第七話「暗示」
………………
カジンは、公園のベンチに背をかけている。
その間に、彼は異様な緊迫感を感じている。
誰かから、睨まれているような感覚だ。
(なんだ…)
身の毛のよだつ感覚に、彼は恐怖した。
とりあえず、ベンチから立ち上がり背伸びをし、立ち去ることにした。
とりあえず、勝手に行動しはじめたマサイを探すことだ。
………………
一方、マサイは不思議な少女と町のビルの隙間で出会った。
その少女は、見据えた目でマサイを見つめる。
(なんで、こんな娘が、こんな場所に?)
そう、マサイは思う。
すると、その少女が口を開いた。
「あなたは、たぶん、逃げ切れない」
その言葉に、マサイは驚く。
逢ったばかりの娘に、現在の自分のことを示すような言い方をされたのだ。
「どういう意味だ!」
思わず、反論した。
だが、彼女はなにも言わない。
すると、彼女は立ち上がり、その場から去った。
マサイは、ただ呆然と立ちすくんだ。
まるで、これからの自分の末路を言われたようで。
だが、それでも彼らは逃げなければならない。
何故なら、もう人とは違う力と運命を持ってしまったのだから。
………………
カジンは、歩いた。
思えば、自分が少年院から脱獄してから、まだ一日も経っていない。
なのに、今では塀の外の空気を吸っている。
昨日まで、考えられなかった状況だ。
もう一生濡れ衣のまま、閉じ込められていたと思うと、不本意だが、マサイという男に感謝しなければならない。
そして、これからはどうなるのか…。
そのことも、いつも考えていた。
しかし、こうなってしまった以上は逃げ切るしかないと、自分に誓うことに、彼は決めた。
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