人形作り
朝を迎え、翔陽は一昨日に受けた依頼を受けにギルドへ来ていた。お昼過ぎだからだろうかギルド内に人が少ない。
「ショーヨーさんこっちです」
手を挙げて翔陽を呼ぶギルド職員のアイ。
「こんにちはアイさん」
「こんにちは、それでは依頼者様が来るまでこちらお部屋でお待ちください」
そう言われ18と書かれたカードを渡された。
翔陽は初めてこういうギルドの部屋を使うが恐らく18と書いてある部屋に入ればいいのかな?と不安ながら中へ入る。
中は机とソファが向かい合って置いてある、応接室のような部屋だ。
そのまま10分位だろうか、自分が間違えて部屋に入ってないかちょっとドキドキしながら翔陽が待っていると部屋のノブが『ガチャ』と音を立て開く。
「貴方が受けてくれた人か?」
「はいそうです、月下翔陽と言いますよろしくお願いします」
「ご丁寧にどうも、俺はモードよろしくなショーヨー」
中へ入ってきたのは、灰色の髪をしていて目が死んだ魚のような、不思議な目付きの青年だった。
「それじゃあ早速依頼いいか?」
「はい、大丈夫です」
モードはカバンの中から、絵が書いてある紙を何枚か机に広げる。
「こんな感じの奴作って欲しいんだよ、出来そうか?」
紙に書いてある絵には、依頼書似合った勇者の絵やドラゴンの絵、カタツムリの絵まである。
「質問しても良いですか?」
「なんだ?」
「人形って言うのはどのくらいの大きさのものがいいですか?」
「そうだな〜・・・」
モードは数秒悩む素振りをする。
「こんだけの量で運ぶのめんどくさいから正直手のひらサイズで大丈夫だ」
「分かりました」
翔陽は、「良かった手のひらサイズで大丈夫なら僕のスキルで直ぐに作れる」と安心する。
「それでどんくらいで出来そうだ?3週間は必要か?」
「いえ今すぐ出来ます」
「え!?ホントか!!」
「はいちょっと待ってくださいね」
翔陽は驚くモードさんに見られながらスキルを発動する。
初めて銃を作った日から少しずつ練習してきた。
練習していく中で分かったことが何個かあった。まず創ったものは翔陽が消えろと思わない限り消えることはない。
次に創ることが出来る最大の大きさは意外と大きく約掌の2倍くらいまでは創れることが分かった。
他にも火の玉を創る事も出来たが熱過ぎて魔法として使えたものではなかった。
それではさて早速人形を創ってみよう。
まずはイメージをする事が大切。絵を見て勇者の人形を掌の上にイメージする。人形の色、形、大きさを。
はっきりイメージが出来たらそのイメージの枠の中に水を満たすように魔力を注ぎ込む。イメージの中の物が魔力で満タンになると掌が光り出す。
何回やっても体から何かが抜けているこの感じは慣れない。
そうして光が収まる頃には掌に勇者の人形が乗っていた。
「これで大丈夫そうですかね?」
翔陽は今創り出した勇者の人形をモードへ渡す。
モードは「へぇ〜」と舐めるように渡した人形を眺める。
「あぁこれで大丈夫だ、子供た・・・ガキ共も喜ぶだろ!」
「じゃあ残りも創っちゃますね」
翔陽は先程と同じ要領で残りの絵にある人形を創っていく。
お姫様、王様、ドラゴン、剣と盾、騎士、カタツムリ、猫2匹、犬3匹、馬、スライムのようなものまで色々なものを創る。
創り終えるとモードは凄いホクホクの笑顔で人形を見つめカバンに詰める。
「ありがとなショーヨー!この紙ギルド職員に渡せば依頼料貰えるから貰っといてくれ!俺はこれをこど・・・ガキ共に渡したいからもう行くな!じゃなショーヨー!」
「あ、はいありがとうございました・・・」
モードは翔陽に依頼完了の判子が押してある紙を渡した後、すぐに部屋から出ていってしまった。
その後翔陽もギルド職員のアイに紙を渡すために受付へ行く。
「はい、こちら依頼料の金貨8枚になります」
「え!?金貨8枚!?」
「はい、通常の依頼料プラス先程金貨6枚を渡してくれとの事でしたので」
あんな短時間で金貨8枚、日本円で16万円。こんなに貰っていいんだろうか。なんかスキルで悪いことした気分になるが人からの好意を素直に受け取る。
翔陽はそのまま空が暗くなる前にエラが飲む用にお酒を買って帰った。
gungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungungun
『ガチャ』と音を立ててとあるアジトのドアが開く。
中はとても広くバスケットボールを満足に出来る位の空間が広がっているが、まるで子供部屋のようだ。
「子供たち〜帰ったよ〜」
と灰色の髪をした青年が言う。
「アーサーが帰ってきた!」「アーサー!」「アーサーどこ行ってたの?」「遊ぼうよアーサー!」「アーサー約束してた人形さんは!?」「アーサー!」「アーサー!!」
「まぁ待て待て、順番に渡すから」
灰色の髪をした青年はカバンの中から色々な人形を取り出し、子供たちに渡す。
「可愛い猫ちゃんだ〜」「こっちはかっこいいドラゴンだぜ!」「お姫様だ〜綺麗〜」「スライム可愛い!」
『アーサーありがとう!!』
「あぁお前たちが喜んでくれるなら・・・良かった」
灰色の髪をした青年は安堵の表情をこぼす。その表情はとても優しく幸せなことが分かる。
「そういえばアーサーいつものお薬ちょうだい」
「・・・」
「ぼくも欲しい」「わたしも」「けんもほしい」「サリーもほしい」
「あぁ・・・分かったすぐやるからな・・・」
そうして青年がカバンから取り出したものは深緑色の綺麗な粉。
これから頑張っていきますので、面白いと思ったらブックマーク、評価をよろしくお願いしますm(*_ _)m




