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怪異の力で生きる道  作者: 牧葉 とい
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六話:襲撃

メリーさんとの契約の5日後、私はいつもの様に学校から帰っていた。最近はメリーさんの能力の特訓でようやく瞬間移動できるようになった。


「もう瞬間移動まで出来たら人間じゃないよね~」


そんな事言ってたら電車が駅に着いた。駅から家までの道を歩いていると、後ろから足音がした。別に足音くらい誰でも出るけど……なんていうか付けてきてる感じの足音だ。そこで私は、瞬間移動の能力を使った。



「跳べ【メリーさん】」


瞬間移動は半径5キロ圏内で、頭の中で思い浮かべた場所に移動できる。能力で、私を付けてきていたであろう人の後ろに跳んだ。瞬間、その人…いや、その子は振り返り私を見た。ボロボロの服を着ている、ミディアムヘアの女の子だった。私を怯えた?目で見ていたその子に1つ質問した。


「君、だれ?」


「…(???)………」


女の子は答えない。どうしたもんかと悩んでいると、突如、凄い速度で私に向かってくるものがあった。避けれないと悟った私は、ぶつかる寸前間に腕を入れてダメージを小さくした。…はずだった。


「あ"っ!?あ※※※※ぁ※~っ!」


腕が吹き飛んでいた。向かってきた攻撃の衝撃に耐え切れず、吹き飛んだらしい。


「っぐ…」


「跳べ!【メリーさん】!!!」


すぐに瞬間移動で離れた場所へ移動し、莉音さんに貰っていた薬を飲んで回復する。莉音さんの能力【人魚】の力で、不老不死に近い状態の莉音さんの血が入った薬は、飲んだ人の怪我や病気を一瞬で治してくれるチート性能だ。だが勿論数に限りがある。

 腕が治ったことで冷静になれた。今の力は何だったのか?女の子の能力?いや彼女は能力名を発していなかった。だとすると……。考えている内に相手側から来てくれたらしい。私がいるのは山の中。流石に住宅街で戦う訳にはいかないしね。

 そこに居たのは中学生っぽい女の子。と、私と同じくらいの男だった。さっき私がくらった攻撃が、女の子の能力ではないとしたら、必然的にあの男という事になる。


「あ(???2)?」


「腕(???2)治ってんじゃねぇか」


「お(???)い!さっさと来い!渚紗(なぎさ)!」


女の子、渚紗と言うらしい。その子は、慌てた様子で私の前に立った。ただ、渚紗という子は、私が話しかけた時よりも怯えてるように見える。もしかして………。まぁ、今はそんな事どうでもいいか。能力を発動しようとしたその時、渚紗ちゃんが声を上げた。


「能(渚紗)力……!使って…くる…!」


「なっ!?」


能力を使おうとしたことがバレた!?


「…っ!」


また…攻撃が飛んできた。だが、今回はしっかり視認することができた。やっぱり攻撃していたのは男の方で、とんでもない速さで攻撃してくる。男から離れた瞬間、瞬間移動でさらに距離をとる。


「跳べ!【メリーさん】!」


距離をとった瞬間、もう1つの能力を使う。


「呑み込め!【きさらぎ駅】!」


暗い森と、唯一の明かりであるひとつの駅がある空間。


操車(そうしゃ)!」


男のもとへ線路が引かれ電車を走らせる。が、当たり前のように避けられ、さらに反撃をくらった。……相性が悪い。相手が速すぎてまともに攻撃が当たらない。


「スゥー、【亡者のt】」


「攻(渚紗)撃がくる……!」


「なっ!?」


まただ!攻撃をする前に行動がバレてる!…こんなの心を読んでないと……。心を読む能力?でも…そんな怪異……居るの?…私が知らないだけかもしれないけど、とにかく警戒しないと。


「【亡者の手】!」


「え(渚紗)っ!きゃあ!」


今回は男の方ではなく渚紗ちゃんの方を狙った。あとは男の方をやるだけだ。


「ッ()チ!役立たずが!少しくらい兄の役に立てねぇのか!」


……今の一言で確信した。2人は兄妹で男はクズだ。渚紗ちゃんが怯えていた理由は、あの怒鳴り声と、もしかしたら暴力もうけてたかも…。私は男から10メートルほど離れたところに瞬間移動した。


「……お前の名前は?」


「あ()?」


「教()える必要あるかよ」


「ま()ぁいいか。どうせ俺が負けることはねぇしな。おい!お前はもう何もすんなよ、邪魔だ。」


男は渚紗ちゃんにそう言って、私の方を向いた。


「俺()の名前は反葉(たんば)(じん)だ」


「命()令でお前を殺しに来たんだよ」


「命令……?」


「ッ()チ、そろそろいいだろ。早く死ねよ」


………男の方を先に片付けようかな。


「走()れ【テケテケ】」


その瞬間、男はものすごい速度で私に迫ってきたが、サイドステップで攻撃を避けた。やっと能力名がわかった。テケテケ、確か時速100キロで走る上半身だけの女の子の霊だっけ。そうすると能力は……、


「もう慣れてきたよ、【操車】」


勿論その攻撃も避けられたけど、あとは決定打さえあればやれる筈だ。焦らずに考えろ。


「スゥー、フゥー」


「……よし、【亡者の手】!」


亡者の手で相手を球形になるように拘束する、1本の腕が男を掴み、ようやく拘束できた。


「く()そっ!離せ!!」


「これが最後だ、【操車】!」


前の、メリーさんとの戦いの時は、操車でもそこまでダメージが入らなかったけど、人間相手なら!


「ふ()ざけn」


……次の瞬間、電車は男に直撃した。男はこれで倒せたはずだ。あとは森で拘束してた渚紗ちゃんに話を聞きたいな。

 歩いて渚紗ちゃんのもとへ行くと、今から死ぬかのような表情をしていた。拘束を解いてあげると、次は怯えと困惑を孕んだ目で私を見てきた。


「君の兄は私が殺した」


「復讐したかったら攻撃してきていいよ」


実際、暴力や暴言を吐かれていたかなんて私には分からないし、本当は優しかったなんてこともあるかもしれない。この子が私を恨む可能性だって充分ある。


「い(渚紗)……や、…えっと」


「そ(渚紗)…の……私も…殺さないんですか?」


「んー、私に襲いかかってくるなら……殺すかな」


「……どうする?」


「…(渚紗)なにもしません」


「じゃあ私は何もしないよ」


そうして、能力を解こうとした時、私がさっき闘っていた場所で、雷が落ちた。


「っ!!」


メリーさんの能力でその場所に戻ると、男の死体は無く、周りの草が焦げ、地面が抉れていた。


 刃は左の二の腕から下を犠牲にし、なんとか生き延びていた。刃はもう1つ、能力を隠していた。1つは体の速度を10倍にする【テケテケ】、もう1つは雷を操る【(ぬえ)】。刃はテケテケと鵺の能力を同時に使い、異常な速度を出していた。

 

「ク()ソ!ふざけんな!ふざけんな!」


最初は俺が圧倒してたろ!何で何で何で!!


「俺()は…!生き残るんだ!」


この能力空間も、駅から離れたら出られる筈だ!!

…………………


「ハ()ァ……あ?」


トンネル?……!!奥に…光だ。


「よ()し!俺は…逃げれたんだ!」


 夜鈴は、渚紗と共に駅で待っていた。


「お(渚紗)兄ちゃんは……追わないんですか…?」


「…うん、……もう私の勝ちだから。」


「?(渚紗)??」


「…()ア"あ'あ※あ"※アァァ※※ァ※ア!!!!!!!!!!!!」


刃の悲鳴が聞こえた。1分程待って能力を解除した。元いた山に戻り、渚紗は息を飲んだ。夜鈴と渚紗の目の前には、肉塊と、その肉塊から出たであろう血が広がっていたのだ。


「な(渚紗)……んですか…これ」


「君のお兄ちゃんの死体」


「私の能力の伝説通り……本来の伝説とはちょっと違うけど、私達がいた駅の線路を辿っていくとトンネルがあってね、そのトンネルを通ると亡霊がうじゃうじゃ居て、潰されるの」


能力が使えるようになってすぐ、莉音さんときさらぎ駅について調べていた時、一度だけトンネルに行ったことがあった。トンネルの中までは何もいなかったのに、トンネルを出るとさっきの説明通り、亡霊がうじゃうじゃと居て襲いかかってきた。自分の能力で殺されそうになったのは、その時だけだ。それだけあのトンネルの先はヤバイ。そこに怪我でもした状態で入ってしまえば、こんな風に肉塊にもなるだろう。


「君はどうするの?」


「さっき言った通り、復讐したかったらしていいし、普通の生活がしたいんならここから離れればいい」


「何(渚紗)で……」


「?」


「何(渚紗)で…私を生かしてくれたんですか…?」


「君、何で私に襲いかかってきたの?」


「そ(渚紗)、…それは……」


「……君のお兄ちゃん、こいつからの命令か……第三者からか」


 第三者という単語を出すと、いきなり渚紗ちゃんは呼吸を荒らげ、震え出した。第三者からの命令っぽいな…。


「私を襲ったのは君の意思じゃないっぽいし、私はもう何もしないから、家に帰っていいよ。」


私は、目の前にあった肉塊を埋めた後そう言って帰ろうとした。…ら、家まで着いてきた。


「何で?君の家は??」


「家(渚紗)が…無くて…」


「え?」


話を聞くと、小学生の時に両親が死んで、元々住んでいた家も、あいつ(刃)が作った借金で取られたらしい。闇金ってほんとにいるんだな。最近は廃屋に住んでたらしい。


「な(竜爺)ら、家に住んだらいい。最近は居候も増えたしな」


「……いいの?」


「夜(竜爺)鈴が生かしということは、この子は悪い子ではないんだろう?」


「ま(莉音)ぁそうだな、此処であればいつでも監視出来るしな」


「…(渚紗)いいん…ですか……?」


「あ(竜爺)ぁ」


「まぁ、竜爺が家主だしね。悪い子でもないし」


渚紗ちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。


「あ(渚紗)りがとう……ございます…!」

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