表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

「これは・・何なの?」

「ナイフです」

「捨ててらっしゃい」

「・・・自分のではないです」


俺は靖子さんに事情を話した。2歳年上の親戚と言うか、一緒に暮らしている血縁関係はない。まあ、同棲状態?


「まあ、まあ、婚約者同士なのだから、仲良くね」


義母は微笑ましく言う。


流れってあるよね。その流れにのって、婚約をしてしまった。特に、強烈な恋愛感情はないが、気が付いたらだ。


「マサ君、婚約をするにあったって、お互いの身上を把握するわよ。借金は?私のカードで食材を買っているから、毎月、数万の借金があるわ」


「俺はないです。学生時代に作ったピザデービットを使っています」


「そう・・・」


色気もへったくれもないが、共働きになるので、お互いの家計に入れる割合。

独身時代の貯金はどうするか?などなど、


その流れで、この話が出てしまった。


「違法なものとかは持っていない?エロ動画とかどうでもいいから」


ジィーー


と見つめられる。

カンがするどい。最近の挙動不審がバレているようだ。靖子さんに嘘は言えないから、軍オタから、預かったナイフの話をした。

そして、冒頭の捨ててらっしゃいに戻る。


「あれから、連絡をしても、『もうちょっとだけ』の繰り返しで、そのうち、電話を取らなくなった状態です。

そして、メッセージや録音で引き取るように言っています」


「そう・・・貴方、なめられているわね。法律事務所で使っている手段をとるわよ。簡易のレターパックをコンビニで買ってきなさい」


「はい」


そして、数日後、有給を取り。靖子さんに連れられて、法律事務所に行った。彼女の勤め先だ。


「初めまして」

「まあ、お話を聞いているわ。さあ、どうぞ」


弁護士は、女性の方だ。通常、こういったことを知り合いに頼むのはダメな気がするが、


「法テラスの無料相談所は混み混みよ。一月待はザラなの」


だそうだ。


挨拶もそうそう。PCから文書を出してくれた。


「相談料は無料でいいから、文書代3000円を頂くわ」


「はい」


「文書を読んで、ここに、サインをして、そして、アドバイスだけど、レターパックの電話番号欄には何も書かないこと。受け取った親御さんが電話をかけてくるかもしれないからね」


私のサイン入りの文書はコピーして、一部手元に取っておく。

文書の内容は、ナイフの引き取りを、一月後までにすること。そうしない場合は、こちらで処分をすること。

電話番号を書かないのは、先生の話だと、余計な第三者が登場させないためだ。


そして、


「ネットで、到着の表示がされるから、それをこの文書のコピーと一緒に、プリントアウトして取っておきなさいね」


「はい」


記録郵便などではなくても、簡易レターパックの記録でも、裁判所では有効だそうだ。

お金もかからない。


そして、送った。


☆一月後


やはり、連絡が来なかったので、ナイフを持って、警察署に行った。


「拾ったのですが・・・」

嘘だけど、余計な面倒を引き起こさないためだ。


警察官は目を輝かせる。仕事帰りなので、夜に行ったから、

誰も相談者はいないと思ったが、

顔を腫らせた女性が、警察官に相談をしていた・・・


「ウウウウ・・・」


女性の嗚咽が聞こえる中でも手続きは淡々と進む。


「これは、違法ですね。三ヶ月後に、貴方に権利が行くと同時に没収となります」


「ええ、それで結構です」


これで、違法なものの所持状態は終わった。


☆数ヶ月後


宮本から連絡が来た。


「山田、集まりに行くから、ナイフを取りに行くから準備よろしく。ナイフを使った護身術の講習を受けに行く。きちんと包装してすぐに取り出せないように持ち歩いたら、大丈夫だってさ。駅前に来てよ」


何事もなかったように、宮本から、連絡が来た。

こいつ、ヤクザが手下に銃を保管させるように、俺にナイフを預けている気になっているな。


「文書を確認して下さい。〇月〇日に送りました。ナイフはありません」


ププ~~


スマホの通話を切る。


それから、何件か連絡があったが、後のことは知らん。奴にされたように、着信無視を決め込んだ。


また、買えばいいじゃん。

まだ、裁判のお知らせが来ない状態だが、大丈夫だろう。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ