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⑴『うたと、かたりに、ついて』・・・うたと、かたりの、新定義
⑴『うたと、かたりに、ついて』
・・・うたと、かたりの、新定義
㈠
先人達が、挑んできた、うた論、かたり論について、現代的に、一つの新定義を行っておきたい。そもそもが、うたや、かたり、とは一体何なのか、という問題が提起されよう。うたうこと、かたることは、一種の遊戯の様でもあり、また、芸術的でもある。実生活から切り離せる様で、切り離せないものだ。
㈡
つまりは、うたとは、形而上の空間(観念)を、心で認識して発することだと言えるのではないか。その逆に、かたりとは、形而下の空間(感性)を、頭で認識して連ねることだと言えるのではないか。それでも、この様な新提起に対して、異論はあるだろう。もっと複雑なものだと、人々は言うだろう。
㈢
うた、かたり、共に、音声の問題でもあり、また、内省の問題でもある。何かに踏み込もうとすれば、忽ち消失する様な、危うさを、うたと、かたりは、持っている。前述した定義を敷衍して、更に言えば、形而上そのままにうたう、うた、もあれば、形而下そのままにかたる、かたりもある。二重のこの矛盾は、次の章の課題としたい。