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キジンガ  作者: スグル
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第六話「二つの修羅場」

………………


廃墟の数々を抜け、カジン、マサイはイナリ街という街に着いた。

この国で言う下町に当たる場所だ。

派手ではないが多くの商店が並び、どこか、ほっとしてしまう街並みを見せている。

この場所に、一悶着ありながらも、カジン、マサイは来た。

とりあえず、二人は指名手配されているかが不安ではあるが、食事を取らなければならない。


………………


のどかな街並みを見せるイナリ街にも、当然、ロクトミッショネズ配下の警察署が存在する。

カジン、マサイは、この場所を避けるている。

イナリ街の警察署には、すでに二人の顔写真が送られていた。

当然、この写真から指名手配写真を作ることは可能。

すぐにでも、作れる。

だが、警察署は指名手配を作成しない。

何故なら、本部であるロクトミッショネズが作らせなかった。

指名手配写真は、被疑者の顔写真や氏名などを配布して、一般人の協力を呼びかける、公開捜査という捜査上の手法であり、被疑者を追い詰める事が出来る。

だが、それを行わないのは、自信があるからだ。

だから、一般人の協力は必要ない。

だから、この警察署には、この二人が来てかも知れないという程度にしか取り扱わない。

その代わり、この街には、すでに、ロクトミッショネズの例のインテグラルウィルス投与者が動いている。

対処が早いのだ、ロクトミッショネズは。


………………


古びた街の商店街は、多くの人が行き来している。

一つ、一つの商店街に人盛りが出来ている。

そんな街並みを、カジン、マサイは歩いていた。

数時間前に、気の合わないことに気づいた二人は気まずい。

マサイは横目で、カジンを睨む。

それを、カジンは無視。

相手にしていられない…。

これが、本音だ。

あと、カジンの服装はさっきまで、ガズ市街少年院の囚人服だった。

だが、さすがに怪しまれる。

それで、さっき寄った古着屋で買って来た着物と袴を、カジンは着ている。

剣道の選手みたいな服装だ。

これしか、安い服がなかった。

妙に浮いた服装だが、今は我慢するしかない。

そんなカジンを横目で睨むマサイが、口を開いた。

「おい、ガキ…」

と、喧嘩腰に言う。

それに対し、カジンの眉毛が動く。

「おりゃ、用事あるから、適当に街うろついてろ…」

マサイが、二手に別れるように言った。

たぶん、この妙な息苦しさから逃れるためである。

「用事ったって、どーせ、歩いてる際に、見つけたフーゾクに行くだけでしょ…」

そうカジンは、言い返す。

「なんで、わかったんだよ山猿…」

「図星かよ…」

マサイは、そのまま、カジンから離れるように歩き始めた。

カジンも、マサイが離れたのに、なにも言わずに無言で見送る。

離れていくマサイの足取りは、言ったとおりに、まだ昼間だと言うのに怪しい店が立ち並ぶ場所に向かう。

互いに、思いっきり、ため息を吐く。


………………


陽が暮れはじめ、街並の看板の電灯が灯り始めた。

景気良く客寄せし始め、仕事帰りの中年男性らが、ストレスと疲れを晴らすために、酒屋、風俗店に入って行く。

そんな怪しい店が並ぶ道を、マサイは歩く。

「はー!ったくよ!利用できると思ったのに、役立たねぇ野郎だな!!」

カジンの文句を、大声で言う。

イライラを晴らすため、飲み屋にしろ、風俗店を入念にマサイは厳選している。

「イナリ街の風俗店は、結構、評判いいからな…」

欲望に忠実なマサイは、店選びに胸をときめかせる。


………………


一方、カジンはこの街の公園のベンチで、一息の休息を得ている。

陽が暮れた公園には、男女が手をつないで、仲良くダベっている。

所謂、アベックが多く、公園に居る。

そのせいで、かなりカジンは一人だけ浮いている。

「なんなんだ、この公園…」

見渡すかぎりに、アベックが埋め尽くす公園に、今まで女性と手を触れたことすらないカジンは息苦しさを感じる。

この息苦しさは、マサイと一緒に居る時以上の苦しさだ。

「マサイの野郎…」

訳もなく、マサイへのムカつきが増した。

しかし、カジンはあくまで一人だ。


………………


マサイが、風俗店を厳選している時。

ふと店と店の間に、隙間がある。

その隙間に、マサイが目が行く。

すると、そこから人の影のような物が見えた。

「!?」

マサイの感心が、風俗店よりも、隙間の人の影に行く。

「カツアゲされて、落ち込んでるガキか?」

そう思い、その隙間の方へと足を進ませた。


すると、そこには…。

「…!」

マサイは、目を疑う。

暗い隙間には、似合わない可憐な着物を着た少女が店の壁に背を付けて座り込んでいる。

その少女は、透き通るような金色の髪の毛に、凜とした表情に、変わった紫の瞳であった。

この少女の容姿に思わず、マサイは目を奪われる。

少女は、マサイの存在に気付いたのか、下を向いていた首の向きを変える。

彼女の瞳の色に、マサイは、吸い寄せられるような感覚を得た。


………………


公園で、うなだれているカジン。

その様子を、数十メートル先の木々に交じるように見ている人影があった。

人影の手には、無線機らしい機器がある。


こうして、カジンは第二波の修羅場を迎える事となる。


………………

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