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最終話 羽と時

 私は、意識が薄れていくのを感じた。おそらくカクが成し遂げたのだろう。保食神がいなくなれば、私がこの世界に来ることはなくなる。だから、今ここにいる私も、消えることになるのだろう。

「最期にもう一度、会いたかったな…」

 まだカクと一緒にいたかった。カクに伝えられなかった言葉があった。でも、それはもう叶わぬ夢だ。タイムパラドックスを解消するため、じき世界は修正される。最終的に影響を受けるのは、どちらの世界にも属していない保食神だけだ。彼女がいなくなったという事実のみが残り、2つの世界からはは彼女が及ぼした影響は取り除かれる。だから、彼女の空振を利用した私も、いなかったことになるのだ。カクの記憶からも私は消える。

 私の目には涙が浮かんでいた。私は最期に、伝えられなかった言葉を口にした。




 保食神が消えた後、気が付くと家に戻っていた。そこには、コーディリアの姿はなかった。

「どこへ行ったんだろう?」

 僕は家中を探し回った。しかし、いくら探しても、いくら呼んでも、コーディリアを見つけることはできなかった。そして僕は理解した。コーディリアはもうこの世界にはいないのだ。

 コーディリアとの2週間の思い出が溢れかえってきた。そして今、コーディリアがどんな思いを背負ってでここまで来て、どんな気持ちで自分を見送ったのかを、理解した。涙がこぼれた。その涙が落ちた先には、一輪の、儚くも美しい、アザレアの花があった。

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