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星はといかけ、想いはこたえて

作者: 逢乃 雫

雨上がりの坂道に


咲いたスミレに


陽光が舞い降りて



サラサラと


春の風に流れゆく



雨に落としていた


視線が水たまりに


見つけた空と虹



やがて道は乾き


(すみれ)色に暮れなずむ


空の舞台へと



駆け上がっていく


春の星たち




空に輝く春星を


追いかけて



季節という旅人は


その行き先を


知るように足早に


駆けていくけれど



人は時に迷い


さまよいながら



その行き方を


その生き方を


探し続けて


季節の風に吹かれて




心に輝く春星を


追いかけて



夢の煌めきは


愛のぬくもりは


日々の小さな幸せは


一人ひとりの


心の春星のように



手を伸ばしても


なかなか届かない


ものもあるけれど



掴むものでなく


心で感じるものも


きっと多いから



たとえ星は彼方でも


その光はもう


瞳に届いているように




花つ月の宵


東の空を焦がし


太陽の道を照らす


しし座レグルス



それは王の運命を


それは船の進路を


照らしてきた光



そして人を春へ導く


といかけぼし



七十七光年の


彼方の宇宙(そら)から




空に輝く春星に


問いかけて



なぜ今宵も輝こうと


空へと上ろうと



それはこの世界が


あと少しでも


明るくなるのなら



少しでもできることが


そこにあるのなら



星は静かに瞬いて




生きていくことは


問い続けること


かも知れない



星の数だけ


人は想いを描き



人の数だけ


物語は紡がれて



レグルスが導く


太陽の道



といかけぼしが導く


まだ足跡のない道



その道をきっと


未来、と名付けて











  



3月下旬頃から、東から南の空へと高く上るしし座の一等星レグルスは、「小さな王」の意味で、「ロイヤルスター」とも呼ばれます。その光は21ある一等星では最もささやかですが、唯一太陽の通り道にあり、古から王の運命や船の進路を導く星とされました。


レグルスは日本では「といかけぼし」とも呼ばれます。周りの星とともに見ると「?」が反転した形で、雨樋の掛け金具に似ていることが由来とされますが、作中では「問いかけ」の意味も込めました。


「花つ月」は三月で、スミレには「小さな幸せ」という花言葉があります。春の花と星空をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 花つ月、といかけ、季節という旅人……言葉のチョイスが素敵です。それを縫い合わせて、美しい詩が出来て……。読ませていただきありがとうございます。私も精進したいです。
[一言] 後書きの作品解説を読み終えたあと、 改めて作品を読み返してみると 冒頭のスミレは作品全体の雰囲気を 同じく冒頭の雨と虹の描写はレグルスを それぞれ表しているのかな、なんて感じました。 空の…
[良い点] 思わず目を閉じて、雫しゃんの紡ぐ言葉の世界を想像しました。『水たまりに見つけた空と虹』がすごく好きです。 そこから空へと……そして、 星はかけあがっていくんだね(*´▽`*) 素敵な物語で…
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