七話:新たな能力者
あれから数日程経ち、私はいつも通りの日常を過ごしていた。
渚紗ちゃんは竜爺が手続きをし、近くの中学校に通えるようになった。私はあの男を殺した事で、また新たな能力を得たが、メリーさんや莉音さんにその能力を使用しないよう言われた。
平和に高校生活を楽しんでいた……1人で………。だが、ある日の昼休み、校舎裏で1人の気を失っている?女の子を見つけた。黒い髪に白のメッシュが入ったロングボブの女の子だった。少し近づいて見ると女の子は目を覚ました。瞬間、異様な気配が辺りを漂った。一瞬で鳥肌が立ち震えが止まらない。また数秒経つと、先程まであった気配は嘘のように消えた。
「あれ?私寝ちゃってた?……君は…?」
「………私は……2年の……鬼咲…夜鈴…貴女……は……?」
その娘は少し考える素振りをしたあと、口を開いた。
「私は黑希那魔無香。私も2年だよ」
2年生?見たことないけど……クラス違うのかな…?
「起こしに来てくれたのかな?ありがとう!」
「いや…」
それからは魔無香……と、少し話した後、教室に戻った。……戻ろうとした魔無香の脚に書かれていた、『罪』の字を私は見逃さなかった。
家に帰っている途中、魔無香に会った。帰る方向同じだったんだ……。
「あっ、お昼ぶりだね。夜鈴…だっけ?」
「…うん。家…こっち側だったの?」
「うん。夜鈴もこっちだったんだ」
「まぁ…」
そんなこんなで歩いていると、家の近くまで来た。すると、珍しく莉音さんが家から出てきて私の方に歩いてきた。魔無香の方を向き、
「こいつは?」
と私に聞いてくる。
「莉音さん……!あ、えっとこの娘は私の同級生で、家がこっちの方向らしくて……」
「ふーん」
そう言った後、莉音さんが続けた言葉に私は目を見開いた。
「お前、人間か?」
その言葉に対して、魔無香は引きつったような笑顔でこう言った。
「えっと…誰か知らないけど……どういう事?そんなの…人間に決まって…」
被せるように、莉音さんは言う。
「お前からは能力の気配を感じる、が私や夜鈴のような人間よりも強い気配だ。まるで……」
「『能力元の怪異本体』が目の前にいるような」
「………」
「…バレちゃったか」
魔無香?がそう言った瞬間、昼に感じたものよりも更に強い圧を感じた。少しでも動けば、……それこそ文字通り、灰すら残らない。莉音さんは少し身構え、こう言った。
「…圧を……抑えてくれないか…?」
「あぁ、ごめんね」
魔無香?はニコッと笑い、先程までのような圧に戻った。
「安心して?僕達はなにも君たちに危害を加えようと思っているわけじゃない。この娘に何もしないなら、だけどね?」
莉音さんは深呼吸をし、その『何か』に対して質問をする。
「お前は……何者なんだ……?」
「僕?…まぁ、教えてあげてもいいか」
「僕の名前はベルゼブブ、七つの大罪『暴食』の悪魔であり、神だったものだよ」
「七つの……大罪…」
「なるほど……キリスト教の話に出てくる七体の悪魔か」
「正解。今はこの娘の体に憑いた能力だけどね」
「今とある理由でこの娘は表に出られないから、僕が代わりに表に出て動いてるんだ。この娘を守るにはそうするしかないからね」
「まぁ今日は帰るよ。えっと……夜鈴…だったかな?怖がらせてごめんね?…じゃあ」
そうしてベルゼブブは帰っていった。私達も帰ろうとした時、莉音さんがこう言った。
「あれにはなるべく関わらない方がいい」
「さっき、あいつは『僕達』と言った。つまり…あの体には七つの大罪全て、もしくは複数の怪異が憑いている可能性がある」
「下手に手を出さない方がいい」
「…わかりました」
その後家に帰り。色々して長かった1日が終わった。




