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一
地図には、最初から余白がある。
私はそれを、可能性だと思っていた。
地方都市・西土で育った。中学までは、進む方向に迷いはなかった。正解を得るのに努力は必要なかった。周囲の私を見る目は、とても暖かかった。
県内最上位校・名和に入った日から、その温もり下がっていった。周囲は同じ問題を、より速く、より美しく解いてしまう。私はどうか。遅く、醜い。周囲の心を勝手に悪い方向で想像してしまう。
豊幸大学への進学は、修正のつもりだった。だが、講義よりも単純なものがあった。反復、偶然、熱。時間が潰れる感覚は、思考を不要にした。出席簿から私の名前は薄くなり、それでも学位だけは残った。




