最終通告
翔陽は初めて人を殺した。
しかし気分は不思議と沈むことなく、火薬の匂いに対する高揚感と銃を撃ったことによる手の痺れによる人を殺した事の実感をゆっくりと自分の中へ引き入れる。
「・・・」
『ショー兄?大丈夫?』
掌をじっと見つめる翔陽に対し、モンモンとカンカンが心配になり手を2人で掴み顔を覗く。
「大丈夫・・・大丈夫ですよ、うん大丈夫」
『そう?じゃあ帰ろ?』
「そうですね」
「ザワザワ」「また人殺し?」「あの人がやったらしいよ」「大人しそうな顔して」「やっぱりギャングはギャングだ・・・」
翔陽はモンモンとカンカンに手を繋がれ少し落ち着き、周りにいる人たちがざわめくのがやっと翔陽の耳へと届く。
「あれは魔法だったのかしら・・・」「誰か騎士団呼んできて」「可哀想に」
翔陽は自分が注目されている事に少し恥ずかしくなり顔を赤く染める。
『ショー兄早く行くの』
「う、うん」
翔陽たちはそのまま自分たちの家へ帰る。
家へ帰る途中にも鼻が数度痛くなり警戒したが襲われる事は無かった。そうして無事に家へ着く。
『ただいまなの』「ただいま帰りました」
「おかえりじゃ」「ガキのお守りおつかれさん〜」
「おうおか・・・えり・・・」
エラは翔陽を一瞬見つめたと思ったら翔陽の近くにより目を合わせる。
翔陽はその行為に対して少したじろぐが目をしっかりと合わせる。
そしてエラはニヤリと笑い
「ショーヨー・・・お前殺ったな?」
「はい」
「なにぃ!?」
そう答える翔陽に対してエラは翔陽の頭を「そうかそうか」と言いながら撫でる。
「なんで分かったんですか・・・?」
「匂いと勘」
「は、はぁ」
翔陽の純粋な疑問にエラは当たり前のようにそう答える。
そして次はエラがワクワク顔で目をキラキラさせながら翔陽に問いを投げかけた。
「でどうだった?」
翔陽はその質問にどう答えるか悩み、顔をしかめる。
普通の人ならば最悪の気分だ、やりたくなかったと答えるだろう。しかし翔陽には多少の申し訳なさがあったが正直に言えばスカッとした。
しかしスカッとしたと答えれば異常だと思われてしまう・・・なんて答えればいいのだろうと翔陽は頭を回す。
「正直に答えろ」
エラの笑顔から出てるとは思えないドスの効いた声に翔陽は正直に答えるしか無かった。
「・・・スカッとしました」
「ふん、それでいいんだ」
エラはニヤニヤと満足気に振り返り椅子に座る。
翔陽も椅子に座りモンモンとカンカンを膝の上に乗せる。
「それで何があったんじゃ?」
「それが・・・」
翔陽はさっき会った人たちのことについて話す。
「ほうほう、それはそれは・・・まぁちょうど良かったの」
「ちょうど良かった?」
とザイカンは翔陽へ意味深な言葉を発した後、エラへ目配せをする。
「そうだな!」
「子分が使い物になって良かったぜ!」
「?」『?』
いまいち状況が掴めていない翔陽、モンモンとカンカンも顔を見合せ首を傾げてるところにエラが声高らかに宣言する。
「よし!ショーヨー!」
「は、はい」
「これから抗争だ!抗争!」
「・・・え?」
「抗争だ!」
「・・・・・・え!?」
説明もなしに今から抗争だと言われた翔陽は驚きを隠せず大きな声をあげてしまう。
「なん・・・なんで?」
「なんでって・・・さっきまたラブレターがあったからな」
エラは翔陽の前に紙を1枚置く。なんとなく状況を察したモンモンとカンカンが翔陽のために読み上げる。
『赤獅子組の皆様へ
どうやら交渉は決裂したようですので抗争をしかけさせてもらいますなの。
そして無色のシマの実に8割の組が傘下へ加わりましたが無駄な被害は出したくありませんなの。
そこで我々が抗争を仕掛ける今夜、月が登りきる前までにこの街から退去を願いしますなの。
もし街を去ってくれるのなら追いはしません。
しかし月が登りきる前までにまだこの街にいた場合、その時は無色のシマの皆様と一緒に全面攻撃を仕掛けます。
是非とも賢い選択を期待しておりますなの。
翠幸狼組団長モードよりなの』




