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化け猫おちる  作者: 帆多 丁
27年前
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2. いまから

 母さまが魂をわけて下さっていたのに。


 魔女はそう言った。緑のとばりの中で、手頃な木の枝に腰掛けて、追手の男たちを悠然と見下ろしている。突然消えた化け猫に慌てる男たちを。

 

 母子の時間を邪魔するなんて、なんて乱暴なひとたちなんでしょう。


 密林の暑さも鎮める涼やかな声に、彼らが上を向く。

 一瞬の後、魔女は一人の男の背後にあった。ユエの喉を切ろうとした男、さっきまであったはずの両手を眼前に叫び続ける男に、囁いた。


 痛い? 手が塵になるのは痛い? 母さまはもっと痛かったのよ?


 次には射手の眼前にいる。

 その膝から下が塵に変わって、沢に残りの体が落ちる。

 魔女は舞うように宙を歩み、無邪気な笑みをこぼした。藍色の左目が、男たちの意思を奪う。金色の右目の中で、ユエはリールーと共にそれを見ている。

 宙を滑り、踊り、歌うように魔女が言って聞かせた。



 みなさんを集めてきてくださる?

 わたし、思い付いてしまったの

 食べづらいモノでもね

 ひと工夫すればおいしくなるのでしょう?

 発酵だなんて、あなたたちって神秘的

 でも、こういうのは発酵とは言わないのかしら?

 むずかしいわ、ふふ

 わたしね、情念に満ちたモノの怪がとても好きなの!


 ねぇ、あなたたち

 いまからモノの怪になって?

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