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木広洲町の生活シリーズ  作者: 大垣さん
2/9

第二話 町へ。

第一話で気になってくれた方、次話も読んでいただき誠にありがとうございました。

今後も投稿していく方針ですので、何卒宜しくお願い致します。

揺れが収まって来てから程なくして、士達を乗せた電車は、木広洲町駅のホームへと滑り込んで行った。

 士とロリータの男の子はおむつの中におしっこを出し切っていた。

 そして、電車の揺れに任せておむつの濡れた感触を味わいながら、完全に止まる時を待っていた。 

 お相手の女の子はずっと声を掛け続けていた。おむつおもらし後は、大抵の方がその感触を味わい、悶え、時にはイッてしまう。

 木広洲町内では好きにおむつを楽しんで良いけれど、電車のダイヤ等、厳守しなければならない事柄に影響が出る場合は、それを守らせるのもお相手の役目だからと言うのが理由だった。

 おかげで、士はおむつの気持ちに酔いしれながらも、平静で居られることが出来た。

 しかしお嬢様(に扮した男の子)は違った。

 元々電車内でお漏らしをする為にお相手を呼んでいた事もあり、お漏らし中から口をぼんやりと開き、今にもイキそうな顔をしていた。

 それでも駅に着くまでは辛うじて耐えていたが、電車が止まると、無事に木広洲町に着いた安堵感がおむつの気持ちよさと合わさって、イッてしまった。

「お嬢様?お嬢様!お電車を降りなければなりませんから起きてください?」

 肩をトントン叩きながらお相手の執事は声掛けするが、イッたお嬢様は答える事なく、お相手の肩に顔を乗せて瞼を閉じていた。

「どうしましょう……イカないように頑張ると仰っていたのに……私は非力ですから、おんぶする事も出来ません……つかさ様、お力に自信はありますか?」

「すいません、文芸部だったので力はあんまり……」

「そうでしたか、困りましたね……」

 お相手は口に手を当てて考え込み始めた。

 士はどうして良いかわからなかった。本来は関係ない人同士なのだから席をたっても構わない。

 でも、共におむつを汚した事実による愛着。

 それを言い聞かせるように陰部から伝わってくるグジュグジュとした感覚が、席を立つことを制止していた。

「おむちゅ……気持ちいい……」

 お嬢様が、よだれを垂らしながら呟く。

「酔いしれてますねっ、お嬢様」

「求めていた事が出来たのですからね!気持ち良さも一入なのでしょう!……あ!そうだ!ベビーカーを使いましょう!」

「ベビーカー?」

「木広洲町も普通の町と同じく車での移動が基本なのですが、趣向によっては大人サイズのベビーカーに乗って、お相手やご家族に押してもらっての移動も可能なのです!」

「ほんとですか!」

 特に赤ちゃん帰りを望んでいる訳ではない士だが、おむつにとっての仲間とも言える存在に、少し興奮してしまった。

「フリフリのドレスでは少し乗りずらいですが、他に手はありません。つかさ様?私は駅前のレンタルベビーカー店でベビーカーを借りる手はずをして来ますので、少しばかりお嬢様をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「分かりました!」

「お相手でありながら頼ってしまい申し訳ありません。当てている布おむつはまだ吸収力に余裕があるかと思います。もし、またお漏らしされていても、咎めず、静かに見守ってあげて下さいませ、それが、一番お嬢様にとって嬉しい事だと思いますので!」

「分かりました!」

「では!すぐに戻ります!」

 そう言って、お相手の女の子は電車の外へと駆けて行った。

「んっ……んんん……」

 お相手が去ったお嬢様は、顔を窓に張り付けるようにくっつけて動かなくなった。

「ほぉぉ」

 士はその顔を静かに見つめる。

「……うわぁ〜」

 へしゃんこに潰れた少年の顔は、まるで赤ん坊のようで愛らしかった。

「僕もそこそこ可愛い評価受けてたけど、この子はより一層だなぁ」

 士の見つめる顔が、集中力が高まるのと比例してゆっくりと近づいていく。

 間近で見ると、うっすらとメイクをしているのが見えた。

 こんな風におめかしした服の下におむつするのがこの子は好きなんだ……。

「おむつ好きって……なんだか面白いなぁ……」

 士はそう呟いて、お嬢様から程よい距離をとった。

 

 そうして控えめに接していると、お相手の女の子がベビーカーを引いて戻ってきた。

 話していた通り、ベビーカーのサイズは大きかった。しかし作りは赤ちゃんが座っているものそのままで、シートには、可愛く微笑むデフォルメされた動物がプリントされていた。

 お相手の女の子は「動きますねぇ」とお嬢様に耳打ちすると、お嬢様の両脇に手を入れて声を上げて持ち上げた。そしてベビーカーに座らせると、転倒防止のベルトを手際良く装着した。

 ベルトは丁字型のタイプだった。それによってスカートは僅かに捲れ、ぷっくり膨らんだおむつカバーが顔を出す。

 普通の電車内なら通報されてもおかしくないが、降りていく乗客達は目には止めても何も言わなかった。

「はい!これで宜し!さっ!お嬢様?おうちがある木広洲学園高校の寮へと向かいましょう!」

「木広洲学園高校?」

 士はびっくりした。それは、自分の転校先の高校だったからだ。

 初めてお嬢様の声を聞いた時、確かに同年代とは思った。でも体の線は細かったし、顔も自分より若く見えていたから、高校生とは思えなかった。

 おむつしてるとは言え、高校生がベビーカーに乗ってる……。

 驚きで、士は体が動かなくなった。

 その前を、お相手とベビーカーに乗ったお嬢様は平然と通り過ぎて行く……。

「あっ!」

 お相手の背中が電車の壁の向こうに隠れた頃、士は我に返って後を追った。

 ホームに出ると、同じようにベビーカーに乗った大人や同じ高校生くらいの人と、お相手らしき男女がベビーカーの後ろに立って電車を待っていたり、音の出るおもちゃでベビーカーに座る大きな赤ちゃんをあやしたりしていた。それ以外にも、手足と膝に柔らかそうな緩衝材をつけてハイハイしてる人や、おむつ以外何も着ていない人も居た。それらの人の近くにもやはり普通の服装をしたお相手らしき人が居た。

「本当に自由なんだなぁ……」

 感心しながら、士はお漏らしで重たくなったおむつと、替えのおむつやらでずっしり重たいキャリーケースを引っ張りながら、執事スタイルのお相手の背中を追いかけた。

  


 駅の改札を抜けると、その先のロータリーでお相手は待っていてくれていた。どうやら士が学校名を呟いていた事で、行き先が同じだと感づいてくれていたようだった。

 士はお相手と共に高校を目指す事にした。

 本来は駅まででお相手の役目は終わりだったそうなので、道中でお相手は色んな事を話してくれた。

 まず、お相手こと彼女の名前は大園おおぞの 由水ゆみ

 今年で二十歳になったばかりの新成人だった。もちろん彼女もおむつ好きで、途中立ち止まって当てているおむつを見せてくれた。見覚えのある、はちみつ好きのクマのキャラがプリントされた、テープタイプのおむつだった。本当は布おむつを当てていたいそうだが、お相手仕事をしている時は足がおぼつかなくなるので、仕方なく紙おむつをしているらしい。

「デザインが可愛いので気に入ってますが、やはりおむつ好きとしてはこう〜モコモコっとした感触を楽しみたいんですよね!あれ見てください?」

 由水は向こうから近づいてくる男性を指さした。

 男性は、ロンパース姿に、踏むとプウと音の出る靴を履いて歩いていた。大量に布おむつを当てているのか、そのお尻の辺りは不自然に膨らんでいて、ガニ股で歩いていた。

 もしかして、と思い、士は周りを見た。

 行き交う歩道は、驚きにあふれていた。

 普通の歩道と車道の間には白く塗られた道があって、そこには「ハイハイロード 赤ちゃんになりたくなったらハイハイしてみよう」と書かれた看板がたてられていた。そしてハイハイロードを、士よりも年上の日達が、ロンパースによだれ掛け姿でハイハイしては、疲れて、普通に歩くというのを繰り返していた。

 その横ではセーラー服を着た中学生くらいの女の子がガードレールに捕まり立ちし、プルプルと足を震わせていた。

「うんうん〜出る〜!」

 その子はそう言って腰を低くする。

 二秒後、スカートの中からはしたない排泄音が響いて来た。

「打ちのめされました?」

 由水が聞いた。

「いや……うん、そうかな」

「でも勘違いしないであげて下さいね?この町ではみんながおむつを好いていて、こうした行為は政府が認めてるのですから!それに、ずっとじゃないですからね?皆さん働きながら、時折こうしておむつや欲に対して正直になっているのですから!」

「あ、なるほどぉ」

「ずっとこうだと思っていました?いやいや!それだったら木広洲町はすぐさま崩壊です!」

 由水は大笑いして、「布おむつ早く当てたいなぁ」とぼやきながらベビーカーを押して行った。

「……ちょっとやってみようかなぁ……」

 士は、布おむつを当てていた男性を真似して、大股で歩きながら、由水の後をのんびりと追って行った。



                 つづく。


 




最後までお読み頂き、誠に有難うございました!

では!次話もお楽しみに!!

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