プロローグ
ゆるりと書いていきたいと思います。
つたないですが、楽しんでいただけると幸いです。
木々の生い茂る小高い丘に、二人の人影があった。
一人は革の防具を身につけた、冒険者風の童顔の少年。
そしてもう一人は、真紅のドレスに身を包んだ、小柄な美少女。
「これが、辺境都市アステロ、なのか……」
高台から、眼下の<辺境都市アステロ>を見下ろす。
だがそこには、ゲームの『最初の街』の姿はどこにも存在していなかった。
そこにあるのは、人に見捨てられ魔物の巣窟となった巨大な廃墟だけ。
その規模から、かつては人で相当賑わっていたことが容易に想像できる。
しかし――今は建物のほとんどが崩壊しており、周りを取り囲む城壁はところどころ崩れ、既に風化が始まっていた。人の姿は一切なく、代わりにスケルトンやゴーストなど、アンデット系のモンスターたちの住処となっている。
「ここだけではないぞ。この世界の都市という都市は、ほとんどが魔物どもの支配下になってしまっている。……ふふっ、ワクワクするだろう?」
楽しげに語るのは、真紅のドレスの少女。
動揺する少年の隣で、楽しそうに少年の反応を窺っていた。
『ラプラスの庭』の現実を目の当たりにして、少年は少し後悔し始めていた。
――どうやら僕は、とんでもないゲームを始めてしまったらしい。
しかし、天才ゲーマーとしての矜持が今にも立ち竦みそうな心を奮い立たせる。
それに――僕は隣を見る。
確かに、一人でなら無理かもしれない。しかし、自分には心強い仲間がいるのだ。誰よりも信用できる、唯一無二の、それでいてちょっぴり風変わりな。
「そうですね、なんだか久しぶりにワクワクした気がします」
眼下の廃墟を越え、はるか遠くを見据えながら、青年は静かに答えたのだった。