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木広洲町の生活シリーズ  作者: 大垣さん
9/9

第九話 落ち着かない。

引き続き読んで頂き、本当にありがとうございます!

精神的事情により、次話の投稿時期は未定となっております。

しかし、物書きを好いている心はしぶとく消えてはおりませんので、そのうち出すと思います。

その際はTwitterで報告致しますので、宜しくお願い致します!

「にゃーーーーーん!!」

 コンコンコンコンコンコンコンッ!

 オセロに身体を預けた愛夏は、寝ずに楽しみにしてた遊園地に来た子供の様に弾けた笑顔で、登って来た立体駐車場を駆け下りていった。

 そして、

「くにゃぁっ!」

 ゴロゴロゴロゴロッ!バタッ!

 立ち止まれなくて、転んだ。

 ペラッ。

 パーカーが捲れて、当てているおむつが顔を出す。  

 たくさん漏らしたみたいで、見えている部分の殆どがレモン色に染まり、膨らんでいるようだった。

「にゃあ〜ゴロゴロニャーゴしたにゃぁ〜」

 転がったのが気に入って、オセロ(愛夏)は自分からまた床を転がり始める。

 よく聞けば言っていることはスベっていた。が、転がる様の愛らしさが、そのスベり具合さえも可愛く思わせ、士の心を踊らせた。

「こういうのが楽しいって事は、オセロは子猫だったのかなぁ〜」

 士はまた、飼っていた猫とオセロ(愛夏)の姿を重ねつつ、近づいて行った。

 足音でそれに気がついた愛夏は、起き上がり、足を士の方へ伸ばして座り、士を見た。

 士はその目の前にあぐらをかいて座る。

 ピラァ。

 開かれた足でパーカーがまた捲れて、今度はおむつの前当てが顔を出す。

 近くで見たお漏らしおむつは、やはりレモン色に染まり膨らんでいたが、転がって付いたらしい駐車場の床の黒い汚れが、薄くそれに加わっていた。

「なんて……愛らしい汚れたおむつなんだろう」

 シュッ。

 心に沿うように、士のおむつの前がより膨らむ。

 顔を見ると、変わった笑顔を浮かべていた。頬をぷくっと膨らませていて、にんまりとしている口がより頬を張らせていた。

 それは、猫に憑依された精神と、愛夏の顔の良さが手を取り合って生まれた偶然の笑顔だった。

「オセロ?めっちゃ転んだけれど怪我はない?」

「平気にゃ!」

「おむつはまだ大丈夫?」

「大丈夫にゃ!今おしっこしてるけど、守ってくれてるにゃ!」

「え?」

 シュシュッ!

 士のおむつの前が更に膨らんだ。

「にゃぁ〜……たくさん、たくさんしゃーっ!してるにゃあ〜」

 だらりと口を広げてオセロが言う。

「気持ち良い?」

「気持ち良いにぁ〜ぁ……」

 そう答えて、オセロ(愛夏)は左右に身体を揺らした。

「ほぉぁ」

 士は、愛夏のおむつへまた視線を落とした。

 しゃーとおしっこが流れる音を立てながら、おむつのレモン色ははっきりとした黄色へと変わり、薄い床の汚れをも明確に現していた。やがて色の変化は落ち着き、おしっこを受け止めたポリマーによって、前当ては、ムクムクと、ムクムクと膨らんで行った。

 ムワァ……。人肌程の温もりとともに、ぷんとしたおしっこの香りが、士の嗅覚を支配する。

 シュッ、シュシュシュ……。

 時を同じくして、士のおむつの中のアレは完全体となった。

「んん……はぁ…はぁ……」

 つい、息が荒くなる。

「どうしたにゃ?」

「ちょっと……うん……」

 士は自分のアレを手で押さえた。

「にゃっ!そういうことかにゃ!」

 そう言うと、オセロ(愛夏)は四つん這いで近づいて来て、士のお腹とお股辺りをスリスリし始めた。

「オセロの時もおしっこ我慢しなくていいにゃ!オセロもしたから、つかさくんもしていいにゃ!」

「あっ、おっ、んっ、んんっ、あっ、りっ、がっ、とっ、んっ、」

 グッ、グッ……。

 ジャージとおむつ越しに、大きくなったアレが、女の子の頭によるスリスリで上下左右に揺らされる。

「あっ、ああっ」

 もう士は我慢出来なかった。

「うあぁあぁあ〜!!」

 シュ!シュシュシュシュシュッ!

 士は、叫びながらおむつを汚した。

 ショオオオオオォォ……。

 続けて、おしっこも漏らしてしまう。

「にゃ?したにゃ?」

 スンスン……スンスン……。

 オセロ(愛夏)はスリスリをやめ、士のお股の辺りを嗅いだ。

「はぁあ……う……」

 放心してしまっていた士は動くことも出来ず、それを受け入れるしかなかった。

「くしゃいくしゃいだにゃ!したにゃっ!良かったにゃっ!」

 数秒嗅ぐと、顔を上げたオセロ(愛夏)は士を見て、また憑依された笑顔を浮かべた。

「にゃっ!」

 その体が、ブルリと震えた。

「オセロもおしっこ全部出たにゃ!また散歩行こうにゃ!」

 オセロ(愛夏)は立ち上がると、また元気よく駆けていった。

「……ほはぁ……」

 あくびみたいな息をして、士も立ち上がった。

 ムジュッ。

 股を閉じると、白と黄色の液体を吸収したおむつの感触が如実に伝わる。

 シュッ……。パタパタパタ……。

ズボンの紐を解いて、数回空気を入れてみる。すると、互いに濃厚な臭いの合わさった刺激臭が、ツンと香って来た。

「こんなに臭いのに、笑って受け入れてくれた……」

 運命の人なのかな。

 興奮が冷めた士の頭の中には、そんな思いが巡っていた。


 駐車場の一階まで降りてオセロ(愛夏)に追い付くと、また転んでいた。心配したさっきの職員が近寄って声を掛けていて、オセロ(愛夏)は笑顔で「大丈夫にゃ!」と答えていた。

「オセロ?また転んだの?」

「えへへ、転んだにゃぁ」

「体力無いんだから、はしゃぎすぎるとまた寝ることなるぞぉ?」

 職員が笑って言った。

「大丈夫ですよ、僕が付いてますから!」

「……おおぉ〜?」

 士の言葉を聞いて、職員はゆっくりと近づいて来た。

「上でなんかあったろ?」

「え?」

「今の言い方に芯を感じたんだよ……本気で好きっていう芯をね!」

 士はごまかそうと考えた。でも、

「……分かります?」

 素直になることにした。

「そりゃわかるよ、ここはおしめが本気で好きな人達が集まった町だ。どこかお出かけかい?って聞いてやれば君みたいな目で言うやつが多いんだ、おむつ遊びしてくるって!」

「なるほどぉ」

「頑張れ若いの!守ってやんな!」

「ありがとうございます!」

「何話してるのにゃ?」

 声に気がついて士はその姿を探した。

 オセロ(愛夏)は、いつの間にか士の足のそばにしゃがんでいて、不思議そうに士を見つめていた。

「いいや、何にもだよ?さ!散歩行こ!」

 士はオセロ(愛夏)の手を握り、立体駐車場から出ていった。


 駐車場を出た二人の行先は、オセロ(愛夏)の気まぐれに任せることにした。

 それは必然でもあった、もし士に行き先を委ねられたとしても、まだ町に来て1日も経ってないから、出来るわけが無かった。士は、町を知るためにもにオセロ(愛夏)に全てを任せた。

「行きたいところたくさんあって悩むにゃぁ〜!」

 オセロ(愛夏)は悩みながらも、駅前へと何となく歩いていった。

 悩むオセロ(愛夏)の握る手の強さを感じながら、士はこの散歩が、自分の中でデートへと昇格しようとしている事に、慌てていた。

 立体駐車場で全てを出し切ったおむつの臭いを嗅がれてから、冴弘愛夏オセロという存在がただの同居人ではなくなっていた。

 この町に来るまでの学生生活で、士はかなりの数の女子と会って来た。それは士のルックスと性格が良いから、求めなくても寄って来たからだ。しかし誰とも恋仲には発展しなかった。自分がおむつ好きだと言うことがバレたくなかったから、もう恋人が居ると嘘をついて、避けていたのだ。

 そんな自分が、隠す事の必要ない環境に来て、全てを受け入れる人に会った。

 

 それは紛れもなく、桜村士の「初恋」だった。

 

 人を好きになるって、こんなに慌てるんだ。


 すぐ隣で、スキップをしはじめた愛夏オセロを、士は視点をころころ変えながら見続けた。

 やがて駅前へと着くと、初恋の散らかった心は一旦影を潜め、ここに初めて来たような感覚に陥った。理由はすぐに分かった。あの時はお相手の由水と話し込んでいて、彼女と、ベビーカーに乗る大きなお嬢様しけ見ていなかったからだった。

 士は初めて木広洲町駅の東口を詳細に見た。

 ロータリーとなっている駅前には中央には円形の広場があり、その中心には、直径10メートル程の入って遊べるプールがあった。

 横に立てられている看板によると、「誰でも遊べるジャブジャブ温水プール。」と言うらしい。

 その下には営業時間が朝9時〜9時と書かれていて、看板の端には、電車の車窓から見たデフォルメされたキャラクターが描かれていた。

 広場の北側には駐車場から見えた少しばかりの繁華街があり、南側は森に囲まれていた。その木々の間、駅と繁華街の照明に鳥居の上の部分がわずかに光っていた。どうやら神社があるようだ。

 そうやってキョロキョロしていると、いつの間にか愛夏オセロが手を離していて、ジャブジャブプールへと駆けていた。

 その瞬間、士の初恋心は復活した。

「あっ!ねえ!待って!営業時間終わってるよ!」

 言った時には遅かった。愛夏オセロはプールの縁まで行くと、靴と靴下を脱ぎ捨ててジャンプした。

 バッ!

「ぶげへぇっ!」

 幸か不幸か、投げられた靴下は追いかけていた士の顔に二枚とも乗る。

 スンスンスンッ。

 反射的に士はその臭いを嗅いだ。汗が進化した饐えた臭いに、気のせいか猫の肉球の匂いも含まれた複雑な臭いがする……。

「これが愛夏ちゃんの足の臭い……いやいや!」

 危うく公津寮長と同じ道を行くところだった。士は我に返り、靴下をジャージのポケットに入れてプールへと歩いた。

 オセロ(愛夏)は、プールの端でカタカタ震えていた。

「にゃにゃにゃにゃぁ〜!冷たいにゃぁ〜!」

 営業を終えてから一時間以上たった温水プールは、すっかり冷え切っていたのだ。

「にゃにゃぁ〜ブルブルにゃぁああああ〜」

 震える顔が、どんどん青白くなっていく。

 正気なら、すぐにでもプールから出してあげるべきだが、初恋心で気持ちが散らかっている士は、自分も同じ体験をしたいと思ってしまった。

「そんなに冷たいの?どのくらい?」

 士はプールの縁に座ると、靴紐を解いて靴下も脱いで、愛夏オセロと同じくジャンプしてプールに入った。

 ジュパァン!

「にゃぁあ〜!」

 士の脚は深度三十センチのプールの底に着地した。途端に放射線状に水飛沫が広がり、愛夏オセロへ思い切りかかった。

「つっめたあぁああいっ!」

 二人は揃って声を上げた。

「あぁ〜だめだだめだだめだ!ほんっと冷たい!無理っ!出なきゃ出なきゃっ……あいっ……いや、オセロ?僕の手を握って!出るよ!」

「にゃにゃにゃにゃぁん!ありがとうにゃ!」

 愛夏オセロは士へと手を伸ばす。士も手を伸ばした。震える二人の手はやがて繋がり、士は力いっぱい引っ張って愛夏を抱き寄せた。

 柔らかくて、気持ちいい……。

 愛夏の身体は、そんな感触だった。

 しばらく抱いていたかった。しかし足元から来る殺人的冷たさが、そうはさせなかった。

「出ようっ!」

 士は愛夏オセロを持ち上げてプールの縁に座らせ、自分もその隣に座った。

「つぅぅうぅ〜めたかったにゃぁ……」

「つぅぅう〜めたかったねぇ……」

「いつもはもっと早くに散歩行くから、あったかいのにゃぁ、愛夏がたくさんお魚食べさせてくれたから、寝ちゃったの、忘れてたにゃぁ」

「でも、僕は楽しかったよ!冷たいのも楽しかったし!オセロを助けることが出来たから!」

「つかさくん、ありがとうにゃ!」

「どういたしまして!」

「それにしても、身体、冷えちゃったね……」

「なんとかしてポカポカになりたいにゃ!おむつの中はおしっこでポカポカだけど、足りないにゃ!」

 愛夏オセロの言う通りだった。

 何度かお漏らしして膨らんだおむつの中は、ずっと当てている故の蒸れも加わって、肉まんのようにホカホカとしている。

 今や二人のおむつは、それぞれに貴重な防寒着となっていた。

 しかし、お股だけが温くては、やはり物足りない。

「なら……」

 士の心の中で、対処法が決まった。

「オセロ、足僕に向けて?」

「にゃ?」

 愛夏オセロは戸惑いながらも士に足を向けた。

 土踏まずもそれほどない、綺麗な足が目の前にやってくる。

 その先を目線で辿ると、ぷっくりと膨らんだお漏らしおむつが見えた。

 あのおむつの中にある温もりは、末端のこの足にはまだ来ていない。

 ならば……。

 ムギュ!

 士は、愛夏オセロの片足を両手で握ると、

「はぁぁあ〜」

 と、息を吹きかけて温め始めた。

「にゃ!?」

 愛夏オセロは驚いた。こんな風に血の通った温め方は、自分以外にされたことが無かった。

「はぁああ〜っ」

 ムギュムギュムギュ。ムギュムギュムギュ。

 手の位置をこまめに変えながら、士は息を吹きかけ続ける。

 その献身的な姿に、オセロは黙るしかなかった。

 そして黙ることで、体内での精神のバランスは、一時的に愛夏へと戻った。

「つか、さくん……」

「あれ?愛夏ちゃん?」

「息っ……こしょばいいぃ……」

 愛夏は自分の足を包む士の手の上に、自分の手を重ねた。

「手……だけでいい、よっ……」

「あっためるのは、良いの?」

 愛夏は、士の手を揉んで、言った。

「良いって、思うまで、温めて」

「へへっ……そっか……」

 この想いは、片想いで終わらないのかも。

「あったまれぇ〜」

 士は、この想いの先に希望が見えそうになった事に喜びながら、愛夏の足を温め続けた。


 散歩は、まだ終わらない。


                つづく。

   

 

 


お読み頂きありがとうございました!

いやぁ〜二人とも、足、冷たそうにしてましたねえ!

この散歩、どうなるのか!僕もまだわかりません!

互いに、二人の行く末を、ゆっくり見ていきましょう!

改めまして、お読み頂きありがとうございました!

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