魔の手
翔陽は今日エラから働きすぎとの事で家でモンモンカンカンと3人で留守番をしていた。
最近どちらがモンモンでどちらがカンカンか徐々に分かってきた。どうやら一人称のイントネーションが少しだけ、ほんの少しだけ違う。それに翔陽は気づきどっちがどっちか分かってきた。
『ショー兄』
「ん?どうしたんですか?」
2人が揃って翔陽の太ももに座り、顔をのぞき込むように見てくる。
『ごはんいつ食べるの?』
「え〜と・・・さっき食べませんでしたっけ?」
『食べたの』
「うんそうですね、じゃあ・・・」
『でもお腹すいたの』
「・・・少し待っててください」
『なの〜』
翔陽は軽食を作るために台所へたち、何を作るかを考える。
何がいいだろうか、簡単につまめてお腹にある程度溜まるもの・・・サンドイッチでいいかな。と翔陽はサンドイッチを作り始める。
すると「ドンドンドンドンドン!!」
誰かがドアを叩く音がする。普通の強さではなくほぼドアを殴っているに近い音だ。
『「わたし」「私」達が見てくるの』
「僕が行きますよ」
『ショー兄はご飯!』
「あ、はい」
モンモンとカンカンがドアへ近づき、少しだけドアを開ける。
ドアの隙間からは焦点のあっていない赤い絵の具を塗ったような目がこちらを覗いている。
「なぁ!なぁ!薬ないの!?もうないの!くれよ!なぁなぁ!!なぁ!」
ドアの向こうからとても大きな声で威嚇してくる男の声が聞こえてくる。
台所に立っている翔陽ですらうるさいと感じる程の声だ。
翔陽は明らかにおかしいと思い、直ぐにモンモンとカンカンのいるドアの方へ近づく。
「モンモン!カンカン!」
『うるさいの・・・どっか行くの』
モンモンとカンカンは翔陽の声など聞こえていないような様子で冷たい目でドアの向こうを見ながら言う。
「ドア閉めるから離れてください!」
翔陽は2人の前に入りドアを強く押し返し閉めようとする。
「なぁ!くれよ!!あるんだろ!!匂いがするぞ!?寄越せよ!はやく!!」
翔陽の力ではどうしてもドアを抑えきることが出来ず男は無理やりドアを蹴飛ばし中へ入ろうとしてくる。
するとモンモンとカンカンは翔陽の前へ立ち、2人で手を前に出す。
「危ない!」
『の・・・』
「はやく!もうきれたんだよ!!」
『・・・』
「なぁ!いいだろ?少しくらい!!なぁ!」
『うるさいって言ってるの!」
「あ・・・」
モンモンとカンカンが手を横に振ると男は先程の荒々しい感じが一瞬で無くなり、黙り込む。まるで電池が切れた人形のように。
『ショー兄』
「・・・あ、あぁどうしたのこの人・・・」
『そんなことどうでもいいの、早くドアを閉めるの』
「あ、うん」
翔陽は2人に言われた通りにドアを閉める。
その時に男の身体に少しドアが当たってしまった。男はそのまま倒れ込むように外の道に崩れ落ちる。
ドアを閉め終わったあと外から悲鳴が聞こえたような気がするがモンモンとカンカンに引っ張られ台所へ連れていかれれ、そのまま軽食の準備をする。
一体何をしたんだろうと翔陽は謎に思うと共に外で何が起こっているのかを想像出来た自分と、覚悟を決めたはずの自分がドアを閉めることすら出来ないという自責の念に苛まれる。最終的には自分より幼い2人に守ってもらってしまった。
せっかく・・・力を手に入れたのに使わないのなら・・・使えないのなら意味が無いと
これから頑張っていきますので、面白いと思ったらブックマーク、評価をよろしくお願いしますm(*_ _)m




