ulitto
第一部 「スイッチ」
―ある都市の郊外に住んでいるごく普通の大学生の話―
主人公の皐は、なぜかたまに髪が白くなってしまう。そのことを皐はクラスメイトに隠している。だが、唯一信頼している友達、如月司には髪が白くなることを話し、何故白くなるのか追求することに協力してもらっている。
そして、理由を求めているとある一つの答えにたどり着く。だが、その行動でこの世界が大きく変わることをまだ知らない────
『最近─────で連続殺──が起きており────』
「うわっ怖いな…連続殺人事件だって…しかも宇宙人の仕業だとか幽霊がやったんだとか考えてる奴もいるらしーよ。」
「そんなわけないだろ、そんなもんいねーよ」
「もー皐は面白くないな~」
「もしかして皐の髪…」
もしかして皐の髪が白くなるのも幽霊かなんかがいるせいかもね…
と言いそうになり司は口をつぐむ。皐はそこを気にしてるからなー
髪が白くなっても別に変じゃないのに。
むしろかっこいいと思うほどだ。
言おうとしていたことがバレないように司は話を変える。
「そういえばさ、最近新しいラーメン屋できたらしいよ」
「え!マジで⁉行きたいなあ!」
「もー皐はラーメンに目がないなー」
良かった話をずらせて…最悪縁切られちまうところだった。
「んじゃあ今度の土曜日空いてる?」
「空いてる空いてる!それじゃあ決定ね」
「よろ~そんじゃあ俺こっちだからじゃーね」
「また明日」
いまはもう夏。気温も高くなっているが夕方になるともう涼しくなる。
今日も調べないと…
何をって?そりゃ皐が髪が白くなる理由を探しているのだ。
カチッ
[髪が白くなる]っと
いや、白髪じゃねーんだわ(笑)まあ普通に考えたらそれしかないけどさ…
もう何回調べたんだろうか。検索履歴が同じ文字で埋め尽くされる。
やはり皐の髪についてわかることは見つからない。
「はあ…今日もダメか…」と思った瞬間
『海外連続殺人事件犯人目撃情報 髪が白い』
少し気になった俺は、「それ」をクリックした。
カチカチッ
「その場にいた3名が獣に食い荒らされたような死体が発見。
防犯カメラを確認したが白い髪のニンゲンが現れ、一瞬でその3人が倒れたようにしかみえなかった」
これは、明らかにおかしい。
夜とは言え3人を一瞬で。
不審に思った司はもっと詳しく調べる。
だが関係する記事が1つも見当たらない。何度も調べたがこの日は、もう見つけることは、
出来なかった。その日は、火曜日の準備をして寝た。
次の日、ホームルームが終わり、司は昨日見つけた記事を印刷して皐に見せた。
「皐、この事件知ってるだろ。あの昨日ラジオで聞いたやつ。」
「あーあれね。それがどうかしたの?」
と皐は分からないという風に首をかしげる。
「実はあれをやった犯人の髪の色が白だったんだって。」
白という言葉に皐は違和感を覚えた。
そして、皐は少し緊張しながら司に聞いてみる。
「白?銀とかじゃなくて?」
「うん。暗くてよく見えなかったから見間違いかも知れないけど。
しかも3人を一瞬で殺したんだって」
「え…」
と皐はその言葉を発し黙ってしまった。
黙った理由は俺でもわかる。
最近日本でもそういった事件が多くなってきているのだ。
もしかして皐もその事件に関係しているのか。と思われたくないと思っているのだろう。
こんな反応をすることは、わかっていた。だが、いざこの局面に立つと汗が止まらない。
ただでさえ、気にしている「髪」の情報を、関係があるのかわからないとはいえ、最悪の形で知ってしまったからだ。気まずい。そう思った瞬間。
「おーい皐、司、1時間始めるぞー。」と、国語の佐々木先生が声をかける。
「「はーい。今から準備しまーす。」」とやる気のなさそうな2人の声が教室に響く。
助かった。と思ったのも束の間、授業終わったらどうしよう。そう思いながら授業を受けていたらもう終わりそうになっていた。
────────────────────────────────────
「暗くてよく見えなかったから見間違いかも知れないけど。
しかも3人を一瞬で殺したんだって」
そう聞いた瞬間に、「え…」と発してしまった。それがいけなかった。
今日、会った時から何故か暗いような、緊張しているような顔をしていた。
司は、普段ならあんな顔しない‥最初は、ラーメンを食べに行く日に予定ができたのかな?なんて軽く考えていた。だが、もしそうだったら真っ先に僕の所へ来て謝るだろう。
「ごめんごめん~」という、軽い感じで。
だが今日はそうじゃなかった。嫌な予感がした。それが見事に当たってしまったのだ。
僕は考える。今まで、司には、僕の「髪」について調べるのに協力してもらっていた。
だが、心の中では、見つかってほしくなかったのかもしれない。
もし、その情報が見つかったら、僕たちの会話は、何か、大切な物を失ってしまうような気がする。
あ、チャイムが鳴った。
どうしよう。でもなぜか、今、司の所に行かなければ、いけない気がした。
教室は、いつものように騒がしいはずなのに、時計の「カチッカチッ」という音が、鮮明に聞こえる。
カチッ カチッ
僕は心を入れ替える。もう、怖がらない。
皐の中でスイッチが切り替わる音がした。
僕は立ち上がった。そして、司のいる机へと向かった。
そして、皐は、口を開いた。
初めて小説を書いてみて知らないことやわからないことがたくさんありますがこれからよろしくお願いします。