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僕らの国、イリナマギアには、建国の時から1000年経ってもなお、語り継がれている歌がある。


『千の星が降る月夜の晩


 古の守りは崩れ去り


 再び現る翡翠の君は


 空を見つめて涙する


 君は今、何を思って空を見る

 

 君は今、何を思って星となる

 

 孤独を愛した翡翠の君よ

 

 君の心は溶けただろうか』


此れは僕らの国、イリナマギアの建国記の冒頭に記されている「愛しき子らへ」という詩で、僕らの国に昔から存在する「予見の書」に収められている大切な歌のうちの一つである。

「予見の書」というのは、まだ魔法使い達が人々に敬われ、慕われていたはるか昔、今よりも魔術師の力が強かった時代、名のある魔術師達がよんだ未来を後の世に伝えるために歌にして、一冊の本に纏めたものである。其れらは大抵が、これから先に起きる大災を記しており、この本によって幾たびも国が救われたと言われている。そんな本にこの「愛しき子らへ」は、収められているのだけれど、作者は分からず、何を意味するものなのか未だに解明できてはいない。王宮に務める解読者達の間では、『闇鍋』と称されているほど、解読の手がかりがないらしく、今ではこの句を研究しているものは少なくなっている。

だけれど、僕はこの詩が大好きだ。この詩を初めて詠んだ時、僕の心は何故かとても締め付けられた。寂しさ?悲しさ?懐かしさ?全てがごちゃ混ぜで、言葉にすることはできないけれど……。

とくに終わりの一節、


『君の心は溶けただろうか』


という言葉を聞くたびに、僕は思わずにはいられなくなる。

(どうか彼女が、幸せでありました様に)

と。

どうしてそう思うのかなんて僕にはまだ分からない。

其れがわかるのはまだまだ先の御話。


此れは僕と師匠の物語。


其れは愛を見つける物語。


僕らは紡ぐ、絆の糸を


終わりが来るのを知りながら…。















 

 




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