第七話 待機中
男たちが去っていくのを見た少年少女たち。襲撃の気配がなくなるのを理解すると、俺をもみくちゃにし始めた。
「お前、すげーなっ!」
「怖くなかったのっ!?」
「おれってば、まだ足が震えてるわっ」
口々に俺の周りに集まって言いたい事を言っている。どう対応してよいか困っていると、神官の人が声をかけてきた。
「みなさん。まだ襲撃は済んだとは限らないのですよ」
神官の指摘に静まりかえる少年少女たち。
「こほん。学園から護衛と馬車が派遣されるそうです。それまで大人しくしていましょう」
少年少女たちは返事をして、それぞれ仲が良い、もしくは良くなった者たちで集まって話していた。
「やべ、おれっち。馬車とか乗るの初めてかも」
「護衛の人だって。かっこいい剣士様かも~」
俺は神官に尋ねる。
「前の方にいた……、貴族の人たちはどうなりましたか」
「大丈夫ですよ。すでに学園からの救援が届いているようです」
腕輪を渡した子は無事だろうか。ただ……貴族の少女と羊飼いの俺では接点がない。名前も聞いてないしなぁ。運が良ければ学園で会えるかな。
「それにしても、君は戦いの女神から加護をもらったのですかな」
「え?」
「武器をもった者に対しての冷静な対応。皆を鼓舞するような発言。未来の騎士として十二女神様から期待されているのでしょう」
……俺の加護は何も決まってません。俺は適当に誤魔化し、ブーフとトマスのいる所に向かった。
「いやぁ~、危なかったよ」
「おでも、死んだと思った」
「二人とも、無事でよかった」
少しの間でも知り合った人間が、傷つくは見たくない。俺は肩の力を抜いた。
「助かった。おで、礼を言う」
「ぼくも礼を言うよ。学園を卒業して行く当てがなかったら、ぜひ、ぼくのトコロに来ておくれよ。護衛として雇うからさ」
「あ~、考えておくよ」
苦笑いを浮かべる。
「おっと、そうだ。今の出来事を会話のタネにして、他の人のところにも~」
軽い足取りでトマスは移動していった。キレイな女子が多い集まりに行く辺り、彼の性格が見て取れた。……あ、無視された。
「アレが、コネを作る……。大変そうだ」
「ブーフは、木こり仲間の所に行かなくていいのか?」
「加護を受けに来た木こりは、おで一人」
「そう――」
「うわぁあああんっ!」
な、ちょっとなんだっ!? トマスが半泣きで俺に抱きついてきたぞっ!?
「アナタみたいなのはお断り。あたし達を助けた彼を連れて来たら考えてあげるだってぇぇぇえっ!!」
「あ、うん。がんばれ。トマス」
「君までぇえぇえ」
「…………コネを作るって、大変だ」
トマスの様子を見てブーフが、呟いた。
一本の蝋燭のみ明るさで保たれた窓のない部屋。石造りの壁は古い。崩れそうなほど寂れた場所。男達と、胸元が大きく開いた派手なドレスを着た少女がいた。少女の頭には白銀の角が生えている。
「ついに、見つけましたか」
「はい。姫巫女様」
男たちは、少女に向けて頭を下げていた。男たちの中にトーラスと剣で戦った男もいる。
「まさか、貴族どもの中に生まれてこられるとは……。神族様たちは、とても悪戯好きのよう」
「どうなさいますか?」
男の問に、少女は手に持つ扇子を広げ口元を隠すと考える素ぶりをする。
「仕方ありません。学園の協力者に委ねましょう」
「はっ! 我ら、古き神々の支配の元にっ!」
『古き神々の支配の元にっ!』




