表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/85

序章

 どうしてこんな事に?

 少女は呆然としながらも必死で岸を見上げる。

 目線の先にいた母親が拒絶するように、さ、と顔を背ける。

 その横に立っている妹が無邪気な顔で笑いかけてくるが、少女の表情を見て怯えて泣き出した。

 母親が急いで妹を抱き上げ、去ってしまう。

 少女は絶望的な気分になる。

 沈むのが目的だから、わざと脆く作られた船からはみ出した、きらびやかな赤い着物に冷たい水は容赦なく滲みこんでくる。

 ―――何故、私が?

 流れの勢いに負けて、とうとう下で舟が崩れ始めるのがわかる。

 段々、水が入り込んでくる。

 ひたり、と正座した足に水が届くのを感じる。

 その瞬間、舟に入ってきた水と少女の重さに負けて、舟は、瓦解した。

 冷たい水の中に、木切れと共に、少女は放り出される。

 ―――何故、私がこんな事に……。

 最後に見上げた岸の上に三太とチサの顔が見えた。

 水を通してだったから、表情は、もう、見えなかったけど。

 ―――謀ったわね。

 少女は心の中で思いつく限りの呪いの言葉を唱える。

 許さない。

 絶対に。

 その岸に立っている人たちに

 この国のひと全て。

 許さない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ