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ソウルエクスチェンジ~来世のボクから前世の俺へ~  作者: 山吹アオサ
迷宮での探しもの
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第七話 迷宮に向かう準備



夕方になり、優雅な?散歩から解放された俺は寮の部屋に帰宅し、とても疲れていた。


トリアさんは笑顔を向けながら俺の腕を組み、逃がさないという意志を見せつけてくる。


パールさんはそんな積極的な様子を、恋する少女が少年にアピールしているように見えるらしく、ソワソワしていた。



「よ、ずいぶんと遅かったな、メイス」

「……クレイか」


ベットから顔を覗かせるクレイ、手には新聞紙。ベットには差雑誌がたくさん散らばっている。


「あの微笑みの妖精を籠絡させたんだって、すごいじゃないか、オレもその人身掌握術にあやかりたいもんだ」

「籠絡なんてしてないっての、なんでそんなわけがわからない感じの噂になってんだよ、しかも噂が広がる早いなぁ」

「いや、だってさ。トリア・リーフって言うとパール姫並みに人気と実力があるんだぜ、それを半日中、連れまわしてたんだろう?噂にもなるって」


確かに、パールさんもトリアさんもとても美人だ。、実力があるって話も天才剣士が言うんだから本当なんだろう。


「うーん。でもこれは都合がいいかもしれないな」

「なにが?」

「迷宮に行く話だよ。正直、メイスは迷宮のこと何もしらないだろう?」

「うん、知らない」


クレイは散らばった雑誌や新聞紙を片付け、ベットから身体をおこす。


「前のメイスでも、迷宮での行動は知っていた。いくら弱くてもな、でも今のメイスにはそれがない」

「……危ないのか?」

「ああ、危ない。迷宮は訓練を受けてないと危険な所だからな。オレ一人じゃ対応できないこともある」


クレイの言いたいことがわかってきた。いくら後ろで応援しているだけでも同じ危険な場所にいるのだから、あぶないと。


「パール姫や、トリアさんならその辺りもフォローしてくれるかもしれないしな」

「協力してくれるかな?」

「大丈夫だろう、パール姫とトリアさんは、オレとメイスみたいなチームなんだ、強すぎて組む相手がいない。本来迷宮は最低でも班、多くて小隊規模でいくものだからな。学校側からの催促もなくなるし、向こうも都合がいいだろう」

「クレイ……何から何まですまない……」


本当にクレイには世話になりっぱなしだ、ウェェェェイとか言ってそうとか思ってすまない……。


「ははは、なに気にするな、オレもトリアさんを近くで眺められる福眼タイムが得られるしなっ!」




「お前……マジかよ」


翌日。昨日のさわやかな笑顔が今日は引きつっていた。理由は俺せいじゃないと思う、たぶん。



朝食を食べに食堂に来た。クレイはまだ寝ているので一人で来たのだ。


バイキング形式らしく、自由に選んでいく。周りを見ると大食いな人がとても多かった。朝から標高の高さそうな山盛りとかよく食べられるなぁ。


テーブルには色とりどりのパン。とりあえず俺は、かろうじて何の食べ物かわかる、黒いパンを選ぶ。細長い形のバケット状をスライスしてあるタイプで、傍にあったべりー系っぽいジャムを別皿にとる。最後に冷たいのが仕様っぽいスープを選んだ。ちなみにすべて原料が何かわからない。


空いているテーブルに座り食べようとしたら視線を感じ、視線の方を見ると、パールさんとトリアさんがいた。


俺は挨拶しようと声をかけようとしたらトリアさんの姿がいつのまにか俺の隣にいる。意味がわからない。瞬きする前までパールさんと同じテーブルに座っていたのにだ。


「まあまあ、とっても奇遇ですわね」


ものすごいいい笑顔で声をかけてきた。奇遇と言う言葉が出てくる距離じゃないけど。


「あ、えと、トリアさん、昨日はお世話になりました」

「そんなに畏まらなくても、私くしと信徒の仲じゃないですか、もっとこう近くで崇めてもいいんですよ」


い、いつのまに俺は信徒になってしまったんだろうか。


「トリアっ。いくら好、ごにょ、ごにょ、なのはわかるけど、ここは公共の場よ、ちゃんとしないとダメじゃない」


慌てた姿でパールさんが俺にいるテーブルにやってくる。


「ちゃんとしていますわよ?何を恥ずかしがる必要があるのですか」

「そ、そこまで……っつ」


愕然とするパールさん。あまりのショックに眩暈がきた様子で咄嗟に俺が支える。


「大丈夫?」

「え、ええ、ありがとう。トリアのあまりの普段とのギャップにちょっと……」

「失礼しちゃいますわ。私くしは普段から裏表のない素敵なめが、妖精ですのよ」


裏表めちゃありそう。


「それよりも早く食べないと後から来る人の迷惑になってしまいますわよ?ほら、あーん」

『あーん?!』


トリアさんは口をあけて、俺に食べ物を催促しだした。俺とパールさんは驚愕する。


「ほら信徒くん、はやくお供え物をくださいな。この際気持ちで納得しますから」

「…………」


トリアさんの言葉はパールさんに届いてないらしく顔を真っ赤にして固まっている。


トリアさんは変わらず口を開けている。そして周りの生徒からの興味、興味、興味の視線。


朝の学食はカオスであった。


俺はこのカオスの原因の口にジャムを大量に塗った黒パンを放り込む。その辺りでクレイがやってきたのだった。




「クレイ、俺は決してメイスの身体に恥じるような行動はしていないぞ」

「いや、そんなよくわからない誓いをたてられても困るんだが……」

「もぐもぐもぐ。いまいち情熱を感じませんわ、これからですわね、うふふふ」

「あ。私は何を……」

「あ~、でもちょうどよかった。な、メイス」


確かに、パールさんとトリアさんの二人が揃っているのは都合がいいかもしれない。


「パールさん、トリアさん。少しいいかな?」


俺が迷宮の事を話そうとした時、クレイが場所を変えた方がいいと言ってきたので、図書室に併設している談話室にやってきた。


談話室は、生徒同士の議論や迷宮での立ち回りを話し合う場所らしく、敷居が設けてありある程度の密室が保証されていた。


「それで話って言うのはなにかしら?」

「迷宮に行く話なんだけど。できれば俺たちと班になってほしいんだ」


俺は迷宮に行きたい目的を話す。


「そうですの……。……生まれた時代の方がいいですわよね、私くしは協力いたしますわ、寂しいですけど」

「……トリアがいいって言うなら私もかまわないわよ、その本が早く見つかるといいわね」


少し間のあったパールさんは気になるがとりあえず足がかりはついた気がした。


「決定だな。明日の昼ぐらいに行くか」


クレイがまとめてくれた。俺は頷く、パールさん、トリアさんも頷いていることから予定は大丈夫のようだ。


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