何がしたい?
「あなたはやりたいことがありますか?」
そこに入ると唐突にそんなことを聞かれた。
店の名前に惹かれて入ってみたのは良いものの入ってみたら何をしている場所なのかわからずウロウロしていた所にこの質問である。
「その前に一つ聞きたい。此処は何をしている場所なんだ?」
「簡単に説明すると願いを聞き届けその願いを叶えるお手伝いをすることです。」
声は答える。
「その願いはなんでも良いのか?」
「勿論。なりたいものやってみたいことなんでも構いません。しかし『なにかが欲しい』という物を与えるだけの願いは受け付けられませんのでご了承ください。」
つまりは『金が欲しい』や『権力を手にしたい』という物を与えるだけの願いはアウト。『金を手にして企業を買収したい』や『権力を手にして世界を統轄したい』などの願いはセーフだという。
…またまた難儀な。
「勿論対価無しなんていう事はないんだろ?」
「そりゃ勿論。程度にもよりますがそれなりに対価は頂きます。ですがご安心を。何も寿命を貰おうなんて言ったりはしません。」
なかなか興味深いじゃないか。
「というと、対価というのは一体?」
「そうですね…よくあるのは、達成しても充実感が得られない。というものでしょうか。私達は幸福感を代償として頂いておりますので。」
これも程度の問題だという。
「そういうことなら何も頼むことはないな。さようなら。」
言って俺は立ち去る。
「ありがとうございます。またお越しください。」
声は引き止める事をしなかった。去るもの追わず主義なのだろう。そして俺はその場を後にした。
「なかなか意志の固い人でしたね。こんなひとなかなか居るもんじゃない。」
「そうだね。まさか網にかかってくれない人が居るなんて思わなかったよ。」
店員は口々に男を称賛しながらも次の標的に向けての準備に取り掛かるのだった。
一応短編で読み切りです。
続けようと思うとだらだら続いちゃうんで(汗
初投稿でこんなの…ねえ。もやもやするかもしれないけど多分続きは書かないです。
このお店の別のお話なら書く機会があるかもしれません。わからないけど。気分で書かないかも。
というわけでここまで読んでくれた方がもしいらっしゃったのならそれは誠にありがとうございます。
つらつらとゆっくり投稿していくと思うのでよろしくお願いします。