四話:怪異の味方!?
「明日、とある怪異を仲間にする。」
「…???」
「えっ?」
「明日、君と同じ伝説格、『都市伝説』の怪異を仲間にする。異能者ではなく、怪異そのものをね。」
「…えっと…どんな怪異ですか?」
「聞いたことないかい?メリーさんという怪異。」
「対象に電話を何度もかけて恐怖を与える怪異。だが少しずつ近付いて最終的に対象を殺すことから危険度が高い。」
「莉音さん!」
気付くと、莉音さんが隣に立っていた。
「……そういえば確かに…聞いたことある…。えーと『私メリーさん、今貴方の後ろにいるの』って奴ですよね?」
「そうだ、そいつを君の異能で仲間にする。」
「……メリーさんの能力ってなんですか?」
「おそらくだが、とてつもない移動速度から瞬間移動の能力と、対象が何処にいても見つけることから索敵タイプの能力。この二つだ。」
「明日の夜、メリーさんと戦ってもらう。」
「でも、メリーさんから電話が来る保証なんて。」
「まぁ確かに分からないが、ほぼ確定で来ると思う」
「……?」
「取りあえず、明日の夜までは普通に過ごしてくれ」
「分かりました…。」
何故明日、メリーさんが電話してくるのか、それが分かる理由は解らないけど、次の日の21時程まで普通に過ごした。
……そして、その時間がきた。スマホに電話がかかってきたので取ってみると、噂通りこの言葉が発された。
『私メリーさん、今、葉塚学園前にいるの』
葉塚学園とは私が通ってる高校の名前で、私が今いる家の裏山から30kmもの距離がある。いつもこの距離を往復するのはめんどくさいけど、ある程度離れたところに行きたかったから。また、電話がかかってきた。
『私メリーさん、今、塚和手駅にいるの』
塚和手駅…ここから25km離れたところにある駅。さっきの場所から5km、1度に移動できる距離は今のところ5kmくらいってことかな?
『私メリーさん、今、石津小学校にいるの』
!?……一気に20km進んだ!?ってことは最低20kmは一気に進むことが出来るってこと。ここから5km先にある小学校に、メリーさんはいる。
『私メリーさん、今、鷲里山前にいるの』
……遂に私がいる山まできた。警戒をし始めると、電話をとってもいないのに声が聞こえた。
『私メリーさん、今、貴女の後にいるの』
とっさに後に振り返った。そこには、思っていた西洋人形の姿とは違い、人間の小学生くらいの身長で金髪の少女がいた。片手にはスマホ、もう片方には包丁を持っていて体や髪の所々に血が着いている。
『私メリーさん、今、貴女の目の前にいるの』
そう言った瞬間、私の目の前にメリーさんが包丁を振りかぶって瞬間移動をしてきた。私は少し驚いたが、瞬時にバックステップで距離をとって能力を発動した。
「呑み込め『きさらぎ駅』!」
辺りは、駅がひとつある暗い夜に変化した。
「操車!」
そう叫ぶと、メリーさんに向かって線路が引かれ、電車が走っていく。直撃したと思った。
「えっ!?」
が、その瞬間、電車が真っ二つになっていた。
『私メリーさん、今、貴女の後にいるの』
また後に!操車を使おうとしたが振り向いてもメリーさんの姿がなかった。何処に!?
「!?」
何かが、ものすごい速度で私の頭に向かって投げられた。私は頭を傾けてギリギリ避けたと思ったが、少し頬に掠り、血が出ていた。
「メリーさん、普通に強いんだけど…!」
メリーさんのいる方を見てみると、包丁にさっきまではなかった血痕が付いている。さっき掠ったのは包丁か!…あれ当たってたら普通に死んでたんだけど……。
『私メリーさん、今、貴女の上にいるの』
上!?上空を見ると、そこには包丁振りかざしているメリーさんがいた。今、メリーさんは空中で急な動きは出来ない。攻撃できれば、多少のダメージは入るかもしれない!スゥーと空気を吸って
「亡者の手!」
そう叫んだ瞬間、地面から無数の手が伸びた。空中にいるメリーさんを捕え、操車で攻撃する。メリーさんは瞬間移動をしようとしていたが、移動できずにもろに入ったことで気絶していた。………今の食らっても気絶だけで済んでる辺り、やっぱり怪異ってヤバイな…。
能力を解いてメリーさんを家に運ぶ。…小さい子を誘拐してる感があって……なんか犯罪臭がするけど…。家に帰ると、竜爺からこの後どうするかを聞いた。
「メリーさんが起きたら先ず少し対話をして味方に引き込め。」
という言葉だけもらって、結局メリーさんの目が覚めるまで待つことになった。そして夜中の2時頃になってメリーさんが目を覚ました。
「此処は……?」
!……驚いた!メリーさんってちゃんと話せたんだ…!
なんか…「私メリーさん○○なの」みたいな感じでしか話せないと思ってたや。
「お、起きたか」
「あ~。やられたって訳ね。…あんたのせいで死ぬところだったんだけど!」
「まぁそういうな。それにお前は怪異じゃから祓われん限り死なんじゃろ。」
?……「あんたのせい」??2人とも知り合いなの?
「あの……どういうこと…?」
「まぁ言っていいか。」
「メリーさんは昔からの知り合いでな。今回のことも頼んでいたんだ。君の異能の力を貸してほしいってね。」
「そうよ。まぁ、ただで力を貸すわけにはいかないし。条件として、貴女が私が憑くに値するか試したかったから今回戦わせてもらったわ。」
「………どうでした?」
「…ギリギリ及第点ってところね。」
「…それじゃあ…!」
「えぇ、少し寝た後私が貴女に憑くための儀式をするわ。」
「儀式?」
「まぁ詳しいことはそいつに聞いて。」
そう言って、メリーさんは竜爺に指を指して布団に潜った後、直ぐに寝ていた。部屋を変えて竜爺に儀式の内容を聞いた。
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メリーさんの挿絵↓(長押ししたらいけます!スマホ用)
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