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<後編> エンガノ岬沖の死闘

 十月二五日の朝を、機動部隊は異様な緊張の中で迎えた。

 前日の夕刻、攻撃隊を送り出した後に敵索敵機の接触を受け、艦隊の位置は敵の知るところとなっている。昨日は日没が近かったため空襲を受ける事は無かったが、今日の敵機来襲は確実と見られた。

 その証拠に、日の出と同時に発艦した索敵機が北方を念入りに索敵する米軍機を発見している。米艦隊から見て北は、機動部隊がいる方角である。囮作戦が成功したわけだが、それは地獄の始まりでもあった。

 小澤長官が率いる第一機動艦隊の兵力は、空母四隻、戦艦二隻、軽巡洋艦三隻、駆逐艦八隻。数の上ではそれなりの戦力だが、『瑞鶴』を除く三隻の空母は搭載機数が三十機程度の軽空母であり、見た目ほどの力は無い。しかも、各艦の格納庫は前日の航空攻撃によりほぼ空になっており、実質的な攻撃力は皆無と言って良かった。

 対する米艦隊は、「猛牛ブル」の渾名を持つ猛将、ウィリアム・F・ハルゼー大将が指揮を執る第三艦隊。空母数は正規空母だけで九隻、小型の軽空母を含めれば十六隻にも達し、搭載機数は一千機を数える。その周囲を六隻の戦艦と多数の巡洋艦、駆逐艦が取り囲み、分厚い輪形陣を形成していた。

 戦力の差は、数の二乗に比例する。日本とアメリカの空母数の比は一:四。戦力に換算すると一:十六だ。護衛艦艇や艦載機の数を考慮すれば戦力差はさらに大きくなる。この事は、如何なる策を講じても日本側に勝ち目は無いことを示していた。

 元より勝利を目的とした作戦ではない。だが、一人で引き受けるにはあまりにも強大な敵を相手に、それでも瑞鶴は決死の覚悟で立ち向かおうとしていた。その身をもって、友軍の進む道を開くために――

「電探に感あり! 敵大編隊、南方より接近! 距離二四〇キロ!」

「総員戦闘配置! 直掩機は発艦を開始。航海長、艦を風に立てろ!」

 電探室からの報告を受けた貝塚艦長が矢継ぎ早に命令を下す。張り詰めた静寂が支配していた『瑞鶴』の艦内は、これを機に一気に動き出した。

「敵機! 七時の方向、距離六万。機数、百以上!」

 最後の直掩機が発艦を終える頃、後方の見張りを担当していた兵士が叫びを上げた。艦橋頂上の防空指揮所に立つ瑞鶴は、その報告を聞き、艦尾の方へ目を向けた。

「来た……」

 南の空を見つめた瑞鶴は、小さな声で呟く。彼女の視線の先には、空を埋める米軍機の大群があった。

 青い空を背景に接近する、無数の黒点。最初、芥子粒を巻いたように見えた点は、やがて蟻ほどの大きさになり、次いで蜂になり、最後に飛行機の形を現した。

 畑を襲うイナゴの如く、米軍機は空を覆って迫り来る。その数、実に百八十機。その圧倒的な戦力に、瑞鶴は思わず足を竦ませた。

「……いけない、こんな所で弱気になっちゃ。私の任務は、囮になって主力部隊のレイテ突入を援護すること。敵を一機でも多く、一秒でも長く引きつけて、大和さんたちを助けないと」

 自らを勇気づけるように言った瑞鶴の頭上を、直掩の戦闘機隊が駆け抜けていく。しかし、津波のように押し寄せる敵機の前には所詮焼け石に水であり、直掩機の壁は瞬く間に突破された。

「敵機、戦闘機の迎撃網を突破! なおも接近中!」

「敵編隊、二つに分離。左右から突っ込んできます!」

 防空指揮所の見張員が、刻々と接近する敵機の動静を艦橋に伝える。直掩戦闘機が突破された事を知った貝塚艦長は、対空戦闘の号令をかけた。

「対空戦闘用意! 砲術長、敵機が射程に入り次第、射撃開始だ」

 命令を出すと同時に、艦長は羅針艦橋から一つ上の防空指揮所へ上がる。露天の防空指揮所は敵の攻撃を受けやすく危険だが、四方を見渡すことができ、対空戦闘の際には敵機の動きを把握しやすい利点があった。

 戦闘ラッパが鳴り響き、乗組員に艦長の命令を伝える。それぞれの配置に就く乗組員たちは、表情を引き締めて「撃ち方初め」の合図を待つ。

「『日向』射撃開始。『伊勢』主砲発砲!」

 雷が間近に落ちたような轟音を響かせ、『瑞鶴』の左後方に占位する戦艦『伊勢』が主砲を撃った。八門の三六センチ砲が同時に火を噴き、重量六百キロ以上の砲弾を叩き出す。

 数十秒後、敵編隊の先頭で『伊勢』の放った砲弾が炸裂した。砲弾からは、炸裂と同時に無数の燃え盛る断片が撒き散らされ、投網のように敵機に覆い被さる。その網に絡め取られた敵機が、編隊まるごと墜落する。

「やった!」

 僚艦の戦果に、『瑞鶴』の艦橋でも歓喜の声が起こる。しかし、続けて入る報告が明るい空気を吹き飛ばす。

「敵残存機、さらに接近。距離一万五千! 本艦と『瑞鳳』に向かって来ます!」

 『伊勢』の砲弾が炸裂した煙が消えぬうちに、敵の新手が姿を現す。『伊勢』の対空射撃によって先頭の編隊が壊滅するのを目の当たりにした敵機は、小隊ごとに分散して攻撃態勢に入った。

 こうなってしまうと、主砲の射撃は効果が無い。先ほど『伊勢』が発射した砲弾、三式弾は、内蔵する数百個の焼夷弾子を直径数百メートルの範囲に飛散させ、敵機を網で包むように攻撃する、大口径砲用の対空砲弾だ。三式弾は敵機が密集している際には大きな威力を発揮するが、分散されると主砲の照準が追いつかず、敵を補足できなくなる弱点があった。

 主砲による対空射撃の効果が望めなくなった『伊勢』は、高角砲と機銃による射撃を開始する。各所に装備された対空火器が一斉に火を噴き、一瞬、艦全体が活火山のように燃え上がる。

 『伊勢』の二キロ前方を走る『瑞鶴』は、まだ敵機を射程圏内に捉えてはいない。しかし、刻々と大きさを増す敵機の影は、彼女に戦いの時が近いことを教えている。瑞鶴は、軍刀の柄を握る手に、ぎゅっと力を込めた。

「姉様。どうか、力を貸して下さい……」

 祈るように言った瑞鶴は、静かに抜刀して体の前に構える。その切っ先が敵機に向かい合った瞬間、見張員が敵機が高角砲の射程圏内に入った事を知らせた。

「はぁっ!」

 気合いの掛け声と共に、瑞鶴が軍刀を振り下ろす。同時に、『瑞鶴』の両舷に装備された高角砲が火を噴いた。

 砲身を振りかざし、八基の十二.七センチ連装高角砲が猛然と砲哮する。発射された砲弾は時限信管によって炸裂し、敵機の前方に弾幕を張る。それを合図としたかのように、他の艦も続々と射撃を開始した。

 各艦が撃ち上げる対空砲弾が、間断無く艦隊上空で炸裂する。黒煙が日差しを遮る中、青い塊が激しい弾雨の中を突き抜けてくる。

「敵機、右舷後方から急降下!」

「面舵一杯!」

 伝声管を掴んだ艦長が怒鳴るように命令する。直ちに航海長が舵輪を右に目一杯回すが、二万六千トンもの排水量を持つ『瑞鶴』の艦体はすぐには反応しない。敵機との距離が刻一刻と詰まる中、艦はとぼけたように直進を続ける。

「お願い……早く、早く動いて……!」

 ほとんど直角に近い角度で急降下してくる敵機を見上げながら、瑞鶴は泣きそうな声で言う。彼女の願いが通じたのか、ぎりぎりのところで『瑞鶴』は旋回を始めた。

「敵機、爆弾投下ッ!」

 艦首がゆっくりと右に振れだした直後、見張員が悲鳴に近い叫びを上げる。同時に、四発の爆弾が不気味な風切り音を響かせて『瑞鶴』の頭上に降り注ぐ。

「きゃぁっ!?」

 数秒後、『瑞鶴』の周囲に四本の水柱が立ち上った。大きな音と共に、二五〇メートルを超える艦体が地震が起こったように震動する。バランスを崩して倒れ込んだ瑞鶴の上に、滝のような海水が降りかかった。

「うっ……」

 上半身を起こした瑞鶴は、直撃弾が無いことを知り、ひとまず安堵の息を漏らす。しかし、この程度で安心する事はできなかった。

「敵雷撃機三機、右舷より接近!」

「左舷からも四機! 雷撃体勢に入りました!」

「右舷、および左舷の前方に敵爆撃機! 本艦に接近中!」

 上手く爆撃をかわした『瑞鶴』に、後続の編隊が矢継ぎ早に攻撃を仕掛ける。敵は空母しか眼中に無い様子で、周囲の戦艦や巡洋艦には目もくれず、『瑞鶴』以下の空母に攻撃を集中させている。特に、大型の『瑞鶴』は攻撃の矢面に立たされた。

「せいっ……やぁっ……はあぁっ!!」

 左右に結った黒髪を揺らしながら、瑞鶴は四方に軍刀を振り回す。彼女の斬撃は高角砲の弾となり、あるいは機銃の火線となって米軍機を打ち砕く。だが、一機、二機と落としても、そのたびに倍する数の敵が新たに現れ、一向に数を減らす気配が無い。瑞鶴の顔にも、次第に疲労の色が浮かんできた。

「右舷より雷跡三本、急速接近中!」

「取舵一杯!」

 艦の真横を狙って迫る魚雷に対し、貝塚艦長は定石通りに艦を魚雷と並行させて対応する。大きなウェーキを引いて旋回した『瑞鶴』の右舷すれすれを、三本の雷跡が通過していく。

「右舷の魚雷、回避成功しました!」

 海面を凝視していた水兵が、喜色を滲ませた声で報告する。それを聞いた兵士たちは思わず相好を崩したが、直後、大きな爆発音が彼らの鼓膜を震わせた。

「瑞鳳っ!?」

 爆発音を聞いた瑞鶴は、音がした方を見て声を上げた。そこでは、一隻の空母が甲板から黒煙を濛々と噴き上げていた。

 その艦は、『瑞鶴』の左隣を航行する空母『瑞鳳』であった。『瑞鳳』は、潜水母艦から改造された軽空母で、基準排水量は『瑞鶴』の半分以下の一万一千トン。しかし、機動部隊に属する四隻の空母の中では最古参であり、『瑞鶴』とも一度ならず共闘した経験を持つ、歴戦の空母だった。

 空母としての先輩であり、また、幾度も舳先を並べた戦友でもある『瑞鳳』の被弾に、瑞鶴は心を乱す。それはほんの一瞬の事だったが、しかし、その一瞬が致命的な隙を作った。

「敵機直上! 急降下ァッ!」

「なっ……!?」

 見張員の絶叫で我に返った瑞鶴が頭上を見ると、一機の爆撃機が機体を翻すのが見えた。雲の合間に隠れて襲撃の機会を窺っていた敵機は、『瑞鶴』が僚艦の被弾に気を取られた瞬間を見逃さず、奇襲を仕掛けたのだ。

「しまっ――」

 瑞鶴は咄嗟に軍刀を構え直すが、遅い。「カイツブリ(ヘルダイバー)」の二つ名を持つ爆撃機は、その名の由来となった鳥が水中の魚を捕らえる時のように、鋭い角度で獲物に飛び掛かった。

 成す術も無く見上げる彼女を嘲笑うように、太い胴体を持つ機影が大きさを増す。瑞鶴は、キャノピー越しに舌舐めずるパイロットの表情が見えた気がした。

 その時だった。

 敵機の右主翼が、突如として弾け飛んだ。揚力を失った敵機は錐揉み状態となり、煙を噴き上げ落ちていく。その煙を突き破り、一機の零戦が躍り出た。

 急角度で降下してきた零戦は、颶風のように『瑞鶴』のマストを掠め、海面すれすれから機首を上げる。さらに、上昇しがけに雷撃体勢を取ろうとしていた敵機へ逆袈裟に射撃を加えて撃墜した。

 絶体絶命の危機に颯爽と登場し自分を救った零戦を、瑞鶴は呆然と見つめる。あの零戦が誰のものかは分からなかったが、あのような曲芸的な飛行ができる搭乗員を、瑞鶴は一人しか知らなかった。

「鞍馬二飛曹!?」

 その登場員の名を、瑞鶴が叫ぶ。その声は上空にいる戦闘機に届くはずはなかったが、しかし、彼女の言葉はしっかりと彼に伝わった。

「うおっ!? 何だ?」

 操縦席の中にいきなり響いた大声に、鞍馬は驚きの声を上げる。

「やっぱり! 鞍馬二飛曹なんですね!」

「その声、瑞鶴か? 一体どうやって――」

 尋ねる鞍馬の頭の中に、瑞鶴の声が直接響く。

「鞍馬二飛曹に渡した短剣を媒介にして、私の声を届けているんです。艦魂を見れる人が相手なら、こういう事もできます」

 説明した瑞鶴は、「それよりも!」と語勢を強めた。

「どうしてここにいるんですか!? 攻撃隊は、フィリピンの飛行場に向かったはずでは――」

「ああ。行ったぜ」

 瑞鶴の問いに、鞍馬は肯定の答えを返す。

「その基地から、今朝出撃したんだ。レイテ湾の敵艦船を攻撃しにな。ただ――」

 鞍馬はそこで一度言葉を区切り、悪戯っぽく笑った。

「途中で、敵の戦闘機に襲われてよ。逃げてるうちに仲間とはぐれて、方位を見失っちまった。そんで、どうにか基地に帰ろうと飛んでたら、お前を見つけたってわけだ」

 「分かったか?」と鞍馬は快活な声で聞く。そんな彼に、瑞鶴はぽつりと呟いた。

「……嘘つき、ですね……」

 戦闘機乗りにとって、単独での洋上飛行能力は必須。例えコンパスが壊れても、太陽の位置から東西南北を把握する。鞍馬ほどのベテランになれば、敵と乱戦になろうとも絶対に自機の方位を見失う事はない。

 つまり、彼は意図的に仲間とはぐれ、そして『瑞鶴』に戻ってきたのだ。最期まで彼女の側にいるために――

「何があっても、必ず生き残るって約束したのに」

「……悪いな」

 湿った声を出す瑞鶴に、鞍馬は申し訳無さそうな顔をする。

「でも、最後にもう一度お前の顔が見れてよかった」

「……今そんなこと言われても、全然嬉しくないですよ」

 泣き笑いのような瑞鶴の声。姿は見えないが、鞍馬の脳裏には、瞳を潤ませながら微笑する瑞鶴の顔が鮮やかに映った。

 その後、敵の第一次攻撃隊が撤退した頃合を見計らって、鞍馬の零戦は『瑞鶴』に着艦した。この時点で機動部隊では空母『千歳』と駆逐艦『秋月』が沈没、『瑞鳳』が被弾していたが、幸いな事に『瑞鶴』は無傷だった。

 二本の主脚と尾輪を同時に接地させ、鞍馬機は見事な三点着陸をきめる。機体を降りた鞍馬は、マストの下に立つ少女に歩み寄った。

「瑞鶴」

 声をかけ、鞍馬は彼女の前に立つ。心なしか目を赤くした瑞鶴は、彼の顔を見上げて小さく笑った。

「……結局、約束は守ってくれませんでしたね」

「……悪い」

 瑞鶴の言葉に、鞍馬はばつが悪そうに苦笑する。そんな彼に、瑞鶴は続けて言う。

「鞍馬二飛曹は自分勝手です。私の気持ちも知らないで」

 ――好きな人が傷つくのは、見たくない

 胸の内で呟き、瑞鶴は俯く。拗ねた様子でわざとらしく唇を尖らせる彼女は、次の瞬間、予期せぬ答えに顔を上げた。

「馬鹿。そりゃこっちの台詞だ」

「え?」

 ぽかんとした表情で、瑞鶴は鞍馬を見つめる。彼女の反応を見た鞍馬は、はぁ、と深く溜息をついた。

「お前のことを何とも思ってなかったら、わざわざフィリピンからここまで飛んでくるわけねぇだろ」

 鞍馬は、「ったく、こんなこと面と向かって言わせるなよ」と吐き捨てるように言い、それから、

「お前のことが好きだ、瑞鶴」

 顔を赤らめながら、しかし視線は真っ直ぐ瑞鶴を捉えたまま、言った。

「えっ……」

 一瞬、瑞鶴は何が起きたか分からない表情をしていたが、やがて理解が追いつき、両の頬に鮮やかな朱を注いだ。

「鞍馬二飛曹……今の言葉、本当……ですか?」

「ああ」

 瑞鶴の問いに、鞍馬はしっかりと頷く。彼の返答を聞いた瑞鶴は、高鳴る鼓動を抑えて口を開いた。

「私も――」

「敵機来襲ッ! 対空戦闘!」

 瑞鶴が言葉を紡ごうとした瞬間、スピーカーがひび割れた叫び声を発する。同時に、束の間甲板に流れていた平穏な空気も破られる。

「ちッ、休ませる気はねぇって事か!」

 戦士の目に戻った鞍馬はすぐさま愛機に飛び乗ろうとするが、彼の零戦は燃料補給のため格納庫にあり、発艦は間に合わない。舌打ちする鞍馬の腕を、瑞鶴が後ろから引っ張った。

「鞍馬二飛曹、こっちです!」

 腕を引かれるまま、鞍馬は右舷の舷側に設けられたポケットに入る。ここは、艦載機の発艦時に乗組員が退避したり、戦闘時に弾薬の運搬通路として使われる場所であった。

「甲板は危険です。ここに避難していて下さい」

「ちょっと待て。お前はどこに行くんだよ」

 自分を残して踵を返す瑞鶴を、鞍馬が呼び止める。

「私は射撃指揮のため甲板に戻ります。ここでは左舷の敵が見えませんから」

「なら、俺も――」

「駄目です」

 言いかけた鞍馬の言葉を、瑞鶴は途中で遮る。

「艦載機の発艦ができない今、鞍馬二飛曹にできる事はありません。そんな状態で甲板に出ても身を危険に曝すだけです。攻撃がやむまで、ここにいて下さい」

「…………ッ」

 瑞鶴の正論に、鞍馬は唇を噛む。瑞鶴の言う通り、彼が力を発揮できるのは空の上にいる場合のみ。それ以外の場所では一般の水兵と同等か、それ以下の働きしかできない。彼自身、その事はよく理解していた。

「大丈夫です。すぐに敵機を追い払って、発艦可能な状態にしますから。そうしたら、頭上は鞍馬二飛曹にお任せします」

 鞍馬を気遣うように、瑞鶴は笑顔を浮かべて言う。こうなっては、鞍馬は何も言えなかった。

「……気をつけろよ」

「はい」

 頷き、瑞鶴は甲板に上がる。直後、少女の裂帛の声が響き渡り、同時に両舷の高角砲が活火山のように火を噴き上げた。

 戦艦の主砲に比べれば豆鉄砲に近い高角砲だが、間近で耳にする砲撃音は凄まじい。耳栓をしていたおかげで助かったが、そうでなければ鼓膜が破れているところだ。

 とはいえ、耳栓があってもその全てを吸収する事はできない。自艦の射撃音、艦体の振動、至近弾の炸裂音……様々な音が綯い交ぜになった狂想曲が綿の耳栓を通り抜け、鼓膜を揺らす。その中で、鞍馬にだけ聞こえる少女の声が騒音をついて聞こえてくる。

 二度目の戦闘が始まってから、鞍馬は既に右舷を掠めて通過する雷跡を十本以上も目にしていた。『瑞鶴』が巧みに雷撃をかわしている証拠だが、執拗な攻撃を前にして、被弾は時間の問題と思われた。

 そして、遂にその時が訪れた。

 振動。次いで轟音。『瑞鶴』の艦体が巨大地震さながらに震え、鞍馬の体は一メートルほど跳ね上げられた。その身が鋼鉄の床に落下した瞬間、二度目の震動と共に彼は頭上を吹き抜ける爆風を感じた。

 魚雷の命中、そして、それに続く急降下爆撃の被弾だった。

「ぐっ……」

 腰をしたたかに打ちつけた痛みに顔をしかめながら、鞍馬は体を起こす。立ち上がるや否や、彼はすぐに甲板に飛び上がった。

「瑞鶴っ!」

 左右を見回し、鞍馬は叫ぶ。探す少女の姿は、すぐに見つかった。

「瑞鶴!」

 甲板に倒れる少女の姿を見つけた鞍馬は、彼女の傍らに脱兎の如く駆け寄る。そして、その小柄な体を抱き起こした。

「瑞鶴、大丈夫か!?」

「鞍馬二飛曹……」

 薄目を開けた瑞鶴は、苦しげに息を継ぎながら答える。

「左舷後部に、被雷一……飛行甲板後部にも、一発被弾です。甲板の火災は大した事ありませんが、被雷で左舷の推進器が……」

「なにっ!?」

 瑞鶴の言葉に、鞍馬は驚愕の表情を浮かべる。しかし、彼女の体に刻まれた傷は、その言葉が真実である事を如実に伝えていた。

 艦体の損傷は、艦魂の体に反映される。爆弾と魚雷を一発ずつ受けた瑞鶴の体には、二カ所の傷が生まれていた。そして、その一つである瑞鶴の左足――艦の推進器に相当する部分――には、ざっくりと刀で斬られたような傷があった。

 足の傷は深く、一目で重傷だと分かる。それはすなわち、艦の被害が深刻である事を意味する。果たせるかな、程なくして「左舷機械室、前後部ともに使用不能。左舷電気系統浸水、舵取機電源喪失」と叫ぶ伝令の声が耳に入った。

「くそ、間の悪い場所に当たりやがって……」

 伝令の報告を耳にした鞍馬が舌打ちする。瑞鶴の体の傷から推進器系統に異常が発生している事は察しがついていたが、操舵系にまで被害が及んでいるとは予想外であった。

 舵取機の電源が失われれば、『瑞鶴』は操舵が不可能になる。それは激しい空襲の中で適切な回避行動が取れなくなる事を意味し、艦の生命をも危うくする問題だった。

 『瑞鶴』が半身不随となった事を見て取った敵機は、ここぞとばかりに攻撃を集中させた。艦の左右に水柱が林立し、海水が豪雨のように降り注ぐ。その中に、再び爆弾の炸裂音が響いた。

「――ああぁっ!!」

 可憐な顔を苦痛に歪め、瑞鶴が悲鳴を上げる。同時に新たな傷口が彼女の背中に生まれ、鮮血を散らした。

「瑞鶴!」

 声を上げた鞍馬は、頭上を我が物顔で飛び回る敵機を睨みつける。そんな彼の視界の端に、ある物が映った。

 彼の目に留まったのは、飛行甲板に設置された特設の単装機銃だった。この機銃は『瑞鶴』の両舷に装備されている二五ミリ三連装機銃の単装版であり、射手と給弾手の二人で操作する。戦闘時の臨時的な火力増強策として計画され、『瑞鶴』には十基ほどの移動式機銃が搭載されていた。

 その機銃の操作員は既に敵弾に倒れ、力尽きていた。彼は近くの水兵を呼び寄せると、彼を給弾員として主を失った機銃を構えた。

「これでも食らえっ!」

 銃身を目一杯に上げ、鞍馬は敵の急降下爆撃機めがけて射撃する。しかし、弾はいずれも標的を大きく逸れ、虚空を貫いた。

 あさっての方向に伸びる火線を嘲笑うように、敵機が爆弾を投下する。爆弾は飛行甲板後部に命中し、三度(みたび)瑞鶴の体を傷つける。

「くそっ……!」

 空中戦では驚異的な射撃の腕を誇る鞍馬も、艦載機銃の扱いに関しては素人に過ぎない。爆音に混じる瑞鶴の悲鳴を聞き、鞍馬は自分の無力さに歯噛みした。

 間もなく、敵の第二次攻撃隊は帰投し、海上には束の間の静寂が訪れた。しかし、『瑞鶴』の艦内は静寂とは程遠かった。

 三発の爆弾と一本の魚雷を受けた『瑞鶴』では多数の死傷者が発生していた。爆弾の破片や機銃掃射で負傷した者も多く、医務室にはそうした者が続々と運び込まれた。

 艦の被害も深刻だった。左舷後部に命中した魚雷により、舵取機と左舷の機械室が使用不能に陥った。舵取機は復旧されたものの、機械室の浸水は回復できず、『瑞鶴』は動力の半分を失う形となった。

 『瑞鶴』の被害を重く見た小澤中将は、機動部隊司令部を軽巡『大淀』に移す事を決定。敵機が去った後、同艦に移乗した。

 そして午後一時過ぎ、敵の第三次攻撃隊が姿を現した。出撃前から決めていたのだろう、彼らは脇目も振らずそれぞれの目標に向かい、『瑞鶴』にも多数の敵機が襲いかかった。

「敵艦爆、左舷後方より接近! 前からも来る!」

「撃ち方始め! 何があっても『瑞鶴』を守り抜くぞ!」

 貝塚艦長の号令と共に、両舷の火器が火蓋を切る。開戦以来の高角砲や機銃に加え、新たに装備された噴進砲が白煙を上げてロケット弾を発射する。それら対空火器の強烈な射撃は、敵味方に『瑞鶴』の戦意が未だ衰えていない事を教えていた。

 しかし、戦意旺盛なのは相手も同じだった。敵機は、激しい対空砲火を浴びても何ら怖じ気づく様子は見せなかった。むしろ、『瑞鶴』が健在である事を知り、却って戦意を高めている風ですらあった。そのような敵の姿に、瑞鶴は一種の恐怖を覚えた。

「どうして……これだけ撃っているのに、まったく怯まない。むしろ、どんどん向かってくる……。まるで、何かの仇を討つように……」

 瑞鶴が感じた事は決して的外れではなかった。何故なら、『瑞鶴』を攻撃する機体の搭乗員たちにとって、彼女は仇敵とも呼べる存在だったからだ。

 第三次の空襲において、『瑞鶴』に向かった攻撃隊は空母『レキシントン』の機体で編成されていた。

 『レキシントン』は、一九四三年に竣工したエセックス級空母の八番艦である。しかし、米海軍においてこの名を持つ空母は初めてではなかった。

 二代目『レキシントン』の竣工前年まで、米海軍には同名の先代艦が存在した。その艦こそ、史上初の機動部隊同士の戦闘となった珊瑚海海戦において、『瑞鶴』が姉妹艦『翔鶴』と共に撃沈した空母『レキシントン』であった。

 『レキシントン』を発艦した攻撃隊は、先代艦の仇とばかりに『瑞鶴』に猛攻を加える。海面はたちまち至近弾の炸裂で沸騰し、魚雷の航跡で泡立った。

 左舷の推進器を停止に追い込まれながらも、『瑞鶴』は右舷のみで二四ノットの速力を発揮して回避行動を取る。艦魂である瑞鶴も、左足を庇いつつ必死に軍刀を振るった。

「まだ……こんな所で、やられるわけには……っ!」

 瑞鶴の一閃と共に放たれた砲弾が敵機の眼前で炸裂し、これを撃墜する。しかし、出血は収まったとはいえ、彼女の傷は治癒していない。動くたびに体の芯を貫くような激痛が瑞鶴を襲い、その痛みは彼女を急激に消耗させていった。

「雷撃機四機、右舷より接近中!」

「くっ……」

 見張員の声を聞き、瑞鶴は接近する雷撃機に刀を振る。しかし、敵機を撃墜する事はできず、魚雷投下を許してしまう。

 急迫する雷跡を避けるため、艦は大きく左に舵を切る。その最中、別の見張員が悲鳴のような声を上げた。

「左舷前方から雷撃機! 魚雷投下!」

「っ!?」

 右舷の雷跡を祈るように見つめていた瑞鶴は、弾かれたように振り返る。その瞳に、目にも鮮やかな航跡を引いて疾走する一本の雷跡が目に入った。

 このままでは、魚雷は艦の左舷に命中する。しかし、右舷からの魚雷を回避中の『瑞鶴』は、どうする事もできない。

「ひっ……!」

 瑞鶴の双眸に恐怖の色が宿る。次の瞬間、『瑞鶴』の左舷中央部に魚雷が命中した。

「きゃあああぁっ!!」

 鋼鉄の艦体に穴が開くと同時に、瑞鶴の左脇腹が裂けて血が噴き出す。甲高い悲鳴を上げた瑞鶴は、たまらず甲板に倒れ込んだ。

「うっ……、まだ、まだっ……」

 立ち上がろうとした瑞鶴は、直後に短い悲鳴を発して倒れる。瑞鶴は尚も体を起こそうとするが、結果は同じだった。

 彼女の脇腹の傷は、非常に深かった。槍傷にも似たそれは瑞鶴の体を奥深くまで抉り、酷く傷つけていた。その痛みはもはや少女が堪えられるものではなく、艦魂とはいえ、気を失わないでいるのが逆に不思議なくらいだった。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 浅い呼吸を繰り返しながら、瑞鶴は朦朧とする意識を懸命に繋ぎ止める。敵機の攻撃は依然として続いているが、もう彼女に抵抗する力は残っていなかった。

 そこから先はなぶり殺しだった。

 合計二発の被雷により動きが鈍くなった『瑞鶴』に対し、敵機は今が好機と総攻撃をかけた。

 魚雷と爆弾が相次いで命中し、『瑞鶴』を傷つける。甲板は火災に覆われ、艦内は海水に侵されて、艦の戦闘力は急速に低下していった。

 そして、遂に『瑞鶴』の機関が完全に沈黙した。

 『瑞鶴』は、まさしく満身創痍の状態だった。艦は大きく左に傾き、甲板には多数の戦死者が横たわっている。甲板の迷彩塗料は火災によって焼け爛れ、それが場の景色を一層凄惨なものに変えていた。

 その甲板に、瑞鶴は仰向けになって倒れていた。既に起き上がる力も無く、少女は血溜まりの中に身を沈めている。

 少女の姿は、思わず目を背けたくなるほど悲惨なものだった。

 華奢な体は執拗に斬りつけられ、全身に深い傷が刻まれている。それが彼女にどれだけの苦痛を与えたか、想像するに余りある。

 しかし、沈没の危機に瀕した艦上で彼女に目を留める者はいない。彼女の姿は誰にも見えない。ただ一人を除いては――

 種々の音の中に混ざる足音に、瑞鶴は僅かに顔を動かす。そして、現れた相手に小さな笑みを向けた。

「鞍馬二飛曹……」

 瑞鶴の横に膝を付いた鞍馬は、抱き起こした彼女を悲痛な面持ちで見つめた。

「悪い、瑞鶴……。お前の事、守り切れなかった」

「気にしないで下さい……こうなる事は、覚悟……してましたから……」

瑞鶴は、「それよりも」と言葉を継ぐ。

「私は、もう……だめみたいです……。既に、総員退艦も……発令、されています。鞍馬二飛曹……早く……退艦して下さい……」

 瑞鶴の言葉に、鞍馬は首を強く横に振る。

「バカ野郎。お前を置いて、行けるわけねぇだろ」

「だめですよ……約束、したじゃないですか……。必ず……生き残るって……。こんな所で、命を捨てては……いけません」

「それならお前も生きろよ、瑞鶴! それが駄目なら、俺も一緒に――」

「鞍馬二飛曹っ!!」

 鞍馬の言葉を遮って、瑞鶴が声を上げる。突然の事に驚く鞍馬の両眼をしっかりと見据え、瑞鶴は懸命に言葉を紡いだ。

「鞍馬二飛曹……あなたは、ここで死んでいい人では……ありません。日本には……あなたの力を、必要としている人が……たくさんいます。だから……生きて下さい」

 瑞鶴の黒い瞳が、強い意志を宿して鞍馬を見つめる。暫しその双眸と向き合った鞍馬は、不意に苦笑した。

「……敵わなぇな、まったく」

「え……?」

 予想外の反応に、瑞鶴はきょとんとした表情を浮かべる。そんな彼女の様子に、鞍馬は笑みを深めた。

「お前はいつだって純粋で、ひたむきだ。そんなお前に真っ直ぐ見つめられて、断れるわけないだろ」

 鞍馬は観念したように溜息をつく。そして、ほんの僅かな寂寥を含んだ声で言った。

「退艦する。お前の言う通りにするさ」

「鞍馬二飛曹……」

「でも、その前に。お前の答えを聞かせて貰わないとな」

「答え……?」

「おいおい。忘れたとは言わせないぜ。着艦した後に言っただろ? お前の事が好きだって。あの時は、敵に邪魔されちまったからな」

「あ……」

 声を漏らした瑞鶴は、恥ずかしげに視線を逸らした。

「なにも、こんな時に持ち出さなくても……」

「こんな時だからこそさ。返事も聞けずに別れるなんて、そんなのお断りだ」

 そう言って、鞍馬は微笑する。くすりと笑った瑞鶴は、微かに頷いた。

「そうですね……。私も……自分の気持ちを伝えられないまま、お別れするのは……嫌です」

 瑞鶴は一つ深呼吸をすると、意を決したように口を開いた。

「鞍馬二飛曹……私も、あなたが好きです……。他の誰よりも、あなたのことが……」

「……そうか」

 瑞鶴の返事を聞いた鞍馬は、はにかんだような笑みを浮かべる。それを見た瑞鶴は、小さく笑った。

「ふふっ。鞍馬二飛曹も、そういう顔をする事があるんですね」

「悪いかよ」

 ふてくされる鞍馬の様子に、瑞鶴はさらに笑みをこぼす。その時、鉄の軋む音と共に艦が大きく傾いた。

「ひぐっ!」

「瑞鶴!?」

「そろそろ……限界、みたいです……。最後に……一つ、お願いしても……いい、ですか……?」

 瑞鶴の問いに、鞍馬は静かに頷く。同意を貰った瑞鶴は言葉を続けた。

「キス……して下さい。あなたと一緒の時間を過ごした……そのことを、この体で覚えていたいんです……」

 鞍馬は何も言わなかった。答える代わりに、彼女の体を抱き寄せた。

「っ……」

 瑞鶴の細い体を、きつく抱き締める。唇を重ね合わせ、口付けを交わす。例えどれだけの時が流れようと、何度人生を巡ることになろうとも、互いを忘れないよう、強く、深く。

 数瞬の後、二人は唇を離した。どこかほっとしたような表情の瑞鶴は、最後にもう一度、その想いを彼に伝えた。

「鞍馬二飛曹……いいえ、翼さん。あなたに出会えて、本当に幸せでした。私は、あなたが――大好きです」


 昭和十九年年十月二五日、午後二時十四分。軍艦『瑞鶴』沈没。五時間以上に及ぶ死闘の末、歴戦の幸運艦は魚雷七本、爆弾七発を受けて南溟に姿を消した。しかし、囮としての役割は見事に果たしてみせた。

 『瑞鶴』の奮闘はハルゼー大将の目を北方に釘付けにし、彼の部隊をレイテ湾から引き離した。その隙に戦艦部隊がレイテ湾に突入し、敵輸送船団は壊滅する……はずだった。

 しかし、戦艦部隊の指揮を執る栗田健男中将はレイテ湾を間近にして突入を断念。後世に「謎の反転」と呼ばれる退却を行い、戦場を離脱した。

 これにより、『瑞鶴』の犠牲は水泡に帰し、捷一号作戦は失敗した。以後、日本海軍が組織立った作戦を行う事は二度と無く、昭和二十年の終戦を迎えるのである。

 「蒼海の天使」完結から三か月。久しぶりの艦魂作品の投稿です。如何でしたか?

 今回の主役は空母『瑞鶴』。投稿日である本日、十月二五日は史実で『瑞鶴』最後の戦いとなったエンガノ岬沖海戦が発生した日です。ちょうど六八年前のこの日、『瑞鶴』は身を挺した囮作戦に出撃し、多数の魚雷と爆弾を受けてフィリピン沖に沈みました。

 『瑞鶴』は有名な艦であり、他の先生方も登場させているので正直プレッシャーもありましたが、自分なりにこの艦に対する想いを込めて書きました。読者の皆様が石田版『瑞鶴』を気に入って下されば幸いです。


 今後もこのような形で、折に触れ短編を投稿する予定です。その際は活動報告でお知らせするので、どうぞご覧下さい。

 それでは、読者の皆様に感謝を捧げつつ、後書きを終わります。ご意見、ご感想等あれば、遠慮なくお寄せ下さい。

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