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田舎の根暗大学生、陽キャに絡まれる  作者: 古月湖
第二章
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2-1 冴えない大学生の日常

 その日は朝から雨だった。


「はあ......」


 目覚まし時計の示している時間を見て、ため息を一つ。のそりと敷布団から這い出て、緩慢な動きで大学に行くために準備を進める。

 今日の授業は二限と三限の必修授業。

 奇しくも、『あの』授業だ。

 嫌でも木村のあの、バカにしくさった目が思い出されて、瞬間的に体中がどっと重くなった。


 あの日のことは今でも鮮明に覚えている。

 もうひと月経っているというのに、まだ払拭することが出来ない

 あれ以降続く周りからの奇異の視線、どこからともなく聞こえてくるひそひそ声。

 最近は気にならなくなってきたが、また思い出して憂鬱な気分になった。


「雨つっよ」


 窓の外に目を向けると、大粒の雨だれが地面を穿たんばかりに降り注いでいた。

 さらに風も強いらしく、ときたま窓に雨が打ち付けらビタンと小さからぬ音を立てる。

 しばらくその様子を見つめていると、俺はいつしかつかんでいたリュックをパッと手放し、その場に胡坐をかいていた。


「......サボっか」


 冗談のつもりだった。

 でも、そう声に出してしまえば、もうそれ以外の選択肢を選ぶことなどありえないように思えて。


 床に無造作に置いていたテレビのリモコンを拾い上げて電源を付ける。

 すると、ちょうど地元では見たことのないローカル番組がやっているところだったので、なんとなく気になってそのまま画面を見つめる。

 刻一刻と時間が過ぎるにつれてドッドッと鼓動が早鐘を打つ。

 テレビの音はたしかに耳に届いているが、聞いたそばからその内容がどこかに飛んで行ってしまう。

 ジワリと染み出す嫌な汗をぬぐい時計を見る。

 すると音もなく液晶に映し出された数字が変わり、示す時間は午前十時。


 そこから二十秒、三十秒と時間は進み、十時一分になったところを確認してから俺は全身の力を抜いて後ろに倒れた。

 もう今から出たって間に合わない。この瞬間、遅刻が確定した。


「ふぅ......」


 人生で初めてのサボりだった。

 心の中で、ほんの少しだけ罪悪感が鎌首をもたげるが『今から行っても間に合わない』という事実がそれを和らげてくれる。

 かといって、なら三限の授業に出るのかと聞かれればそういうわけではないけど......。

 もうすこしダラダラしようとも思ったが、せっかくなので寝転んだ状態から体を起こして、きょろきょろ部屋を見回す。

 ......。

 しかしまあ、サボってしまえばそれはそれで暇を持て余す。


「......ゲームするか」


 結局、思いついた暇つぶしはそんなところだった。

 外は雨だし、というか晴れていてもそもそも出かけるような性格でもない。

 手早く準備を終えて、うるさい外界との連絡を絶つように、俺はヘッドホンを付けた。

 ――そこからはまあ、いつもの土日と変わらない。

 クリア直前だったゲームを最後までやり切って、スタッフロールを飛ばさずに眺める。

 最後にタイトルのスタート画面に戻ったのを確認してからゲームを落とす。

 それからまた次にやるタイトル候補を何個か選抜し、今の気分的にRPGをやりたい気分だったのでそれに見合ったゲームを見繕った。

 そしてディスクを交換して、しばし待機。

 数秒のロード画面ののち、ついにオープニングが始まらんとした、まさにその時だった。


 ――ピンポーン


 聞きなれないチャイムが耳を打った。


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