初めての・・・
あのラブレターから数日が経ち、翔陽はモンモンとカンカンと一緒に昼間の街をブラブラと散歩がてら買い物をしたり、露店で何かを食べたり平和な日を過ごしていた。
何事もない平和な日々、前の世界では有り得なかった恐怖心など覚える必要のない普通の日。
そんな翔陽が望んでいた平和な日に横槍が入るのを翔陽の“鼻の痛み”が教えてくれる。
『・・・ショー兄・・・見られてるの』
「うん・・・危なそうだから早く帰ろうか・・・」
『・・・』
そう言いモンモンとカンカンの手を掴み、自分たちの家に帰ろうとするが、どうやらそう簡単には帰してくれそうにない。
翔陽たちの目の前には目の焦点があっていない男女が4人、壁のように立ちはだかる。
「あ、あ、アイツらを殺れ殺れ殺ればぁ薬・・・薬・・・」
見た感じ薬漬けにされて正常な判断が出来てないように見える、普通なら恐怖を覚えるが翔陽はあんな人たちここに来てからしょっちゅう見るなと翔陽は逆に冷静になる。
『ショー兄どうするの・・・?』
「・・・とりあえず練習しようかな」
翔陽は数秒考える素振りを見せると、これからは“力”の使い方を覚えないといけないなと思い、目の前の男女を練習台にする。
『そう・・・頑張るの』
「うん」
掌にイメージをする。初めてこの世界に来て、初めて出した銃の事を。
そのイメージに水を注ぎ込むように魔力を注ぐ。
翔陽の掌が光を放ち、光が収まると掌には力の象徴である銃が握られている。
「意外と時間かかっちゃうな・・・」
『大丈夫なの何かあったら「わたし」「私」たちが何とかするの』
「ありがとうございます」
「あぁ、あぁぁぁ・・・」「な、なに、光った出た」「まほう?まほう・・・」「・・・薬・・・薬が・・・頭痛い」
にこやかにモンモンとカンカンに返事をする翔陽の目の前にいる男女は、危険を本能が感じたのか一切近づこうとしないが逆に逃げようともしない。
そんな彼らは翔陽にとっては格好の“的”である。
「パァン!」
翔陽はノータイムで真ん中にいる男の足を狙い銃を撃つ。
しかし弾は地面に潜り込み土埃を上げている。
「あ、あぁ」「・・・なに・・・まほう?」
「やっぱり難しいですね、全然当たる気がしない」
『大丈夫なの次は当たるの』
「パァンパァン!!パァンパァン!!」
翔陽は連発で撃ってみる。
すると次は男の人の足にしっかりと命中し、横にいた人の足にも当たる。
「あ、当たった・・・」
『でもふたっつ外れてるの』
「手厳しいですね・・・」
「いだぁい!!いだい!」「あぁぁぁ!!足がぁ!」『うわぁぁぁ』
弾の命中していない2人は逃げ出し、命中した2人は逃げようにも足を撃たれて逃げようにも逃げることが出来ずに転けてしまう。
翔陽は人を撃つのは初めての経験だった・・・撃つ事だけではなく人を自分の手で傷つけるの自体が初めての経験だ。
しかし罪悪感などは不思議となく、“そんなこと”よりも人を撃つという感覚をゲームみたいだなぁ・・・と思って一種の優越感のようなものに浸る。
そして父が何故怒鳴るのか・・・何故自分に暴力を振るってきたのかその気持ちが少し分かる気がした。
手に残る少しの痺れがより一層気持ちを昂らせる。
『ショー兄・・・この人たちどうするの?』
「・・・」
『殺すの?』
「ひ、ひぃや、やめてくれ、たのむ、」「もうや、やらないから、な?たのむよ?」
モンモンとカンカンの一言で翔陽の中で人を殺すという一種の人を捨てるに等しい行為に対しての疑問が浮かび上がる。
そして2人からの命乞いに翔陽は心が揺さぶられる。
と思ったが翔陽は自分でも思うほどあっさりと
「パァン!パァン!」
2人の頭を銃で撃ち抜く。
翔陽は息絶えた2人に近寄り、首元に手を添える。
頭からドクドクと勢いよく流れる血、少しずつ少しずつ冷たく凍えていく2人、少し揺らし首が硬直していく様、血の気が引いていく顔。
あぁこれが人を殺すということ・・・なんだ・・・意外と罪悪感は無いし・・・なんなら悪い気分はしない・・・むしろスッキリしたな・・・
翔陽の初めて人を殺した感想である。




