第五話 交換。
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下駄箱からエントランスを通り過ぎて、公津はその先にあるエレベーターに乗った。元ホテルらしく、乗り口が四つ並んだエレベーターフロアは大理石で出来ていた。
エレベーターの中は、小さなシャンデリアがその空間を薄いオレンジ色に照らし出していた。その艶やかな光に照らされた公津さんの顔は、ホストの様だった。
「まずは荷物を置きに行こう。本当なら昨年の4月に一年生は部屋を決めるんだけど、つかさくんは転入だから、もう決定済みなんだよね!」
「部屋って、相部屋とかですか?たまにテレビで野球の強豪校の生活を見ると、そうなってるのを見ますけど」
「うん。相部屋だよ!でもねぇ、空いてる部屋の相手の子、女の子なんだけどね?あんまし可愛く無いんだよねぇ〜」
聞いてすぐ、士はそれはその子のルックスの事だと思った。
でも士はルックスで人を選ぶ方針は無かった。自分がこうしてルックスと中身との差異を抱えて生きて来た人生だったから、他人に対しては、中身さえ良ければ良いと思っていた。
「僕は可愛いとか関係ないですよ!良い人ならそれで良いです!」
「ほほぉ!士くんはほんとに良い子だねぇ!」
感心したように公津さんはそう言うと、スンスンと鼻をすすった。
「だからこそ!おむつから香るこのおしっこの匂いも素晴らしいのだねぇ!!」
「え?あっ、あはぁ〜…」
士は苦笑いしか出来なかった。
無理して上げた広角が疲れて来た頃、エレベーターがチンと鳴って、止まった。階の表示は十階。階数表によると、三階分に渡って書かれた一年生フロアの一番上だった。
扉が開くと、手作りなのか、いつかの日曜日の魔法少女アニメの格好をした女子生徒二人が立っていて、「あ!来た来た」と声を弾ませた。
「お?なんだ今度はマジキュアの衣装でおもらしごっこ遊びかい?」
「そうそう!上の遊戯階で遊びながら我慢するの!」
ピンクを基調にした衣装の生徒が答えた。
「スポーツドリンクどんだけ飲んでるんだい?」
「二リットル!」
「私は三リットル!だからね?お腹ポチャポチャでスカートきついの!」
隣に立つ、黄色を基調にした衣装に身を包んだ生徒が、腰に手を当てて言った。
膝くらいまでのひらひらとした可愛いスカート。
その下からは、勘違いかおしっこの香りがした。
「決壊する前に交換するんだよ!清掃員さんの仕事増えるからね!」
公津さんは笑いながら答える。どうやら、生徒たちの趣向は頭に入ってるようだった。
魔法少女姿の二人は、笑顔で頷きエレベーターへと乗って来た。入れ替わるように士と公津はエレベーターから降り、部屋のドアの並ぶ廊下を歩いて行った。
「あの、公津さん?遊戯階ってなんですか?」
「この階の上からあるフロアの事だよ!ここにいる子たちの中には、おむつをして小さい頃の様に遊びたいっていう趣向の子もたくさん居てね?それを叶えるためにプレイルームがあるんだよ!マクドとかにあるの、見たことある?」
「はい、あの滑り台とかある所ですよね?」
「そうそう!もし士くんも好きなら行ってみて!」
プレイルームかぁ。士は、昔小さい頃に行った記憶を思い出した。そして、ドキドキした。
ドアの前を十数回通り過ぎると、公津さんが立ち止まり、一つのドアの前に立ち止まった。
ドアノブタイプの焦げ茶色のそのドアの横には、二人分の名札を掛けるバーがあって、一つは空白になっていた。
そしてもう一つには「冴弘 愛夏」という名前が書かれていた。
「まだ17時手前だから、部屋の中には居るなぁ、あいかちゃんっ」
公津はねっとりとした声で言うと、ドアをノックした。
「はい」と、女の子の小さな返事が聞こえて来た。その声は澄み切った山奥の湖のように綺麗で落ち着いていた。
「あいかちゃん?入っていいかな?」
「はい」
また、落ち着いた声がした。
士はその声の主を過大に妄想してしまった。こんな可愛い声の子が公津さんの言うように可愛くないはずがない。もう、既にこの声に惚れているくらいだ。
自分は幸せものだ。そこまで考えてしまった。
ガチャリッ
妄想で脳内が忙しくなってると、ふいにノブが回り、ドアが開けられた。
「はっ」
瞬間、士は自分の妄想が過大で無かったことに驚いた。
ドアの向こうに居たのは、メガネを掛けたえらい美少女だったのだ。
身長は士の頭程で、肩ほどまでに伸びた銀髪が開けたドアによる微風ではらはらと揺れている。
肌は程よく白く、顔はランドセルが似合いそうなくらい幼かった。
これのどこが可愛くないのか、士には分からなかった。
さほど寒くもないのに彼女はパーカーを着ている。その色は灰色だった。髪色と近いから好きなのかなと、士は思った。
彼女はサイズという感覚が鈍いようで、パーカーは体躯よりも大きく、膝近くまでを覆っていた。
そのせいで見えないが、彼女のお腹の下辺りからは、ぷぅんとおしっこの香りがしていた。
同類であることは、間違いないようだった
おむつを隠すための格好なのかな。士は真意を知るまで、そう誤解した。
「あいかちゃん、メガネしてるって事はまだ話せるんだね?」
「来たから、しました、だから、おむつの中、は、ぐっしょりです」
「おおお!そりゃいい!実はね?今日からルームメイトのこの子、桜村 士(おうむ•つかさ)くんのおむつももうぐしょぐしょなんだよ!一緒に替えてあげようか?」
「一人で、します」
「そっか!あっ!言い忘れてた!つかさくん?この子は冴弘 愛夏(さえひろ•あいか)ちゃんだよ!」
「あっ、はじめまして、宜しくね?」
「よろ、しく」
二人は、静かに頭を下げあった。
顔を上げると、愛夏がじっと自分を見つめているのに気がついた。クリっとした、茶色い瞳が士を釘付けにする。
「あなたは、人にかえられ、たいの?」
「え?」
「かえられ、るの、すきな、ひと?」
「平気なだけかな?癖ではないよ」
「そう、入って」
「あ、うん」
士はキャリーケースを引きながら入った。それが入りきると、愛夏はドアを閉めようとした。
「え?あっ!愛夏ちゃん?僕さ?替えてあげたいんだけどさ?だめ?」
「おむつがすき、なら、かえてあげたら、打ち解けられるとおもいます、だから、私が」
「う、うん、うん、はい分かった、じゃあ、お願いね?」
「はい」
冷静に返事して、愛夏はドアを閉めた。
部屋の中、士と愛夏は二人きりになった。電気を付けていないせいで部屋の中の様子は良く分からなかった。ただただ、自分と愛夏のおしっこの香りがプンプンと漂っていた。
そんな事を考えてあたりを見回していると、太ももをツンツンと愛夏が指で突っついているのに気付いた。
「暗いの、だめ?」
薄暗い中で、愛夏はまた見つめていた。しかしその眼差しは、さっきより切なげだった。士にはそれが、自分の好きな事を受け入れて欲しいと訴えている様に見えた。
「平気だよ」
「ありがとう」
愛夏はそう言って頭を下げると、士の手を取った。
「おむつ、替え合いさせて、近づきの、しるしに」
「え、でもさっきは一人が良いって」
「こーづさんには、よく迷惑かけてるから、恥ずかしいの、だから、頼めない、言えない」
「迷惑?」
「週4くらいで、迷惑掛けてる」
「そんなに?何で迷惑掛けてるの?」
「おむつ、替えさせてくれたら、言う、それで、いい?」
おむつ替えが、どうして話すきっかけとなってるかは士には想像付かなかった。でも、否定する要素は全く無かった。人に替えて貰うのも平気だし、それがこんなにも可愛いメガネっ娘なら尚更だった。
士は、取られていた手を取り返し、二歩前へ進んで引いた。愛夏はそうなると予想して無かったようで、「あ」の形に口を開いて士を見ていた。
「良いよ、替えてくれる?」
士は振り向いて言った。
「……あげる」
愛夏はまたまた手を取り返しながらそう答え、足を前へと進めたのだった。
さすがにおむつ替えでは周りが見えないといけない為、士は愛夏に頼んで電気を付けてもらった。
そうして、士は初めて部屋の中を見ることが出来た。
元ホテルと言うだけあって、部屋にはユニットバスがあった。その奥には木製の二段ベットや机や棚があった。その棚には、見慣れないテープ式の紙おむつのパッケージがあった。近づいてみると、それはこの学校指定の紙おむつだった。その隣には、見たことのある市販のおむつもあった。どっちも封が開いていたから、愛夏は好きに使い分けている様だった。
「まだ、あなたはおむつ、貰ってないの?」
「うん、もらってない、来月からかな」
「そう、あなたのおむつを持ってきて、そして、横になって、替えてあげる。」
「う、うん」
士は言われた通りにキャリーケースを開いた。ケースの中には文房具や教科書も入れてきたが、半分は紙おむつだった。士はおむつとパッドを取り出し、愛夏に渡した」
「アタント、派なの?」
愛夏は問いながらおむつの匂いを嗅いだ。
「いい、匂い、肌着の香り」
そう囁きながら、愛夏は嗅ぎ続ける。
その姿は、ずっとそうしてても良いよと言いたくなるほどに、可愛いらしかった。しばらく嗅いで、愛夏は自分が嗅ぎすぎていることに気がついた。
「あっ、ごめんなさい、えっと」
俯いて言う愛夏の頬が、赤く染まって行く。
士は気にしなくて良いよと言って、横になった。
「優しい、ありがとう、じゃあ」
愛夏は立て膝で横になった士に近寄り、足の辺りに座った。士はその動きを上体を上げて見ていたが、腹が疲れて来たのでまた横になった。もう一度起き上がらせようとしたが、愛夏が「テープ、外すね」と言ったのでやめた。
可愛い子に陰部を晒している今を、見る度胸が無かった。
「下から」
ベリベリ……ベリベリベリ……。
ゆっくりと、おむつのテープが剥がされて行く。
「こっちの下」
ベリベリべリ……。
「上」
ベリベリベリ……。
「さいご」
ベリベリべリ……。
「ぜんぶ、剥がした、まだおしっこしたかったら、今のうちに、して」
「いい、の?」
「したいのに、かえたら、また替えなきゃいけない、したいなら、して」
士は膀胱に意識を集中した。それは、おしっこが溜まっているかの確認ではなくて、おしっこをさせるための集中だった。
はしたない集中はうまく行き、士はおしっこがしたくなった。
「ほっぺ、赤い」
愛夏が言った。
「おしっこしたいから、赤くなっちゃった」
「して」
「うんっ」
士は静かに返事した。
でも心の中は、非常に盛り上がっていたのだった。
つづく。
さて、今回話はいかがでしたでしょうか?
今後とも、こんなノリで書いていきますので、宜しくお願い致します!