!」

「え? そうですかね・・・確かに男子では珍しいのかもしれないです・・・」

「いや! ファンキーじゃ!」「あんなの食った事ねぇよ・・・ていうか食えんのか?」「ショーヨーは変なんだな!」『変な人なの』


 どうやら翔陽の思い浮かべているイチゴと違うイチゴを想像しているようだがまぁいいかという顔で翔陽は椅子に座る。


「じゃあ次は俺がいきます!」


 と金髪の青年が元気よく手を挙げて立ち上がる。


「俺はジャイル! 好きな食いもんは肉! ショーヨー? だっけか?」

「あ、はい」

「お前は今日から俺の子分だから! 精々こき使ってやるよ!」


 ジャイルから翔陽へ早々に子分宣言が行われる。ジャイルは「ふん」とドヤ顔で戸惑っている翔陽へ指を指す。


「じゃ次はわえじゃな、わえはザイカン」


 白髪の老人はザイカン。老人に見えるが服の隙間から見えた筋肉と傷の数がすごい、侍のような服装をしているのが翔陽にはとてもかっこよく見えた。そしてこういう歳の取り方をしたいと思った。


「好きな食べ物は・・・そうじゃな豆類なら大体好きじゃよ、よろしくのショーヨーくん」

「あ、はいよろしくお願いします!」

「おい! ショーヨー俺には「よろしくお願いします」は無しか? 」

「あ、よろしくお願いします」

「おうよろしく」


 なんだかんだジャイルも名前で呼んでいる。多分根はすごい良い人なのだろうと翔陽は心の中が暖かくなる。


『じゃあ次は「私」「わたし」達なの』


 ピンク髪と青髪の双子のまだ10歳前後にも見える女の子2人が立ち上がる。


『「わたし」「私」達はモンモンとカンカン、よろしくなの』


 自己紹介されるが翔陽ははてなマークを頭に浮かべ困った顔をする。


「え〜とどちらがモンモンさんでどちらがカンカンさんですか?」

『「私」「わたし」達は1人が2人、2人で1人の一心同体なの』

「・・・?」


 翔陽は結局意味が分からずにいると赤髪の女性が説明をしてくれる。


「あ〜そいつらな、一日ごとに中身が入れ替わるんだよ・・・だから・・・そのなんて言えば良いのかな〜分かんね! 自分で理解しろ!」

「えぇ」


 翔陽はそう説明され、一日ごとに中身が入れ替わる事は理解出来たのだがそれでもどっちがどっちかはあるだろうと思う。


「今はどちらがモンモンさんでどちらがカンカンさんですか?」

『・・・くすくす』


 翔陽がそう聞くとモンモンとカンカンは目を合わせ、くすくすと笑い始める。


「私がモンモンなの」

「わたしがカンカンなの」

『ショー兄は変わってるんだね』


 今はピンク髪の方がモンモン、青髪の方がカンカンのようだ。それといつの間にか名前が翔陽からショー兄に変わっているが可愛いから良いかと翔陽は何も聞かない。


「よし最後はあたしだな! あたしは赤獅子組(イラトゥスファミリー)のトップ! ボス! リーダー! 最強のエラだ! 改めてよろしくなショーヨー!!」

「はい、よろしくお願いします」


 赤髪の女性はエラというらしい。命を救ってくれた人の名前を胸の奥底へ刻む。


「よし! ショーヨー! 飲むぞ! 呑まれるぞ! 今日はめでたい日だからな! アッハッハッハッハッ!!!」


 翔陽の肩に手を回してくるエラ。もうお酒臭いがそんなことはどうでも良くなるくらい居心地がいい。こうして夜が明けて行く中、みんな笑い声が翔陽の耳に残る。

これから頑張っていきますので、面白いと思ったらブックマーク、評価をよろしくお願いしますm(*_ _)m

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